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幼い男の子が部屋に敷いた布団に横たわっている

その男の子の顔は赤く、呼吸は浅い

その傍らには心配そうな顔で男の子を見つめる幼い女の子が座っている


「だいじょうぶ、慧くん?」

「だいじょうぶ、だからしんぱいしないでゆりな」


心配そうに声を掛けてきた少女、ゆりなに少年、慧は弱弱しくも笑顔で返した


「でも慧くんなんにもたべないって慧くんのおかあさんがゆってたよ」

「だっておなかがへらないんだもの」

「おねつがいっぱいあるときはねー、ごはんをちゃんとたべなきゃだめなんだよ、っておとうさまがゆってたの」

「わかってるよ、けど…」

「だからゆりなね、慧くんにげんきになってほしいから、おとうさまとおかゆをつくったの!」


ニコニコ笑顔でゆりなが畳の上に置いたお椀を手に取り言った


「…ゆりなが?」


慧は驚いた表情で尋ねる

彼女は料亭の娘に生まれつつも、一つ上の兄とは違ってまだ料理をしたことがなかった

その彼女が初めて厨房に入り、自分の為におかゆを作ってくれたのだ

他の誰でもない、自分のために

そのことを思うと胸の奥がじんと温まるようだった


「うん!! どーぞ、慧くん! めしあがれ!」


ゆりながその小さな手で、自身の脇に置いてあったお椀を大事そうに差し出した

慧が大好きな笑顔を浮かべながら

それを受け取るために慧は重い身体を布団から起こし、にっこりと彼女に微笑みかえした


「慧くんのためにつくったの。たべてくれる??」

「うん、ありがとうゆりな。すっごくうれしいよ」











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