俺はお前で、 | ナノ

僕と君は、 最終話
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後日談。

氷帝学園にはとても静かな日常に戻っていた。
忍足君に対する虐めはなくなっていた。跡部会長が圧力をかけたようだった。どちらにせよ私情で色々やってくれた。こればかりは評価せざる負えないだろう。
それから僕は忍足君の友達になっていた。あの頃の関係はなんだったのかと聞かれたら知り合い以上友達未満と言ったところだと思う。つまり利用し、利用される関係だった。仕方のない事だとは思う。僕自身も忍足君を利用していたし。しかし忍足君も人を利用しようとするなんて案外腹黒い一面もあったようだ。
忍足君と友達になったら今度は跡部会長が僕を副会長へと指名した。勿論始めは断っていたのだが、会長命令だと言ってきて断るにも断れなくなってしまった。手塚君の会長職が恋しいよ。副会長になったら次は部活のマネージャーをしろと言ってきた。しかしこれは断った。断固拒否だ。僕は放課後暇じゃないんだ。塾に行ってるし。だから公式試合や練習試合とか人手が足りないようになったら駆り出されることになった。

今日の放課後は塾も無い。練習試合でもない。何もない。
だから僕は立海大付属中学に行ってみようと思う。

「…案外目立ってしまいますね。」

氷帝の制服を着たまま来てしまった。目立つことこの上ない。
門のところで立っていたら道行く生徒に視線を向けられる。うん。居心地悪い。

だから僕はすぐに道なりに反れた。
学校の周りをグルグル歩くことにした。僕は暇人なのかな。

「氷帝学園の生徒が立海に何か用か?」

「へ…?」

目的も疎かに歩いていたら学校の敷地内。具体的に言うならテニスコートが見える位置から身長の高い目を細めている男子に話しかけられた。
咄嗟の事過ぎてまともな返事をすることができなかった。少し反省。

「偵察か?」

「あ、いえ、僕はそう言った者ではないですよ。僕はちょっと友人を探しているだけで。」

「そうか。」

僕はどうやら偵察と間違われていたらしい。
いや、テニスは確かに忍足君達がやるから全く知らないわけではないけれど、ほとんど知らないよ。あまり興味もないし。
でも立海大は強いんだっけ?三連覇を今年はするとか、すごいよね。
僕はふと視線を練習をしている部員達にやった。そこで僕は驚いた。だってとてもカラフルな髪色の彼が居るのだもの。

「あ…彼は……。」

「ん?…あぁ、守本の事か?目立つ頭だろう。テニス部に居ても目立つんだ。いつも風紀委員が追い回してる。」

「フフ、そうなんですか。…彼はテニス部に入部しているんですか?」

「いや、助っ人と言った所か?まぁ遊びに来ている様なものだろう。」

「そう、…なんですか。楽しそうですね。」

「そう見えるか?まぁ、楽しいんだろうな。対等に付き合ってくれる友達が出来て。因みに俺も友達だ。」

「友達、ですか…?」

「あぁ、意外か?」

「いえ…まぁ…意外だと思いますね。」

舎弟しか作らなかった友哉がお友達なんて対等な人と関わりを持っているところが。
なにか、あったのかな。

「そうだろうな。不良と仲良くしていても自分の評価を下げるだけだからな。
しかしそんなデメリットを抱えても守本とは仲良くしていきたい。とても面白い奴だ。」

「そうなんですか。」

「あぁ、」

「柳――!」

あ、友哉…。何も変わってない。いや、変ってるかな。
僕以外の人の名前をあんな風には昔呼んでいなかったから。
少し嫉妬しちゃうかな。けど、嬉しい。友哉は孤独じゃないんだ。

「おっと失礼。呼ばれてしまった。また会おう。守本の幼馴染君。」

「…ばれていましたか。流石データマンですね。」

「俺のことを知っていたのか。」

「先ほど柳と呼ばれていましたので、それで気が付きました。」

「そうか。ではまた会おう。」

「はい、次会ったら友哉の事、教えてください。」

「ああ、承った。」











「柳ー次コートに入って、つーか誰と話してんだ?」

「あぁ、教授の知り合いだ。さっき俺の知り合いにもなった。」

「へー、また頭のよろしい奴か。お前って本当に類は友を呼んでんのな。」

「類は友を呼びやすいだろう。しかし俺としてはお前の様な奴が俺とか精市とかと友達なのが不思議だ。」

「なッ、それはお前らが俺にくっ付いてきたんだろうが!!」

「迷惑か?」

「…………迷惑じゃねーけど…。」

「ハハ、嬉しい事を言う。
まぁ、今度紹介してやろう。きっと泣いて喜ぶぞ。」


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