爆豪



天気予報を見てむむ…と眉間にシワをよせる。今週末はせっかく久しぶりのデートなのに、明日からその日までずうっと傘のマークが並んでいるのは、とても困るのだ。

「そうだ…!」

晴れのおまじないといえばあれしかない!
ぽんっと手を打った私は、ペンと糸を出してきて、テーブルの上のティッシュペーパーをわさりと引っ張り出した。絶対に晴れてほしいからたくさん作ろうと意気込んで、一枚目のティッシュをくるくると丸めた。



「………………あ?」
「あっ!お帰りなさい!」

リビングの扉の方へ振り返ると、たった今帰宅したらしい勝己がいた。いけない、もうそんな時間なのかと時計を見ると、私が作業をはじめてから一時間以上経っている。おかげでテーブルに山のようなてるてる坊主ができていた。

「おい、この呪いの人形どうした」
「呪いの人形じゃないよ!てるてる坊主だよ!」
「んなモン見りゃわかんだよ!なんでこんな大量に作っとんだっつってんだ!!」
「え!?見ただけでてるてる坊主ってわかる!?良かった嬉しい〜!」
「質問に答えろや!」

おっといけない。見ればわかると言われた嬉しさで質問をスルーしてしまうところだった。かくかくしかじか、てるてる坊主を作るに至った経緯を説明すると、一応納得したらしい勝己はてるてる坊主の一つを手に取った。

「……コイツ、頭デカ過ぎて吊れねぇだろ」
「え?あ、ほんとだ逆さまになっちゃう」
「逆さに吊ったら雨降るぞ」
「えっ!やだ…!」

どうしよう直さなきゃ…!とわたわたする私を見てはぁと息を吐いた勝己は、テキパキと歪なてるてる坊主をいじくると、あっという間にかわいい姿に変身させてしまった。…あ、でも表情はむすっとして勝己みたい。

「かわいい!この子一番上にしよう!」
「…全部吊るんかい」
「うん!」

もちろん!とばかりに頷いたら、勝己も眉間にシワをよせながら手伝ってくれた。

デートの日、晴れると良いな。








てるてる坊主の御礼



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