俺はお前で、 | ナノ

俺は俺で、 第04話
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不良達の後ろから声をかけた友哉。
片腕をあげヒラヒラと手を振っている。
ヘラヘラと笑っている様は喧嘩が強いとは全く見えない。

「「「なッ!?」」」

一同が驚く、まさかタイムリーに登場するとは思っていなかったから。

「兄貴、こいつです!!多分!!」

「そう、俺です。つーわけで、その他モブは消えろ。」

「ぁあ?舐めとんのか。」

「来るなら来い、消えないんなら力づくで消す。」

不良達は挑発に乗り、友哉に拳を振り上げる。
しかし、友哉には届かなかった。
届く前にすべて弾かれた。


そして戦闘不能になった不良たち。

「あー…弱ッ。ほら、もう学校内入ろうぜ。これから朝練なんだろ?謙也。
あ、ちょっと謙也借りてくよ…し ら い し クン。」

白石の名前を最大限、嫌味に発音して謙也の腕を引っ張り門の中へと入って行った。


「ちょっ…な、んで……俺の名前…、」

友哉は歩いていた足を止め、謙也と向き合った。

「気付かねぇ?俺だよ。俺、守本友哉だぜ?」



「ぇ…え?う、嘘や。」



みるみる大きく開かれてく謙也の目。



「『もちろんいいぜ。平気ならなおさらだ。ハッピーエンドを飾ってこい。』……って言って、飾ることが出来たんだよな。」



「ホンマに…ホンマに友哉なんか?」

「あぁ、」



「幽霊とかや…ないんよな。」

「この立派な足が見えねぇのか?グオォッ!?」


強い衝撃が友哉を襲った。
勢いよく謙也に抱き着かれたからだ。

「友哉、友哉ッ友哉!!!」

友哉はポンポンと謙也の背中を叩く。

「フゥ……仲間とは、前の関係に戻れたんだな?」

「…おん。」

「…テニス、楽しいか?」

「おん。」

「今、幸せか?」

「おん!!友哉おおきに、ホンマおおきに!!!」

「おいおい、そこまでの関係に持っていけたのは謙也自身の力だろ?」

「せやけどッ…やけど、友哉が居らんかったら俺、きっと諦めてたと思うんや…。
それに、あの時ちゃんとお礼を言えんかったし、もし…もし、もっぺん会えるならしっかりお礼伝えよう思うて!!ありがとう、ホンマに…ありがとう!!」

鼻をズピズピ鳴らしながら謙也が感謝の言葉を紡ぐ。

「泣くなって、な?俺はお前が笑ってる方が好きだから、笑ってくれよ。」

「おんッ…。」

涙を荒々しく拭って、精一杯の笑顔を友哉に見せた。
そしてそれに合わせるかのごとく、友哉も穏やかに笑い返した。

「謙也の笑顔、初めて見たよ。」

「俺に憑いとったときはまだあの境遇の真っただ中やったしな。」

「ハハッ、それもそうだなガハァッ!!!」

今度は後ろから背中に強い衝撃が、
振り返ってみるとそのタックルをかましてきた奴の頭が見えた。
そして耳には色とりどりのピアスが見える。

「……財前…か?」

「……はいっす。友哉さんの舎弟の財前光っす。」

「久しぶり…だな。」

「ッ、会えるなんて…思ってもみませんでした。」

「俺も、お前らに会えるとは思わなかったぜ?」

「お前、らっすか?」

「そうだぜ。謙也に光、それから…会いたくもねぇけど白石にな。」

「………友哉さんはなんでここに居るんすか?」

話を大きく変えた。

「ん?立海生の交換転校生の代役で来たんだぜ?」

「友哉さん…だったんすか……。」

「まぁ、始めは別の奴だったんだけどよ。そいつの頼みは断れねぇっつーか…。」

「……ッ。」

だんだんと友哉に回している腕に力がこもる。

「…財前クン?…ちょーっと苦しいかな?」

「あ…すみません。」

そういって財前は抱き着いている体勢を止めた。

「お詫びに職員室まで案内しますわ。」

「マジでか、ラッキー!」

「謙也さん、部長に言うておいてください。」

「了解や。」

「じゃ、友哉さん行きましょう。」

友哉は謙也と別れ、財前について職員室まで案内してもらうことにした。


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