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友哉は最も強い衝撃を鳩尾に食らい意識を飛ばした。
目を覚ますと太陽がかなり傾いていた。
周りには誰も居らず、部員は帰る準備にとりかかっていた。
「んっ…ててて、あー…あんだけ攻撃受けたのは初めてだったなぁ…。」
(平気か?)
「痛いっちゃー痛いけど、平気だ。ヘタレなお前に耐えれて俺に耐えれないはずがねぇ。
つか、拘束とけてらぁ。」
(小石川が少し前に外して行きよった。)
「小石川ー?」
(せや、俺に味方してる訳でも危害を加えてる訳でもない財前みたいなやつや。)
「ふーん、そっか。
……謙也、本当にまたこんなやつらと仲良くしたいのか?」
(……。)
「こんな、お前を躊躇なく攻撃してくる奴らを許して、また仲良くテニスしたいのか?」
(…俺やってもし他人が俺と同じようなことになっとったら俺はそいつを周りの奴らと同じようにすると思う。
そういうもんやろ?やから俺は誤解を解いてまたあいつらと仲良くしたいんや…仲間やし。あっちもまだ俺を仲間やと思っとってくれとるはずや。)
「そっか、よし!だったら早く打開しないとな!!とりあえず今日は帰ろう!!」
(おん!!)
体のあちこちが痛むけれど、心なしか足取りが軽かった。
部室に置いた荷物を取りに行った。
しかしそこにはまだレギュラーメンバーが居た。
友哉が扉を開け太陽を背にして部室に入った途端に部室の中はシンっとする。
「なんや、まだおったんか。」
「さっきまで意識が飛んでたからな。ほらお前らそこどけろよ。荷物がとれねーじゃねーか。」
「お前はいつから俺たちに指図できるようになったん、や!!」
一氏が殴りかかってくる。
友哉は散々謙也に殴らないようにと言われていたから反撃はせずにかわすだけにとどめた。
殴り損ねバランスを崩した一氏は無様にこける。
「お前、避けるんやない!!」
「あ?避けないとイテェだろが、俺Mじゃねーから簡単にボコられる趣味ないし。」
「大人しく殴られとけや!!」
「マジ勘弁、俺殴られたら絶対に反撃する人だから。
仲間らしいお前らを殴ったら悲しむ奴が居るんでね。」
(友哉…ありがと。)
「(いいってことよ。俺だって仲違いさせてこの現状が続いたら俺元の体に戻れなくなるし)…え?」
友哉は驚いた、
何故なら部室は笑いの海に呑み込まれたから。
「アハハハハハハッなんや!?仲間?俺とお前がか?そんな天地がひっくり返っても起きる様なこと言わんといてくれる?」
「何、を。」
(っ!?)
「謙也ぁ、お前めっちゃキモイで?」
(白…石?)
「誰がお前なんと仲間になるか。
過去の自分を責めてやりたいわ、一時でも謙也の仲間になったっちゅー事実を消したいわ。」
「おま…。」
「ええか?はっきり言ったるで、お前なんて仲間やない。テニス部…いや……すべての、敵や。」
(白石っっ。)
「(謙也、泣くな。泣くなよ。)」
「後、お前のラケット。もう要らないやん?俺らで処分してやっといたわ、感謝しぃ。」
「俺らもこんなんやりたくなかったと、ばってん仕方なか。」
友哉が部室の隅に目をやるとガットが無残にも切られ、歪に歪んでいるラケットが転がってあった。
(嘘やっ嘘や…嘘やぁああぁ!!!!!!!友哉っ俺、もういやや!!俺だけなんか!?俺だけしか仲間やと思っとらんのんか!?俺…もう死にたいっっ。)
「(こいつ等ッ!!!!おい謙也!!
……謙也?)謙也!?」
友哉がいくら呼びかけても謙也は反応しなくなった。
いつもなら感じる謙也の気配がパタリとしなくなった。
「(謙也?謙也!!なんで返事しないんだよ。今までみたいに反応しろよ!!)」
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