▼身代わりメイドとなんでもない話

「……そういえば」
「もご?なんですか?」
「ああ……いや。お前、あの国には多少でも思い入れがあるか?」
「あの国?…ああ。いや、まあ…特には。国王は苦しんで死ねと思いますけどね」
「ハハッ。そうか。じゃあいい」
「はあ…?え、なんか不完全燃焼してない?興味はないけど逆に気になるじゃん言ってよ」
「…聞かなかったことにしてもいい」
「はい」
「先日お前の故郷を訪れたとき、殺される覚悟をしたうえで、最後はお前と死にたいと泣いた怖いもの知らずのメイドが居たなと、ふと思い出しただけだ」
「…」
「怖いもの知らずはお国柄だなと思ったが、それでもやはりお前は一等だな」
「…ああ…」
「…聞きたくなかったか?」
「…ええまあ…」
「大っ嫌いな裏切者ばかりの故郷だしな」
「…ええ…」
「…」
「…あはっ、っぐ、わたしのこと、チョロいなって、思います?ふふ、…ぐすっ」
「お前は割と最初から詰めが甘いよ」
「ふは、うるせーわ…」



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