君おもい | ナノ



13 : お互い、


「―――、災難だったな」
『やっぱり平和島くんもそう思う?』
「ああ」
屋上で平和島くんと愚痴を零し合う。平和島くんはなんだかんだ云って優しい。ちゃんと最後まで私の話を聞いてくれている。
『平和島くんも接客なんだっけ?』
「………ノミ蟲に嵌められた」
その言葉に苦笑いしてしまった。私と一緒だ。
『苦労するね、お互い』
「…そうだな」
『平和島くんは「おい、その“平和島くん”っての止めろよ」
それは、名前で呼べってことなんだろうか?
『えーと、』
「名前でいいって云ってんだ。ノミ蟲のことも名前で呼んでんだろ。アイツだけ名前呼びじゃ気にくわねえ」
『えーと、うん、わかった。じゃあこれからは静雄くんって呼ばせて貰うね。私のことも名前でいいから』
にっこり笑って云ったら何故か視線を逸らされた。
「―――…ああ」

お互い、
(もしかしたら似てるのかもね、私達。臨也くんに迷惑を掛けられる…。)

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