dishs and books 2
「ごっ、ごはんっ、食べませんか?!」
言ってから、nameは果てしなく後悔する。いくらお腹が空いていたとはいえ、そのせいでまさかの殺人現場に出くわすことになったとはいえ、更に自分が殺されるかどうかの瀬戸際においてその元凶である殺人犯をメシに誘うってどういうことだ。あまりに場違いすぎる。
美貌の殺人犯さんは、反対側に首を倒した。コテン。
肩あたりまでの髪がさらりと流れる。
あ、これちょっとかわいい。足元に相変わらず変死体が転がっているけど。ほんと悲鳴あげないわたしえらいわ。悲鳴あげた瞬間に殺されるけど、たぶん……。
それはともかく、このアホな発言はどうしてくれよう。悲鳴あげなくても、こっちで殺されたりして。ああもう、ごはんなんて食べられなくてもいいから、どうかどうかどうか、スルーしてくれますように無事に帰宅できますように!!
「いいよ。」
へ?
「腹へってるんだ。この辺の飯屋知らないし、早くしてよ。」
へ?へ?
ごはん、食べるんすか??殺人犯さんと???
「ではっ、わたしの家で!」
無駄に背筋を伸ばしながら宣言する。
嗚呼、なんでわざわざ自宅をバラすような真似を!
殺人犯さんは首をまっすぐに戻して、こちらを見つめたかと思うと、5メートルの距離を一瞬で縮めた。
あ、いつの間にか手が人間の形に戻ってる。血まみれだけど……嗚呼お顔きれいだな、お人形さんみたい。声からするに男性なのね、やっぱり腰細いなー脚長いなー服が変だなー惜しいなー……って、
「っっ!」
瞬時に目の前に現れた殺人犯に、またもや声が出ないname。
なにこれ、瞬間移動?早すぎて見えないってやつ??漫画の世界にあるやつ???
「じゃ、行こうか。」
殺人犯さんは事も無げにそう言って歩き始める。nameは盛大に混乱しつつ、道案内を始めるのであった。
(かわいそうな死体は放置)
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