■九月二十日


放課後やって来た沢田に洗濯した青い包みを返し、「おいしかったよ」と囁くと、紅くなって「何も言わないで下さい・・・」と返された。
本当においしかったのに。確かに、不恰好ではあったけれど。
ぎゅうぎゅうと抱きついていろんなところを撫で回したい(ヤラシイ意味ではない)衝動を堪えて、その唇にそっとキスだけを落とす。唇を離すと彼は困ったような顔で、「お腹、痛くなったりしませんでした?」と聞いてきたので、思わず苦笑いをした。

「種目の変更があって、騎馬戦、やらないことになったんですよ」
茶菓子にと用意したクッキーをつまみながら、沢田は体育祭の話をする。
僕はそう、と相槌をうったが、当然のことながらそんなのはとっくに知っている。
「何でも、密着系・・・?とかいうのはだめらしいです。まあ、俺は助かったんですけど、何で急に変更になったのかなあ?」
不思議そうな顔をする沢田に「さあ?」と微笑んで、僕は素知らぬ顔で紅茶を口に運んだ。




prev next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -