■九月十六日


「全校男子の競技、騎馬戦に決まったんです」

のんびりした口調で告げる沢田の言葉に、ティーカップを落としそうになった。
騎馬戦、騎馬戦と頭の中でぐるぐる考えるが、「騎馬戦」と言えばあれしか思い浮かばない。
「騎馬戦って、あれだよね・・・。ごつい男の腕の上に股開いて座る奴・・・。」
「・・・確かに間違ってはいませんが、その表現って・・・?」
どう表現しようが事実は変わらない。
何故今このタイミングでそんないかがわしい競技を!?
「君が下・・・なんて事は」
「俺が下になったら、すぐ潰れちゃいますよお」
有り得ないとは思っていたが、へらりと笑って返す沢田の危機感のなさに腹が立つ。そんなだから隠し撮りなんかされるのだ。
と、笑っていた沢田が不意に何か思い出したように眉を寄せた。
「俺苦手なんですよね、こういうの・・・。みんな俺になら勝てると思って、一斉に狙ってくるんですよ。始まった途端大勢に襲われてメチャクチャにされて・・・」
体育祭なんか嫌いだーっ!と叫ぶ彼は、目の前の僕が顔面蒼白になっている事には気が付いていない様だった・・・。



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