あの後、佐助の気配が近付いて来て…。

「此の事は俺がやった事にすればいい」

「何言い出すんだ鳴門!!」

「此の侭大蛇丸を野放しに出来ないから言ってるんだ。
団扇を皆殺しにしたってなるとS級の犯罪者。里を抜けるしかないし、其れなら大蛇丸を追える」

「駄目だ!其れは絶対に駄目だ!」

「鼬…何で…」

「鳴門は団扇と関係ない!
俺の方が理由がつくだろ…
火影様、俺が大蛇丸を追います。此の事は俺と鳴門、火影様以外の人間には他言無用です!俺がやった事に!!」











「あの時、佐助には嘘を教えて鼬は抜け忍となった。此も全部俺の所為なんだよ」

直ぐにちゃんとしたいい判断してればよかったんだ。

だからこんな事に…。

「薄ツ門の所為じゃっ…」

「ううん…俺の所為だよ。
早くに大蛇丸の刺客に気付いていて先回りしてたら、鼬がやってもない罪を背負う必要もなかったんだ…佐助ともぎくしゃくしなかっただろ?
だから、あの時俺が行けばよかったんだ…」

「鳴門…」

「佐助よ」

涙を流す佐助に、爺が近付き肩に手を添えた。

「よく聞いてくれ。鳴門も鼬も悪くない…鼬には大蛇丸を探って貰おうと、判断しSランク任務を鼬に言ったのはワシじゃ…」

「もういい。母さんや父さんを殺ってない兄貴を憎んだって仕方ないし…其れが大蛇丸の仕業だって分かったから…」

そう言い終わると、佐助は涙を拭った。










其れから、本題へと移る。

「で、此の集まりはやっぱ大蛇丸に関して?」

「嗚呼…大蛇丸が木の葉崩しを企んでる」

其の情報を流してくれたのは、他でもない我愛羅だった。

「へぇ、本当だったんだ」

「知ってたのか?」

「音忍の奴らが表情変えてて、そうなのかなって。確信はしてなかったけど」

我愛羅が早々と情報を流してくれたからこそ、こうして緊急会議が開かれてる。

「親父を殺して彼奴は風影になり済ましてるんだ」

「何故そうと…?」

「もう、此の世には存在しないんだよ…」

砂隠れの里の長、風影だった我愛羅の父親は亡き人となって砂隠れの領土内で見つかった、と。

「そう、か…。
いよいよ、決着を付ける時が来たな…彼奴の遊びに付き合ってやるのも終わりにしようぜ」

大蛇丸は俺達木の葉を見縊ってる。
木の葉と砂がどんな絆で結ばれてるかなんて…お前は知らないだろう。

裏切ったと分かった彼奴の驚いた表情を今から楽しみにしてっからさ。

予想を裏切らない反応を見せてくれよ?大蛇丸…。

「鳴門、今回は第3の試験の前に予選をする事になっての」

「予選?どうでもいいけど、多分予選の時は手を出して来る事はねーだろ。
本選の時に彼奴は動く…」

「其れまで、気を抜くでないぞ本選当日は万が一の時を考えて暗部部隊を会場と街に待機させておく」

「分かった。あ、兜はどうする?彼奴又スパイしてるし…殺る?」

彼奴は絶対予選で逃げるだろ。
其の前に、始末しとくか…?

「鳴門に一任する」

じゃあ決まりだな…。

「分かった。鼬、行くぞ」

ソファから腰を上げた。

「御意」

「桜と佐助は我愛羅たちと一緒にいろ。
我愛羅、悪いけど二人の事頼む」

「任せろ」

「有り難な我愛羅」

そう言って、俺は鼬と一緒に其の部屋を後にした。

「一応変化しといてよ。まだ里の奴らは知らないんだから」

「分かってるよ」

変化した鼬と、其の塔を後にした。

「何処にいるかな…」

「変わってないな鳴門は」

「何が…?」

「そうやって手を口に当てて笑う癖」

「…そうか?」

自分では全然気付かなかったが、鼬もよく覚えてたな。

「そうだよ」



















兜の気配を辿る。
其れは簡単に見つけられ、俺と鼬は直ぐ様其処へ向かった。

兜がいる場所へ着くと、其処は戦闘が始まる瞬間だった。

「巻物を渡して貰おうか…」

「嫌だ、と言ったら?」

「其れなら…奪い取るまで!」

近くの木の上で少々見物する事に。

兜は1人。相手は3人。
だが、此の3人が兜に敵う筈もなく…

「悪いけど巻物は貰っておくよ」

あっさりと終わった此の戦闘。
兜に何の抵抗もなくして敗れるなんて、相当弱いんだな彼奴ら…。

其れにしても俺たちの気配にすら気付かない兜に笑いが出て来るよ。
どんだけ弱ければ気が済むんだお前も…。

「どうする?」

「此処で殺っても、面白いとは思うがな…」

「クス…もっと面白い内容のストーリーを期待してるんだな鳴門は」

「当たり前だぜ?あんな雑魚と遊んでやるんだから、其れなりの舞台は用意しとかねーとな」

本選の時にどっかに紛れ込んでるだろう…。
そう焦る必要もねーしな。

「其れに、焦らすのも少しは面白いだろ?」

「…フフ」

「まぁ、少し様子見って事だ」

「じゃあ、帰るか」

「嗚呼」

其の場を後にし、元来た道を戻って行く。










元居た場所に戻って来ると、さっきより人数が多くなっていた。
殆どが緊急で集められただろう、暗部の各部隊長が勢揃いして居る。

入って来た俺と鼬に少し戸惑いを見せているようだが、俺が蒼翠で鼬は無罪だって事を爺が此奴等に説明したんだろう。
さっきみたいに声を上げる奴はいなかった。

「鳴門…もう、済んだのか?」

「面白くねーから引き上げて来た。で、そっちは何してんだよ」

爺を中心にテーブルを囲っていた。
其処に近付くと、目の前にいた2人が場所を譲るように退き、俺と鼬はテーブルを覗き込んだ。

「作戦会議、と言った所かの」

其のテーブルの上には木の葉の全体地図や格場所の拡大した地図が広がっていて、所々に部隊名が記されてる。

「…?」

本選会場の地図に目が止まる。
其処にも暗部を数名置くらしが、部隊名ではなく個人の名前が記されていた。

「…此奴ら…誰?」

「此奴らか…?」

地図に記されてる名前を指指す。

「皆、中々の…」

「何処の奴なんだって聞いてんの」

「各部隊から優れた者を配置しておる」

「其奴ら他に回しとけ。
案山子も他の上忍中忍がいるんだ心配ない。
あ、其れと試合中、俺と鼬は爺の傍に仕える」

大蛇丸は風影に扮装してるって言ってたし。
何処でどう動くか、傍で見てたいし。

「試験はどうするのじゃ?」

「分身にでもさせておくさ」















中忍試験 第二の試験が終了した。

そして、中忍試験第3の試験の予選当日。

残ったのは6組18人。
俺のチームと鹿丸、牙、螺子、兜、我愛羅チーム。

「其れでは此れから火影様より第3の試験の説明がある。
各自、心して聞くように!!
では火影様、お願いします!」

「うむ。此れより始める第三の試験…其の説明の前にまず 一つだけ…はっきりお前たちに告げておきたい事がある!!」

其れから始まった年寄りの長話。
うんうん聞いてる此奴らを横目に、早く始まんねーのかよ…と溜息を付いた。

爺の話もつまんないし、其れを誤魔化す為に瞳だけを動かして爺の後ろに立つ中〜特別上忍の顔を見渡した。

案山子、亜須磨、紅、餡子たちが勢揃いしてやがる。
其の中でも、一番気味の悪い奴と目があった。

大蛇丸か…

此奴は俺の顔を見るやいなや、口の端を持ち上げた。

エラく余裕かましてんだな大蛇丸…。
でも其れももう終わりなんだぜ?
其れまでうんと兜に我儘言ってろや。










爺の話が終わると、第3の試験の説明をしに月光 疾風とか言う特別上忍が現れた。

「皆さん初めまして疾風です。えー、皆さんには第三の試験前にやって貰いたい事があるんですね……」

ゴホゴホと咳き込みながら話す疾風に会場の誰もが、大丈夫か…と思ってしまう程顔色の悪い奴だ。

「えー…其れは本選の出場を懸けた第三の試験予選です」

「?予選!!?」

「予選って…どうゆう事だよ!!」

「先生…其の予選って…意味が分からないんですけど…今残ってる受験生で何で次の試験をやらないんですか?」

「えー、今回は…第一・第二の試験が甘かった所為か…少々人数が残り過ぎてしまいましてね…」

其りゃそうだ…。
こんなレベルの低い試験、誰だって突破して当たり前だっつーの。

「中忍試験規定にのっとり予選を行い…第3の試験進出者を減らす必要があるのです…。
えーー、と言う訳で…体調の優れない方…此れまでの説明で止めたく成った方、今直ぐ申し出て下さい。此れから直ぐに予選が行われますので…」

「……!!此から直ぐだと…!!?」

さて、どうするんだ兜…。
何時通り尻尾巻いて逃げんじゃねーだろうな…。

チラ…と兜を見て見ると、此奴はゆっくりと手を上げた。

「あのー…僕は止めときます」

まぁ仕方ないか…木の葉の中忍試験通過したら、スパイする意味なくなるもんな。

「えーーと…木の葉の薬師 兜くんですね…では下がっていいですよ……」

俺や我愛羅に当たったりしたら、此奴絶対…死んじゃうし。
いい判断だよ兜…でも、お前たちを生かしておく事は出来ねーけどな…。

「他には…いないようですね。
えーでは、此れより予選を始めますね。
此からの予選は1対1の個人戦、つまり 実践形式の対戦とさせて頂きます」

兜が抜けた事で人数は17人に成った。

ルールは一切なしで、死ぬか倒れるか…負けを認めるかのどれかで勝敗が決まる。

「では早速ですが、第1回戦…」

弱い奴の観戦なんて見てもつまんねーし。

「鳴門どうだった?」

「…何が?」

「第二の試験」

「…クソだ糞!
まぁ向かって来た奴殺ったから少しはマシになったけど」

周りの奴らは佐助と鎧の対戦に食い付いていた。
そんな中、俺は見る気もないし壁に背中を預け、地べたへと座ってた。
案山子は俺の隣に立ち、対戦を目で追っている。

(大蛇丸が動くの本選の途中だって。手毬ちゃんの扇を振り翳したら開始だって言ってたよ)

(そうか。本選の時、俺と鼬は爺の傍にいるから雑魚はお前で始末しとけ)

(了解…あ、そう言えば前に鹿丸くんが鳴門見てたの在ったでしょ?アレって何だったの?)

(あ〜…アレね。案山子に向けた殺気に気付いたんだと)

(あの殺気を!?)

(だから気になったんだって。任務終わった後、つけられてさ…其の時の気配の消し方、お前より…上だった)

(煤c!?奈良くんって一体…)

(だろ。俺も気になってんだ…彼奴が何者かって…)

俺の傍で対戦を見ている鹿丸を、チラ…と視線を向けた。
俺の視線に気付かなかった鹿丸は面白くなさそうにただ、対戦を見ていた。

(まぁ…本選の時に俺と鹿丸が当たれば、彼奴の実力を確かめてやるさ…)

(レベルの低い試験の中じゃあ、唯一楽しめるね?)

「…そうだな…v」

「あ…終わったみたいだね。お〜佐助勝利」

丁度、1回戦も終わったようだ。

「次、誰だろうな」

其処から立上がり、パネルへと目を向けた。

勘九郎 vs 鶴来 三角

此れもれ此でつまんない戦いで勘九郎の勝利。
初めから勝敗が分かってる戦いなんて本当つまんねー。

其処いらの下忍が、勝てる訳がないっての。





其れから、
春野 桜 vs 山中 猪
此れは引き分け。

テンテン vs 手毬
此はもちろん手毬の勝利。



着々と試合が終わって行く中、次に発表された対戦者は…

渦巻 鳴門 vs 犬塚 牙
 

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