歪んだ檻(4/5)


「んんっ…!ふうぅっ!」


スイッチを切ったバイブを一気に引き抜かれる。それでもまだ体内には熱い余韻が色濃く残り続けている。


「鬱血して酷い色になってるね。ずっとこのままにしてたら使い物にならなくなるかな? その方が浮気の心配が少しは減って気が楽になるかも」

「なっ…!に、言ってるんですか…!」

「ふふっ、冗談だよ。外してあげるからじっとして」

「……っう…!…はあ…っ」


カチリと軽い音が鳴って散々自分を苦しめていた鉄の檻からやっと解放される。思わず大きな溜息が漏れた。そして勢いよくそこに血液が集中していく。

勃つことすら抑制され続けていた自身は完全に感覚が狂って、軽く触れられるだけでも鋭い快感が駆け抜けた。唇を噛んで、射精しそうになるのをなんとか堪える。


「睦月の体すごく熱い。中はもっと熱いかな」


バイブの余韻でヒクつく穴を悠人の切っ先で擦られる。その刺激と、悠人を欲する欲情でますます股間に血潮がたぎって絶頂感が迫ってきてしまう。


「ぅあ、ちょっと待って…ください…っ、今挿れられたらすぐ出ちゃいそうです…」

「駄目。イかないように自分で押さえてて」

「あっ…!ッは、あぁあっ」


一方的に言い捨てると悠人は何の気遣いもなく一息に奥深くまで割り入った。自分はとっさに自身の根元を握って込み上げる熱欲を塞き止める。


「やっぱ熱…。もうドロドロだし、いつもよりキツいし…。そんなにあの玩具に犯されるのが気持ち良かった?」

「ちが…っ、ずっと、悠人のが欲しかったからっ…」

「はっ…。よく言う」

「ッあああ!」


さらに荒々しく打ち込まれ、思考が真っ白に砕ける。悠人は苛立ちをぶつけるように激しく腰を突き上げて内部を摩擦して最奥を叩く。


「そうやって、いつもいつも睦月は僕を言葉で惑わすんだ…っ」

「あっ、あッ!…ふ、…っん…!」


熱情に溺れ切って何も考える余裕なんてなかった。本能のまま悠人の首に腕をまわして引き寄せ、唇を深く重ねる。口内に舌を侵入させて悠人の舌を起こし、唾液を絡ませる。


「…もう何も、言わない方がいいですか?」


呼吸する間もないほど悠人の口内を味わい尽くし、唇を離して囁く。悠人も吐息が乱れて表情には余裕がなくなっていた。


「…っもっと…、もっと言って」


今度は悠人から唇を重ね合わせてきた。唇を舐めて緩く噛み、甘い口づけをしながらも下半身は猛威を増して体内を貫く。


「はぁっ…! …悠人、愛してる…っ 逃げたいなんて、思ったこと一度もない…っ、んん! 悠人が…っいない人生なんて考えられない…!」

「…嘘だ… 嘘だ…っ!」


嘘なわけない。少しでも離れていると不安で、こうやっていつも悠人の心を引っ掻き回して自分に意識を向けさせていないと、とても自分を保っていられない。


「愛してる…、悠人の体ぜんぶ呑み込んで、自分で埋め尽くしたい…っ」


呼吸まで奪うように深く舌を絡めていると頬にポタリと雫が落ちた。
自分の頭を撫でる悠人の目には涙が浮かんでいた。


「このまま、一つになれたらいいのにね」


こぼれる涙と言葉が身体中の細胞を熱くさせる。

…本当に、このままドロドロに溶け合って一つになれたらいいのに。

脳内が焼け焦げそうなくらい欲情が溢れて、衝動に任せて悠人の細い体を抱きしめる。


「…っ、足りない…もっと強く抱いてよ。もっと、壊れるくらい…っ」


悠人の望むままに腕に力を込めて再び唇を奪う。

そうして硬い浴室の中で時間の感覚がわからなくなるほどいつまでも互いの身体を求め続けた。


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