▼逃亡に失敗した13女には行き場がない

なんだっけ。なんだっけ。ここはどこなんだっけ。これはだれなんだっけ。どうしてこの足は動かないんだっけ。どうしてこんなにも頭が働かないんだっけ。
ああ、思い出せない、思い出せないなあ。
あの娘と遊んだ、あの人とお菓子を食べた、あれもこれもきれいな記憶ばっかり、どれもこれも継ぎ接ぎで、まるで出来の悪い映画でも見たみたい。
「姉さん!今日はね─────」
でもね、なんとなくこれがだれなのか“知識”はあって、故に何が起きているのかも大体、“知識”でわかる。だってそうよね、生まれる前の記憶なんて、きっと疑いもしなかったでしょう。
「──────わたし、兄弟なんていないわ」
「え」
「わたし、あなたたちの姉でも妹でもないわ」
でも、きれいなものばかりじゃもう記憶だなんて呼べないし。
それってもうきっと、わたしじゃない。

▼兄弟姉妹みんなみーんな大騒ぎ
▼選択肢を間違えたのは誰だった?

──────
ろぐぼ募集してみよう企画そのA
『カンタレラの聖杯にの後の話』。

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