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クラスまで連れていかれて、生徒の前で挨拶をする。
謙也が驚いた顔をしている。まさか、自分のクラスに来るとは思わなかったんだろう。
「えー…立海大付属中学から交換転校生としてきました、守本友哉です。」
簡単な自己紹介の後、担任から守本の席はあそこだ、と指示された。
指示された席は謙也を嵌めたマネージャーの席だった。
白石の席も、謙也の席も変わっていなかったからきっとそうだろう。
「ん?そこってテニス部男子マネージャーの席だったんじゃないか?」
友哉がそう言うとクラスがどよめいた。
何故、転校生がそんなこと知っているのだと、
「あぁ、よく知っとったな。前はそうやったけど、転校したんや。」
「ふーん…白石残念だったな。」
白石の表情がピシリと固まる。
「な、にを言っとるんや?」
「ん?だってよ。お前、そいつのことすk――」
言い切る前に白石が殴りかかってきた。
が、友哉にいなされたことによってただ勢いよく駆け寄った感じとなった。
「ハ、ハハハハハ…先生。ちょっと守本君と話してきてもええですか?」
「お?知り合いだったんか?一時間目までには戻りぃや。後5分やで。」
「ありがとうございます。」
白石に友哉は腕を掴まれ、それを振り切った。
「んだよ触んな。屑が、」
一触即発な空気が流れる。
空気が張りつめた。
「……少し話そうや、守本君。」
教室の扉を開けて、白石は友哉を廊下へ出るようにと促す。
友哉も話があるのだろう。大人しく、廊下へ出た。
「おどれ、何言っとるんや。」
「あー?事実なんだろ。お前が、マネをぞっこんで愛してたんだろ?
だから、謙也をあんなことできたんじゃないのか?」
まだ友哉は許していなかった。
それもそうだ、白石達を許したのは謙也であって、友哉ではない。
友哉が一発食らわせる前に謙也に変わってしまったのだから。
「ええか?時間が無いから手短に言うが、そのことは俺の中での黒歴史なんや。二度とそのマネの話題を出すんやない。出したりなんかしたら…自分をぼこぼこにするで?」
「…へー…だったら俺の視界に入ってくんじゃねーぞ。入ってきたらテメェはフルボッコだ。」
「後、俺は先公の前ではええ子で通っとるんや。下手なことするんやないで。」
「ハン、猫かぶりかよ。気持ち悪ぃ。」
キーンコーンカーンコーン――――
「白石戻って来ー。」
先生が教室から廊下に顔をのぞかせた。
「了解や。」
先ほどの睨み合いの空気はどこへやら、
にこりとさわやかに微笑む白石。
「キモ…。」
小声で友哉は胸の内を呟いた。
時間は過ぎて、昼休み。
因みに友哉はずっと睡眠を貪っていた。
クラスが騒ぎ始めたためにやっと昼休みに目覚めた感じ。
「あ、…財前に俺のクラス言ってねぇや。」
確か昼休みにって言っていたような。
「友哉ー、財前が昼休み屋上に連れて来て欲しいんやて。」
謙也が弁当片手に友哉を呼ぶ。
「おー、マジか。つかなんで謙也に?」
「この学校な、階ごとに学年が入っとんや。2階に3年、3階に2年、4階に1年がな。
で、他の学年の階には入っちゃあかんのや。」
「へー…メンドクサイな。
まぁ、屋上に行けばいいんだな?」
「おん、俺も行くで。」
「はいはいー。」
謙也と友哉が屋上に移動。
屋上に繋がる扉を謙也が開いた。
そして友哉に広がりますは、
……何故か白石も居た。
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