06 「これ大丈夫なの?」 「大丈夫」
クディッチデビュー戦のロンを見て、私は眉をひそめた。 なんかハイになっていて怖い。 結局、彼はグリフィンドールのキーパーに相応しい働きぶりで、見事勝利を摘んだ。
今年のホグワーツは、去年あれだけ魔法省とヴォルデモートに振り回されたとは思えないほど、平和だと最初は思っていたけれど、やっぱりそうはいかなかった。
「エルザはセブルスが好きだからこんなこと言うの悪いけど、やっぱり信用できないよ!」 「私、魔法薬学は正直、セブルスの方が分かりやすかった」 「誤魔化さないで!」
ハリーに怒られながら、呪われたネックレスや毒入りのワインを用意させた人間を考える。 校長を亡き者にしようとしたこの2つの事件はきっと同一人物によるものだろうし、その犯人はハリーの言う通り、ドラコ・マルフォイだと思う。 最近、彼の様子がおかしかったし、必要の部屋にこもって何かやっている。 このことは、ダンブルドアに報告済みだけど、ハリーには言わない方がいいだろう。 学生時代のジェームズとセブルスのように、ハリーとドラコはいがみ合っている。 これを言えばきっと今すぐにでも掴みかかりにいきそうだ。
そうこうしているうちにただ時間だけが過ぎていった。 ダンブルドアからの任務を終えた後、ホグワーツの上空に現れたそれを見て、私は血の気が引くのを感じた。 闇の印が上げられている。 印に1番近い塔へ私は急いで向かい、そして見てしまった。 セブルスがダンブルドアを殺す瞬間を。
「先生!」
先生が落ちるとき、こちらを見たセブルスの目が一瞬悲しそうに揺れたのを見た。 私は落ちていく先生の手をつかもうとしたが、力のない私の手から滑り落ち、先生は地面へ向かう。 私は急いで呪文をかけて、ゆっくりと地面へ下ろした。 先生の顔を覗き込んで驚いた。 その顔はとても穏やかで、死の呪文をかけられた人の表情ではなかった。 そうして湧き上がっていくのは、怒りの感情で、私はまた、塔の上まで戻った。
「セブルス!!!」
先生はセブルスを信じていたのに、彼は裏切った。 どうしようもない怒りが身体を巡っていく。 姿を消した彼らを殺そうと、怒りのその感情に任せて動こうとした時気付いた。
ハリーは? あの子は無事なの?
「ハリー!」
城はそこら中、騎士団と死喰い人との戦いでボロボロになっていた。 私は大声でハリーの名前を呼びながら、生徒たちを襲う死喰い人を倒していく。 ハリーはどこへ行った。
その時外から大きな音がして、私は急いでそちらへ向かう。 そこには燃え落ちたハグリッドの小屋があった。 そしてハグリットとともにこちらへ歩いてくるハリーの姿を見て、私はスネイプが逃げ切ったのを知った。
「エルザ、ごめんね」 「ハリー、あなたが無事ならそれでいいわ」
それから校長が亡くなったことで混乱する医務室で、私はそっと自分の手を見つめる。 私は校長の手を握れなかったのだ。
言い合いが起こるこの場で私は、ハリーの言葉を静かに聞いていた。 だけど、ハリーがセブルスがリリーのことを何も価値がないと思っていたと言ったときだけ、違うと叫び、居たたまれなくなった私はそっと自分の身体へと戻った。
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ダンブルドアの葬式の間、エルザはいつもと同じようにフヨフヨと浮いていた。 ただいつもよりずっと上の方、参列者を見守るように浮く彼女の表情は、あれからずっと浮かないままだったけど、泣いている姿を見せていない。
エルザはやつのことが好きだ。 正直趣味が悪すぎると思うが、エルザが好きだからしょうがない。 けど、やつはエルザの思いを理解しようとしなかった。 それだけでも怒りが湧いてくる。
トンクスやフラーは自分たちの好きな人に障害を物ともせずに真正面からぶつかって、思いを理解してもらった。 だったら自分は?
隣に座るジニーを見て、僕は思った。 きっと思いを伝えなければ、きっと後悔する。 エルザは気付いてもらえなくても、伝えたことは後悔してないと笑っていた。 ジニーに思いを伝えよう。 そう決意した。
また、フヨフヨと浮くエルザを見上げる。 あなたは強いわ、エルザは僕をそう言った。 ダンブルドアを助けれなかった僕に彼女はそう言った。 いつもそうだ。 いちご味の飴玉を差し出し、エルザはいつも僕に大丈夫と伝えてくれる。 血の繋がってないけど、家族だと僕は思っている。 ジニーに愛を伝えるように、エルザへも大好きだと伝えよう。
危険な旅になる。 僕はもうエルザがいなくても大丈夫だと示したい。 彼女は僕の家族だから、彼女が僕にしてくれたように、僕も彼女を守りたいんだ。
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