「うっひょおぉラッキー!!彼奴になら確実に勝てるぞ赤丸!!」

「ワン!」










「第七回戦!!
渦巻 鳴門 対 犬塚 牙

      始め!」

両者が下に降り、試験官の疾風がそう叫んだ。

「うひゃほぉう!もう勝ったも同然!ラッキーだぜ赤丸!!」

「…ク〜ン…」

フード付きのジャンパーの中に入って行った赤丸は、急に震え始めた。

「どうしたんだ赤丸!?」

「凄い震えてんじゃねーか」

くすくすと笑っていると、赤丸は牙のジャンパーの中に隠れてしまった。

「鳴門テメー赤丸に何かしやがったな!?」

「する訳ねーだろ…馬鹿かお前」

「鳴門…お前」

俺の豹変振りに気付いた牙が、驚きを隠し伐れてなかった。

「其の喋り方…其れに其の顔…」

「俺の顔がどうした?普通だろ此…可笑しいか?」

「普通じゃねーから言ってんだろ!」

「……v」

瞬身の術で牙の後ろに立つ。

「お前が今迄見て来たのは全部ウ ソ。まぁ今はまだ言えないけど…」

言い終わると同時に牙の首に手刀を食らわしてやった。

「煤cぅ!?」

目を見開き、牙はゆっくりと地面へと倒れて行った…。
「本選の時に楽しみにしてれば?」

そう言って俺は二階に居る鹿丸を見上げた。

此はお前への言葉、だから…本選に勝ち進んで来い。

其の時、お前との条件呑んでやるよ…。

「……しょ…勝者、渦巻 鳴門!」

其の場所から瞬身の術で二階へ戻った。

向かい側の二階に居る我愛羅を見つめた。

(…殺すなよ?)

(…努力はする)

瞬身の術を遣い、我愛羅はパネルに何も出無い内に下へ降りた。










漸く予選が終了した。

勝ち進んだのは

俺 我愛羅 勘九郎 手毬 螺子 佐助 滋之 鹿丸の8人。

此の後、トーナメントを決める為のクジ引きをさせられた。

順番はこうだ。

一回戦、
渦巻 鳴門 vs 日向 螺子

二回戦、
奈良 鹿丸 vs 勘九郎

三回戦、
油目 滋之 vs 手毬

四回戦、
我愛羅 vs 団扇 佐助

と決まった。

「予選は此にて終了!

一ヶ月後迄、解散っ!!」

一ヶ月後か…。
楽しみだ…しかし、一ヶ月後はちょっと長いっつーんだよ爺…。










其れから一ヶ月が経ち、中忍試験第三の試験 本選の日…。

「いよいよじゃな…」

木の葉を見渡せる場所に爺と俺と鼬は居た。

俺は変化をし、何時もの様に暗部装束に身を包み、狐の面を…鼬も同じく暗部装束に身を包み、前に使っていた猫の面を…。

「大蛇丸とも、今日でお別れだな。悔いのないよう色々話しとけよ?」

「其の心配は無用じゃ。あやつが狙っておるのはワシ…嫌でも話すわい」

「まぁ…元部下の最後位はちゃんと見てやれ」

「分かっておる…」

そう言うが、どこか悲し気な表情だった…。

「さて、行こうか…」

「はい」

「そうじゃな」

向かう先はもちろん第三の試験会場。










多くの大名や観客で賑わう奴等を見渡せる程の高い場所に影専用の席は在った。

「此は此は風影殿。遠路はるばるお疲れじゃろう」

大蛇丸…。

「いえ…今回はこちらで良かった。まだお若いとはいえ、火影様にはちとキツい道程でしょう。早く五代目をお決めに成った方が良いのでは…」

「…ハハ…まぁそう年寄り扱いせんでくれ、まだ五年はやろうと思っておるのに…」

「…」

「…」
「そちらの暗部の方は?」

俺と鼬とは気付か無いし…何とも気の抜けた奴だよ。

「こやつ等はワシの尤も信頼する優秀な部下じゃよ風影殿」

「そうですか」

「では、そろそろ始めますかの…」

爺は椅子から立ち上がると、会場を見渡す様に

「えー 皆様、此の度は木ノ葉隠れ中忍選抜試験にお集まり頂き、誠に有り難う御座います!!

此より予選を通過した8名の『本選』試合を始めたいと思います。どうぞ最後迄ご覧下さい!」

いよいよ始まった本選。

此処に来る前に作っておいた分身は会場の下で歓声を受けて居る。

大抵の攻撃を食らっても、消えない様に頑丈だから大丈夫だ。

「一回戦!!
渦巻 鳴門 対 日向 螺子!」






























旧家 日向家の子供。
分家の此奴が日向の血を一番濃く受け継いでる、と聞いたが実際どうだかな。

「…」

俺の分身にどれだけ抵抗出来るか、見物だ。
ちょっとやそっとじゃ、勝てねーぜ?










「白眼…っ!」

「どうした?」

くすくすと笑ってやると、此奴の顔が少しだけ歪んだ。
何かに気付いたか…。

「お前…」

やっぱり………。
でも、今其れを言われちゃ困るんだよね。

「コラコラ!今考えてる事言うなよ?どうせ後に成って分かるし」

― シュッ… ―

「…ね?」

瞬身の術で螺子の後ろに立ち、肩に手を置いた。

「狽チ!?」

ピク、と体が跳ねた。
会場はざわつき始め、螺子は俺を振り返ると同時に攻撃を仕掛けて来た。

「おっと…」

拳を避け、後ろへ飛んだ。

「貴様、遊んでるのか…」

「俺はそんな事考えてねーよ。でも、あの人は…遊び足りないみたいだけどね」

口の端を持ち上げて、俺は螺子に多数の手裏剣を投げ付けた。

― シュシュッ ―

― シュシュッ ―

「回天!」

ズザザザザッ…

へぇ、此が回天…。

俺が投げ付けた手裏剣は其の回天により、螺子の足下へと空しく散った。

「ふ〜ん…」

「此で終わりにしよう。
お前は俺の八卦の領域内に居る…」

スゥ、と螺子は構えを変えた…

「…(どうする?)」

本体の俺に目を向けた…。

「(良いじゃん…食らってみたら?)」

「(痛い思いするの俺だって分かってる?…ったく)」

溜息を付いて俺は螺子に視線を戻し、今から来る攻撃に備え歯を食いしばる。

「柔拳法 八卦六十四掌…
八卦 二掌!四掌!八掌!!」

「ぐっ…」

やっぱり痛いじゃん…。
本体様は何を考えてらっしゃるのか…。

「十六掌!!三十二掌!!六十四掌!!!」

64回も受けたのは良いけど、チャクラを全然感じないのは…気の所為だろうか…?

「ヤバい…」

ポフン…と音と共に俺、分身は会場に集まる皆の前から消えた。

「…分身……やはり」

― ザワッ… ―

又しても会場はざわつき、試験官で在る幻魔も今の状況を把握出来ずポカンと口を明けている。

そして、当の本体の俺はと言うと…。

螺子の攻撃を食らった分身が消えるのを一部始終見て、

「(ちょっと行って来るよ)」

「(…御意)」

スタスタと歩き、

「?(鳴門…)」

「?」

其処から、下の会場へ飛び下りた…。










― シュタっ… ―

突然 降りて来た俺に周囲の目は集まって来る。

「俺の分身はちょっとやそっとじゃ消えない様に頑丈に作っておいたんだがな…」

そう言って俺は変化を解いた。

― ポフン… ―

「狽チ…!?」

驚きに此でもかって程目を見開いてる螺子と試験官…其れに爺と鼬他正体を知ってる奴以外の会場に居る奴等。

あまりの驚きに言葉を失った様だ…。

「…」

「…あんまり時間掛ける事したくねーんだよ…」

弱い相手楢、余計にな…。

「悪いが速攻でケリ付けさせて貰う…」

言い終わりと同時に目の前に行き、腹へ重い一発を入れてやった。

「狽ョ…ぅ……」

バタン…と倒れた螺子に試験官が近付き、顔を覗き込んだ。

「…勝者 渦巻 鳴門!」

初戦の試合が終わったってのに、場内はあっけらかんとしてる。

拍手とか、普通在るだろ。
とか思いつつ俺は爺の居る場所へと戻った。

「ご苦労、ではないの。…でも良かったのか?バラして…」

「良いんだよ。どうせ今日自分でバラすって決めてたし、時間が早まっただけの話だ」
























【鹿丸Side...】










彼奴が………。










鳴門が暗部……!?










そう、だよな…あの実力だし









暗部に居ても可笑しか無いよな…。










何だ此の震えは……。









「ちょっとー鹿丸大丈夫ぅ?」

「あ、嗚呼…」










武者震いってヤツか…。










交換条件…。
やっぱり約束通りに教えてくれんだ鳴門の奴…。










分かったよ…。










次の試合。










俺と鳴門が当たる楢…。




























【勘九郎Side...】





「第二回戦、奈良 鹿丸と勘九郎」

俺の名前が呼ばれた。

「…俺は棄権するよ」

でも、此勝ち進んだりしたら、当たるの鳴門じゃん?

「勘九郎…?」

そんなの鳴門相手に手が出せる訳無いじゃん。
鹿丸とか言う奴に負けるとかそんなんじゃねー。

「鳴門と戦いたく無い…絶対遊ばれて終わるに決まってるって…」

「…其れもそうだな」

鳴門と戦いたく無いが為に、棄権した俺。
奈良とか言う奴には悪いけど、鳴門に遊んで貰え。





【鹿丸Side...】





「俺は棄権するよ」

狽ヘぁああっ!?
何 言ってんだ彼奴…。

最後迄来て 棄権はねーだろ?
まぁ此で鳴門と当たるのは、確実に成ったから良いんだけよ。

不戦勝か…。
どうせ楢、勝って進みたかったぜ………。










【鳴門Side...】










勘九郎が棄権………。
良いのかこんな事して…

鹿丸の力量は全然分かって無い今の状態の中、勘九郎と当たっても彼奴が負ける可能性は多いに在るが…。




でも、まぁ此で鹿丸と当たるのは確実に成ったな。



早く手合わせしたいもんだ。








其の後に行われた第三試合。

油目 滋之 対 手毬

此は途中で滋之がギブアップして手毬の勝利に終わり…


第四試合…

我愛羅 対 団扇 佐助

此はどう見ても我愛羅の方が有利で、佐助も頑張っていたようだが、最終的には我愛羅の勝利で終わった…。










トーナメントの準決勝へと駒を進めると…

「今年は優秀な強者が集まっておりますな火影様?」

こんな事を言い出す大蛇丸に笑いが出てきそうだった。

強者って何だよ…。

強者が集まってて当たり前だろ。
準決勝に駒を進めた奴等はお前より弱いんだぜ?

「そうですな。此ならば集まって下さった観客も喜んでいるでしょう」

爺も爺だって…。
そんな事言うから中忍試験のレベルが低くなるんだよ!

他国じゃ殺し合いとかしてるらしいじゃんか…。
何か凄く面白そうなのによ…。
 

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