俺はお前で、 | ナノ

俺は俺で、 第05話
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「友哉さん、誰の頼みで…この学校に来たんですか?」

二人きりになって、財前の案内の元友哉は職員室を目指している。
何な中、横を歩いている財前が質問してきた。

「んー?幸村精市ってーんだけど…知ってるか?」

「…はい、知っとります。立海テニス部部長ですよね。」

「そうそう、そいつ。
そいつがさぁ、ちょっと体調崩しちまっててな。俺が頼まれちゃったんだよ。」

「…断ること、出来なかったんすか?」

「出来なかったからここに居んだよぉ!!聞いてくれるか!?あいつ、イップスっつーチート技で俺のこと脅したんだぜ!?怖ぇよ!!
俺をこんなパシリ扱いしてんの、アイツだけなんだぜ!?」

「……そんな人が居るんすね…。」

「居て欲しくねーんだけどよ、まぁ…仕方ないなと思ってるさ。」

「それは…何でですか?」

「ちょっと…過去にな。
それから俺、テニス部とは何かしら縁があってその部長を無下には出来ねぇっつー二重縛りによってだな…。」

「…どんな奴ら、と?」

「えーっと、仁王っつってさぼり仲間だろ?真田が俺と仁王のさぼりの取り締まりに来んだろ?後柳生も風紀委員で俺の着崩しを直そうと突っかかってくるし、それから…丸井のお菓子は俺の非常食で、ジャッカルは俺のパシリ、柳には…まぁ、勉強を教えてもらったりか?
あとはー……自称舎弟の切原…かな?」

「舎弟?」

「そう、昔助けたことあんだよ、今の財前みたいにな。そん時から懐かれてて…そん時俺スレてたからそのまま舎弟にしてないって状況なんだか…してやっても――」

「ダメです!!」

財前が友哉の言葉を遮った。

「な、ぁ?」

財前が足を止め、友哉と顔を合わせる。
合わせると言うより、覗き込む。

「友哉さんの舎弟は俺だけっすよね。俺だけが友哉さんの舎弟で、俺が一番友哉に近い位置に居るんすよね。
俺、誰にもここ明け渡す気ぃありませんよ。友哉さんが新しく作ってきた舎弟なんて見つけたら俺、そいつどうにかしてしまうかもしれないっすわ。
友哉さん友哉さん?友哉さんは俺以外舎弟作らんといて下さい。
俺以外に舎弟を作ってまう友哉さんは、見たくないんで…友哉さんもどうにかしてしまいそうっすわ。」

どうにかしてしまいそうっすわ、といった財前の目には少々穏やかではない感情が見えていた。

「……ハハハハハッ!!いつの間に財前にはユーモアが追加されたんだよ、面白味のあるやつになって、ますますいいじゃねーか。
お?ここが職員室か?よかった…たどり着いたッ!財前案内サンキューな!!」

「え?…あ、はい。ここっすわ。」

丁度財前が止まったところは職員室の前だったようだ。

「じゃ、俺先公に挨拶すっから財前は自分のクラスに戻ってくれたらいいぜ?」

「あ、はい…そうします。昼休みに、また。」

財前は友哉の言葉に大人しく従い、自分の教室へ行った。

「さてさて、……自然体でいいや。」

柳に丁寧なあいさつを教えてもらって覚えていたはずだったのだが、すっかり忘れてしまったようだ。
そんな感じで、職員室の扉を開いた。

「失礼しまーす、立海大付属中学から交換転校生としてやってきました守本友哉でーす。
担当の先k、先生居ますか?」

友哉の開けた扉の一番近くに居た先生が、かなり驚いた顔をしていた。
しかし、友哉が交換転校生だと名乗ったら職員室の奥へと入って行った。

そして、先ほどの先生と少し歳をめしている先生が出てきた。

「…君が守本友哉君だな?」

品を見定めているような目つきで、友哉を見ている。

「…っすけど?」

「こちらに来てもらおう。」

「っすー。」

通されたのは生徒指導でよく使われる個室。
入って、椅子に座る様に促された。

「話というのはだな。
これから守本君にはあのクラスに入ってもらう。」

「どのクラスっすか?」

「忍足謙也と言うこの地区一帯をしめてるやつのクラスだ。
最近、その周りに不良共が集まってきて芳しくない。
君もその類の人種なのだろう?
だから少し制御してほしいんだ。短期間だがやってくれるか?」

「ぁあ?無理っすよ。」

「…それは何故だ?」

「だってこの俺が謙也に不良たちが舎弟になる様にしちまったんですもん。」

「は?」

「俺が、謙也をあんな風にした。
だから、無理っだわ。
まぁ…でも、謙也に取り巻く奴らを大人しくさせることは簡単なんで、それは引き受けてもいいっすよ。」

「な…にを?」

「さて、先生。もうこの話は決着ついたっしょ?
さっさとそのクラスに連れて行って下さいよ。SHR始まっちゃいますよ。」

ニコリと笑って、先生を拒絶。
その後に、3−2まで連れて行かれた。


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