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「いただきまーす」


屋上にいる五人組の中、一人が両手を合わせて可愛らしく笑った。
そして、その他四人のうち二人が、驚きに目を見開いながら口元を手のひらで覆う。


「「これが女の子っぽい未来……!」」


同時にハモりながらも、雪は自分の性格を女の子っぽいって言うのもどうかと思うけどね、と苦笑した。


「? どうかしたの、隼人、雪?」
「なんでもないよー……って、なんだか自分のキャラを客観的に見るのって不思議な気分」
「すげーわかるのな、それ」
「俺の時なんて論外だろ……」

獄寺は黙ってて? みたいなオーラを出しながら笑う雪に、獄寺は慌てて目をそらす。
元凶である獄寺を未だに許していないのだろう。


「あれ……でもちょっと待って……」

もっきゅもっきゅ、と純粋無垢な顔でご飯を食べる未来を見つめながら、綱吉は口を開いた。
ちなみに獄寺は未来の脅迫材料として動画を撮り出していた。


「えーっと……雲雀さんでしょ? 骸……クロームで、山本、獄寺、雪……残るは……」


全員の視線が一人に集まった。
……それを言った本人……綱吉に。


「……ランボとお兄さんと……俺?」


綱吉の頬に、冷や汗が垂れた。
俺かぁ……と小さく呟くが、重要なのはそこではない。


「ちょっと待って、ランボならまだ許せるけど……!」
「いや、許せねェ、あのアホ牛は許せねェ! 雪、テメェは「ガハハ!」と騒ぎ出す未来が見てぇのか!」
「ごめん獄寺、前言撤回!」
「だろ!? んでもって、10代目はぜひともって話だが……!」
「まぁ、ツナはいいとして……」
「……お兄さん、か……」
「みんな、何の話してるの?」


明らかに最悪だ…という暗いオーラを出している中、未来はただ純粋に首を傾げた。



その後授業が始まり、未来は相変わらず雪の性格のまま授業を受けていた。
授業崩壊を起こさないがために次々と感激に涙する教師陣を見て、「教師クラッシャー未来」という一日だけの異名を授かるのも時間の問題だった。
……そして未来のキャラチェンジの時間がやってきた。

ゴンッ……という額を打ちつけた音が、教室中に響き、全員が振り返った。


「た、高城? 大丈夫か!?」
「あ、いや、その…大丈夫ですよ! すぐに起き上がります! ほら……」


慌てて誤魔化そうとしている綱吉の言葉が終わるか否かで、未来が起き上がった。


「おい、リングの炎は!?」


獄寺が言うか早いか、教室内のボンゴレ一同はすでにそのリングへと視線を走らせていた。
その視線の向こうで四人が見たものとは――……


「……え!?」


リングの炎は黄色、緑、オレンジと変わりながら、火を灯していた。
色が変わるたびに炎は消え、また灯る。
規則正しくまるで信号の点滅のように灯り続ける炎に、四人は授業そっちのけで動揺を見せる。


「何これ……! 炎がずっと色を変えてる……!」
「炎が……定まってねェのか……!?」
「ぅ……ぁ……!!」


未来が頭を抱えて唸る。額から滲んだ汗は頬を伝い、そして落ちていった。
苦悶に歪んだ顔、瞳はきつく握られ、歯は食いしばられていた。


「未来……!? 未来!?」


あまりに未来の様子がおかしいと、雪は何度も何度も未来を揺すぶった。
雪が未来の肩を揺するたびに、未来の全身は力なく揺らぐ。


「ど、どういうこと!?」
「まさか、リボーンさん……これ、失敗ってことッスか……!?」
「じゃあ未来はどうなるんだ!?」


騒然となってる三人に、クラス全員はただ唖然となっていた。
所々から悲鳴が聞こえ、先生は慌てるばかりで何かを叫んでいた。
その教師の叫びさえも、今の雪たちにはどうでも良く、聞こえてすらいなかった。

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