「面白くないわ。」
「何言うてんの。」
昼休み、昼食を部室で一緒に取るようになった杏奈と跡部達。
今まで杏奈は学校では友達を優先させる生活を送っていたのだが、あっちが杏奈を避けるのだからわざわざ教室で昼食を摂る必要が無い。
「だって、いじめが始まるのかと思ったら全然仕掛けてこないんだもん。」
「当たり前だろ。俺様たちが杏奈に味方してるからな。」
「……だったらあの子の味方をしてよ。」
「「「「は?」」」」
食べながら話を聞いていたメンバーの箸の動きが止まる。
「言うなればこれは七渡しよ。みんな、あっちに行ってきて。」
「断る。」
跡部がピシャリと断った。
そして口々に嫌だと言う。
「俺様は嘘でも杏奈と離れたくねぇ。」
「あらあら、甘えん坊さんね。」
よしよしと跡部の頭を撫でる。
「俺らもや。何が悲しゅーてあんな奴の味方にならんとあかんのや。」
「何でって……私が楽しいから?」
「そういえば杏奈ってそんな性格だったC。」
この愉快主義者め、と。
「みんなが見てる所だけ私に冷たく当たればいいのよ。見てないところまで私から距離をとれって言ってないんだから。」
「クソクソ杏奈は一回言ったら引かねぇな!!」
「そうねぇ、そんな性格な私、嫌いかしら?岳人。」
「そんなわけねぇぜ!!」
「ありがとう、嬉しいわ。
じゃみんな今日の放課後からお願いね?」
メンバーは渋りながらも承諾した。
放課後
「杏奈ちゃんどう?」
杏奈がドリンクを作っていると部屋の扉が開かれた。
女子が遅れて部活にやってきたのだ。
「あら、遅かったのね。もう部活が始まって結構な時間経ってるわよ?」
「ふーんだ。今日はファンクラブの定例会議があったのよ。」
「あぁ。」
「でも、どうしていきなり見学を止めさせちゃったんだろーなぁ。まぁ私は間近で見ることが出来るから全然かまわないんだけどね。」
「………。」
「どう?私、あなたの立場奪ってやったけど。辛い?悲しい?」
「悲しい…わね。」
「どうして?」
女子がざまぁみろ。と言った様にいやらしい、にやにやとした笑みを浮かべ聞いてくる。
「だって景吾…いいえ、跡部君達にも嫌われちゃったんだもの。」
悲しそうな顔をする。
「へぇ!!それはなんて素敵なことなのかしら。
嫌われてるとこ見せてよ。ほらドリンク持っていきなよ。」
「……えぇ。」
杏奈は作りたてのドリンクを持って練習中の跡部達に近づいて行った。
女子は腹立たしい笑みを顔に張り付けている。
「……お待たせ。」
一人一人にドリンクを配っていく。
最後、跡部にドリンクを手渡す。
バシャァっ!!
杏奈は跡部に渡したドリンクを頭から被ることになった。
そして続けて他のメンバーのドリンクも、
そしてボトルが地面にたたきつけられる。
「お前の持ってきたドリンクなんて飲めるかよ。」
「景…吾。」
「……名前で呼ぶな。」
冷たく言い放つ。
「あ…ゴメン……。」
「謝るくらいなら寄るな、失せろ。」
杏奈は涙を流しそうな表情になりながらもグッと堪え叩きつけられてしまったボトルを回収する。
そして足早にコートから出て行った。
濡れた服を着替えるために女子の居る部屋へと戻って行く。
―――――――――
【7渡し】
7を出した枚数だけ次のプレイヤーに不要なカードを渡すことができる。
[*prev] [next#]
[mokuji]