09
「ちょっと大変よ〜!!なまえが捕まっちゃったわぁ〜!」
本日、ヴァリアーでは、ボスを含め幹部一同出揃っての緊急会議が行われていた。
もちろん、なまえも出席しなくてはならないのだが、招集をかけても姿を現さない。
幹部補佐の彼女だけを待ち続ける事も出来ず、会議は開始されたが、それでもなまえの様子が気になったのか、部屋を見て来ると小休憩の間に会議室を離れたルッスーリアの声が響いた。重い口調で話し始めたルッスーリアの言葉に、全員の顔が曇った。
「ゔお゙ぉい゙!一体どういう事だぁ!?」
「ナナシファミリーって言ったら、丁度今、話合っていた不審な動きを見せてるファミリーだね。」
「しししっ、しかも、なまえって、昔そのファミリーに所属してたんじゃなかったっけ?」
「ふん!そうなると、あの女も怪しいものだ。手を組んでいるのかもしれん。」
「それは無いわよ。なまえは、9代目と仲が良かった先代に世話になったけど、今の息子世代はどちらかと言うと危険で嫌いだって言ってたわ。」
「まあ、ハッキリした事と言えば、ナナシファミリーはこれで完全に黒だという事だなぁ゙。」
それぞれが思った事を口にする中、スクアーロの一言がその場を収拾させる。
「ゔお゙ぉい、マーモン。」
「ムッ。報酬はしっかりと貰うよ。」
「あ゙ぁ、もう任務は始まってんだ。なあ?ボスさんよぉ?」
スクアーロがそうザンザスの方を見れば、彼はいつもと変わらず目を瞑り椅子に座っているままだった。否定も肯定もしないのは、肯定と受け取り、スクアーロがもう一度マーモンを見ると、彼もまたそう思ったのか、小さな手でカラカラと紙を取り出す。
ズビーッ!!と鼻をすする音が部屋へ響き渡ると、ベルが、いつ見ても汚ねーと悪態を吐いた。
「ムッ。なまえはもう、ナナシファミリーのアジトに連れて行かれているね。何処かへ幽閉でもされているんじゃない?」
念写の結果をマーモンが伝えると、会議中もただ目を瞑り微動だにしなかったボスが動いた。
「…うちのカスが捕まった。ナナシファミリーの件は正式にヴァリアーが請け負う。」
そう、何処かへ電話をすると、立ち上がり、上着を靡かせながら廊下へと出て行った。
「ボ、ボス!ボスがわざわざ動かなくとも!!」
「しししっ。めんずらしぃ〜♪」
「ゔお゙ぉい!ボスに続けぇ゙!」
ヴァリアーのボスが動く任務など中々無い。今回も、幹部だけで事足りる物であったので、幹部一同、何故ザンザスが動いたのかが分からなかった。それと同時に、一人の幹部補佐を助けに行くなんて事も思いもよらぬことだった。
だがしかし、誰もがボスの気紛れだと思い、疑問を口にする事は無い。
ボスが動けば自ずとそれぞれの士気も高まり、颯爽とナナシファミリーへ赴くべく車に乗り込んで行くのだった。
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