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友哉がテニス部に顔を出すことが当たり前となった最近。
そして今まで友哉が居るといことでテニス部ファンもここ最近出没していなかったのだが、
今回の女装コンテストで友哉がユーモアあふれるおしろい人だという認識が全校に広がり、ファンがフェンスに再び多く出現することとなった。
友哉がフェンスの方を何気なく向いても女生徒たちは臆することは無くなったし、その上を行って友哉のファンにもなりつつあった。
「守本くーん、また女装やってやぁ!!」
そんな声が時折聞こえる。
声をかけられること自体は嬉しいのだが、女装はもうこりごりだそうだ。
「友哉ー、ホンマモテモテやんか。」
部活中にもかかわらず謙也が友哉に近づいてきた。
「あー…謙也、なんだ?今部活中だろ?」
「いやな、友哉に頼みがあんねん。」
「なんだ?」
「俺、放送委員なんやけどな。明日が俺のお昼の放送の当番やねん。でな、ゲストとして友哉に出て欲しいねん。」
「…俺にメリットは?」
「もっと女子にモテるで。…多分。」
多分、とは友哉に聞こえないようにつぶやいた。
「よし、出てやろうではないか。」
「よっしゃ、さすが友哉や。」
「で、俺はどんなことをするんだ?」
「寄せられた質問に答えるだけや。簡単やろ?」
「そんなことか。楽勝。」
「ほな、頼んだでぇ。」
謙也は要件を言い終わってコートに戻る。
「……あ、財前!!」
友哉は財前を呼ぶ。
「なんですか?」
猛スピードで駆け寄ってくれた財前。
「俺、明日謙也と放送するらしいから明日の弁当はいらねぇや。」
友哉の記憶が正しければまともな弁当を食べる時間がないくらいお昼の放送は長かったはずだ。
だから毎日作って来てくれる財前に明日は弁当が不要だと言うことを伝えることにしたのだ。
「……そう、なんですか。
分かりました。また明後日から作ってくることにします。」
「おう!いつもありがとな!!
もうコートに戻って良いぞ。」
財前は言われて戻って行った。
部活も終わりを告げて家路につく。
最近は友哉、謙也、財前、そして白石がともに帰る様になっていた。
「いやー、俺の世界変わったねぇ!!ホント、嬉しいっつーの!!」
いつもよりテンション高めに友哉がはしゃぐ。
「自分今までどんだけ暗い人生送っとったんや。」
「んー?謙也…俺前にも言っただろ。最近はろくに人と話してないって、
特に女子はな危険を回避したがるから、余計に俺には寄ってこない、以上!!」
「……すんませんでした。」
「別にー、もう普通のことだから気にしてないっつー感じ?」
「なぁ…前から思っとんやけど、なんでそこまで関東では人との関わりが無かったんや?俺だって四天宝寺しめとるけどそんなことにはなってへんで?」
白石が疑問をぶつけた。
それもそうだ、白石だって一般生徒から見れば不良に入ってしまう。
しかし、避けられることは無く慕われている。
「……いやー…それが俺、やっちまったんだよなぁ…。」
「何をや?」
「そりゃ俺もこんな性格だし?自分で言うのはなんだけど関東一帯をしめてても慕われていたんだよ。
でだ、白石は自分の力、誰に対して使ってる?その暴力。」
「……不良との喧嘩や。」
「そう、それが正しい。同族に使うのは一向ににかまわねぇ。けど、俺はあいつの事件でその事件の加害者全員にその力をふるった。所謂一般生徒や教師たちにもだ。その後、強制転校で立海にたどり着いたんだよ。」
「!?」
「今はやっちまったなぁって…後悔はしてるんだが、過去には戻れねぇし。
その時の俺の暴れた噂が風に乗って尾ひれがついて、避けられるような人種になりましたとさ。」
「「「……。」」」
一同無言。
反応に困る。
「…なーに、別にもう気にしてねーって!
さーて、気分もいいし…白石、謙也ちょっと今から頼みがある。」
「「…なん?」」
「お前らの舎弟を集めてくれ!!」
「「は?」」
「今から政権交代の喧嘩をしようかと、ね!!」
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