■九月二十一日


数日前から上陸していた台風がここ並盛にも影響を及ぼし、今日は朝から暴風雨に襲われている。
おかげで風紀委員一同はてんてこ舞いだ。朝から体育館裏の木が倒れただの、飛んで来た石で窓ガラスが割れただのと言った報告が次から次へとやって来る。
もちろん実際作業に廻るのは下の委員たちだが、確認作業に赴くこともあり、僕までずぶ濡れになっている。
一度着替えをしたがまた濡れる羽目になってしまったので、面倒になりそのままでいることにした。
濡れた衣服の不快感にも慣れ始めた頃、コンコンと扉を叩く音がした。
はっとして時計を見ると、もう沢田の来る時刻になっていた。今日は外での雑事が多すぎて、本来の仕事にほとんど手を付けていない。
どうぞと言う返事の後入って来た沢田は、僕を見て目を見開いた。
「ヒ・・・バリさん、何やってんですか!」
「仕事。今日は捗らない」
「じゃなくて!」
沢田は凄い勢いで近づいて来たかと思うと、僕のワイシャツのボタンを外し始めた。
「こんな濡れたままじゃ風邪引きます!タオル、何処ですか。ああもう、こんなに体が冷えちゃってる!」
叫びつつ、素肌の胸の辺りを擦り始める。
叫びたいのは僕の方だったが、生憎と声は出なかった。
「あ、下もびしょびしょじゃないですか!ほら立って下さい!」
スラックスのベルトに手をかけた沢田を必死の思いで止める。冗談ではない、脱がすのは僕の役目だ。
「じ・・・自分で脱ぐから・・・」
「え」
沢田はぴたっと手を止め僕を見上げると、次の瞬間ぱっと紅くなった。
「す、すみません!つい、うちの子供達のつもりで」
お父さんの次は子供かと思いつつ、戸棚から着替えとタオルを出して給湯室に逃げ込んだ。
独りになって落ち着くと、先ほど胸に当たっていた彼の柔らかい手の感触が甦る。と同時に、以前没収した写真に触れた時の感覚も・・・。



やばい。

僕は慌てて妄想を振り払うように、頭をガシガシと乱暴にタオルで拭いた。




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