生徒会長の跡部に全校生徒は朝、体育館に集まるように、と指示があった。
何故集まらないといけないかの理由は明らかにはされなかった。
全校生徒が体育館の中に納まり跡部の登場を待つ。
体育館の照明がおち、辺りは真っ暗になった。
そしてスポットライトが舞台上に当てられる。
そこにはジローと岳人がマイクを持って立っていた。
「レディース&ジェントルマーン!!みんな集まったー?」
ざわざわざわ、
いきなりあらわれた二人に驚く生徒。
そんな者には気にも留めず言葉を続ける。
「えっとー、集まって貰ったのは〜、…。」
カンペを見ながら台詞を言っていたジローだったが、次の台詞を言わない。
「おい、どうした?」
「これ……何て読むの?」
カンペを岳人に見せる。
「は?…お前これ…革命って読むんだぞ……。」
呆れたように読み方を教える。
「バカにしなくてもいいじゃん!!ド忘れしちゃっただけだC!!」
「それよりもほら、先に進めろよ。」
「……革命返しをするためでーす!!
えっとー、知ってる人は知ってると思うけど、これはトランプのゲームで大富豪ってやつに出てくる特殊効果だね。
とりあえずプレイヤー言っちゃおうかな?
杏奈とこいつです!!」
こいつ、と言った瞬間に女子にスポットライトが当てられる。
何のことか全くわからなかったが目立つことが好きな彼女は舞台へを上がって行った。
そして杏奈も舞台袖から登場。
「でー、俺はJだったっぽいよー。さっき知ったんだけどさ。」
「ちなみに俺Q、ジローより強ぇ。」
「岳人…そのカード特殊効果ついて無いじゃん。」
数字で負けてしまったのが悔しかったジローは屁理屈を言って岳人を貶す。
「クソクソ!!進行役交代しろよな!!」
「あっ!?」
ジローからマイクを奪う。
「えっとー…なんだよ、ここから役割説明かよ。だり…もういいや。侑士たち出てくれば?」
岳人に言われ杏奈と同じように舞台袖から出てくる忍足たち。
「なんや、投槍やなぁ。まぁさっさと革命返ししようや。姫さんをそんな視線で見られとると思うと腹立ってしょうが無いわ。」
先ほどから杏奈に注がれている視線は、なんでこいつが出てくるのか。場違いも甚だしいといった蔑むような目。
当の本人は全く気にしていないようだけれど。
「そうだな。じゃぁここでこれを見てくれよ。」
スポットライトの明かりが消えプロジェクターが作動する。
3
2
1
「ねぇ、あなたドリンクにこの粉を入れるなんてどういうことかしら?」
「これ…麻薬……よね?」
「チっ、そうよ。景吾達に飲ませて私の虜にするの。邪魔しないで。」
「邪魔しないでって…あなたやってること分かってる?犯罪よ、それ。
あなたが勝手に服用して捕まるのはいっこうにかまわないけれど…景吾達を巻き込むのは止めて。」
「あ…あぁっ 杏奈ちゃん酷い!!」
「……嘘泣きもたいがいにして、そしてあなた邪魔よ?どこかに行って。」
「うっあぁあぁぁ――。」
「鬱陶しい。」
「あぁあぁぁぁああ…………
アハっ。」
「よし、ちゃんと取れてるわね。これを編集してみーんなに公開すれば私は、杏奈の立場を奪うことが出来るわ!!フフフッッ。」
映像が終わり辺りは騒然とする。
「どやぁ?姫さんはなんにも悪ぅあらへんでぇ、なぁ…自分どう落とし前つけてくれるんかなぁ?」
「ぁ……あっあ…嘘よ!!これは作り物だわ!!合成よぉ!!!」
焦るように弁解する。
しかし誰も耳を傾けない。
何故ならよく考えれば分かることだ。
杏奈が女子をいじめてもメリットが全くないことに、
杏奈は誰もが憧れる立ち位置に居るのに自らその地位を危ぶむ行為なんてするはずがないことに、
「フフフフ…なんて素晴らしい顔、これだからこのゲームは愛するべきだわ。」
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【ジョーカー】
最強カードであったり、代わりのカードとして二枚出しなどで活躍してくれる。
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[mokuji]