俺を取り囲む様に陣形を取ると、先ず針鼠が俺に向かって来る。

前に戦って分かった事…

「確か、分身が避けた時『避けても無駄』とか言ってたな…」

「其れが…」

「お前の武器は音、かな。だから避けたって音楢意味ないし、其れに絶対相手の耳に届く…」

こんな感じだろ。

「見事だね…そうだよ僕の武器は音。でも其れが分かったとしても避けられる事は絶対ないけどね」

くすくすと気色悪りぃ笑いをする此の針鼠。

「切り落とすか…」

小さく呟くと、俺は両手にチャクラを集め始めた。

「其れ凄いね…でも僕の前では意味がないよ?」

エラく自信があるみてーだな。
攻撃する前に音を出してたらいい話なんだろうが、其の前に切り落としてやるよ。

「…お前の攻撃と俺の攻撃、どっちが早いかな」

「其れは僕に決まっ…」

瞬時に針鼠の前に移動し、両手を振り上げた。

「うぁああっ!?」

「「買hス!!」」

ゴト、ゴト…と地面に落ちる腕。

「何が僕に決まってるだ。言ったろ、俺の前じゃ子供騙しにしかなんねーって」

切り落とした腕を、足で踏み付けた。

夥しい量の血が、此の針鼠の周りに滴り落ちて血の水溜まりが出来ている。

「買eメェエー!!!!」

腕を切り落とした事による怒りか?
ツンツン頭の奴は俺に掌を向けた。

「…!」

何か空洞のような穴が在る…。
何だアレは…。


−シュッ


其奴に向かってクナイを投げた。
すると、其奴は向かって来るクナイに両手を翳(かざ)した…


ギュォオー!!


掌の穴から出たのは勢いのある気持ちいい風。
クナイは軸を変え、俺の方に飛んで来るのを首だけ動かし、クナイは顔の横を通り過ぎて木の幹に深く刺さった。

「…」

何だよ…。
音といい空気といい…。

「似た者同士だな…テメーらは」

ドスとか言われてた奴を見ると、何時の間にか倒れてるし…。
もう駄目だな此奴…。

「何だと此のチビ…」

「テメー…此の俺に対してチビだって…?」

下忍でも分かるくらい、4割程の殺気を込めてツンツン頭を睨んだ。

「おい…テメー誰に向かってチビっつった?あ゛ぁ!?」

「「狽チ…!?」」

俺が睨んだ瞬間、女諸共(もろとも)ツンツン頭は腰を抜かして尻餅を付いた。

「言ったよな…相手の力量くらい見分けねーと返り打ちになるのがオチだと。
其れも分からねー割りに此の俺にチビ呼ばわりとは、テメーそんなに死にたいのか?」

尻餅付いてるツンツン頭の近く迄歩き、俺は其奴を見下ろした。

「何か?テメーは其の程度で自分は強いとか思ってんじゃねーだろうな?」

「っ…」

「弱い奴程よく吠えるって言うのは当たってたな…。
今度から言葉使いには気を付けろカスが…」

「其のくらいにしといてやれよ」

ガサガサと叢から顔を出して来たのは…

「何で自分から出てくのよー!」

「そうだよ!!」

「隠れても無駄だって…」

気付いたのは、ドスとか言う奴の両手を切り落とした後。
10班の3人が向かって来てたのは知ってた。
身を潜めていた事も。

中々出て来なかったから無視してやったのに…。

「…」

興が失せた俺は其奴の心臓を一突き。

「買Oっ…ぁ……は…」

服に血の染みを広げ、ツンツン頭は ドサっ…、と地面に倒れた。

「買Uク!!」

そう言えばいたんだったな。
次に俺は女に目を向け、クナイを投げた。

ザクッ

「…ぁ…」

額に刺さり、女は目を見開きながら後ろに倒れていった…。

折角遊んでたってのに、此奴らの所為で台なし…。

「…で。何しに来たんだテメーらは」

「物凄い叫び声がしたから来ただけだよ…」

「…鳴門。アンタどうして」

どうやら今の状況を判断出来たようだ。
猪は周りに転がってる奴らに気付き、目を見開いていた。

「向かって来たから殺っただけの話だ」

俺は音の奴らが所持していた地の書を見つけた。

「どうやら、あの約束の日が今日みてーだな…」

「だったら?」

「約束通り、教えて貰うぜ」

そんなに俺の事が知りたいんだな此奴…。
でも、此処でアッサリ教えてもつまんねーしな。

「気が変わった」

「…は?」

「折角楽しく遊んでたのを邪魔するテメーが悪いんだよ」

そうそう全部鹿丸の所為だっての…ちょっとは場を弁えろ!

「狽ソょっ…鳴門!?」

無視して俺は鹿丸たちに背中を向けた。
何もなかったかのように、音隠れの3人の亡骸を炎で焼き払い、まだ寝てる桜たちの所へ。

印を結び、結界を外す。

「桜、佐助起きろ」

「…鳴門…」

「…お早う」

伸びをして、桜が猪たちに気付き首を傾げた。

「…何でいるの?」

「気にするな。早く立て…先を急ぐぞ」

「ぇ…えぇ」

「…嗚呼」

腰を上げ、俺たちは10班の奴らを其の場に残して移動を始めた。









中央の塔まで、後半分くらいかな…。
結構時間ロスしたな。
此奴らがもっとデキてたら昨日の内に辿り着いてたんだが…。

「此の侭塔に向かうぞ」

「地の書はどうするの?」

「其れならもう奪って来たから心配すんな。
今から塔まで休憩なしで行くから覚悟しろ」

人を待たすのは、性に会わないけどさ。
もう大分待ってるんだろうな…と予想が付く。









もう少し待っててくれよ。










其れと御免な…『 』。










やっと…会える…。










でも、後少しだけ…。










もう少しだけ…待って。










今から、そっちに向かうから…。





















其れから塔に着いたのは4時間後だった。

「は…ぁ…はぁ…っ」

「…着いたな」

4時間ぶっとおして走っただけで此の呼吸の乱れ様。
やっぱ此奴ら弱いよな…たかが4時間位でへばるとは…。

はぁ、と溜息を付いた俺。

「行こう」

「ええ」

「…」

塔のドアを開け、中に入った。
もう一つ前にドアがある。
其処を無言の侭開くと、中には誰もいないただっ広い空間。

「ねぇ!鳴門アレ見て…」


゛天゛無くば
智を識り機に備え
゛地゛無くば
野を駆け利を求めん

天地双書を開かば
危道は正道に帰す

此即ち" "の極意
……導く者成り

     三代目


爺の筆跡の書が壁に飾られてあった。
爺もややこしい事したよな。

弱い奴は弱い。
強い奴は強い。

其れでいいじゃねーか。
そんな御託はいいんだよ…。

其の侭、佐助と桜に巻物を開けさせた。
其れを開くと巻物には口寄せの術式が書いてあった。

其の巻物を地面に置くと…

シュゥウと薄い煙が出始め、ボフン、と濃い煙が当たりを包んだ。

「「??」」

其の煙の奥に見える人影に俺は目を細めた。

「久しぶりだな、鳴門」

「泊エの声はっ!?」

煙の中から現れたのは、俺も佐助もよく知る団扇 鼬だった…。

「久しぶりだな鼬。元気にしてたか?」

「もちろんだ」

久しぶりの会話の中、佐助は目一杯見開き、鼬の事を睨んでいた。

「取り敢えず、第二の試験合格だ。募る話もあるからな……一緒に来て貰えますか蒼翠様?」

「嗚呼。桜と佐助も一緒に来い」

有無を言わせず、俺たち4人はある場所へと向かった。










着いた場所は此の塔の最上階。
コンコン…とノックすれば、中から爺の声が聞こえて来た。

「開いとるぞ」

「失礼します」

ドアを開け、中に入ると爺と案山子に餡子、其れに上忍の男が2人に暗部が3人。

「「団扇 鼬!?」」

咄嗟にクナイを構えるが、其れを爺が阻止した。

「其の話は後じゃ」

「久しぶりだね鼬v」

「お久しぶりです。案山子さん」

「待ってたわよ鳴門!」

其れと…

「待ってたよ鳴門君」

「遅かったじゃん鳴門」

「待たせたな…悪りぃ」

「いや、気にするな」

「そうだよ鳴門。水臭いじゃないか」

砂隠れの里の4人。

我愛羅に勘九郎に手毬と担任上忍。

「我愛羅達元気そうで安心したよ」

くすりと笑い、中央にあるソファに腰を掛け足を組んだ。
すると、爺が俺に近付いて来、口を開いた。

「鳴門の耳に入れておいて欲しい事が在るんじゃ…」

「大蛇丸だろ?」

「知っておったのか?」

「俺隊長に接触して来た。佐助が狙いみたいだけど」

「佐助、何もされてないかの?」

「爺…テメー俺に喧嘩売ってんのか?」

殺気を出さずに爺を睨んでやると…

「火影様に何て口の聞き方してるんだお前は!!」

暗部の一人が俺に向かってそう言った。

「あ゛ぁ!?」

此奴は確か、剛憔(ごうしょう)部隊 隊長…名前は…黄瓜(おうが)だったっけ?

「アンタも誰に向かってそんな口の聞き方してるだ!」

「餡子…?」

「おい、其処のお前。上のモンと話す時は敬語で話せってアカデミーで習わなかったか?」

そう言ってやると、鼬が俺の横に立ちゆっくりと口を開いた。

「此の方は暗殺戦術特殊部隊、暗憔部隊隊長全取締役の蒼翠様だぞ」

そしたら桜や佐助を始めとする此の場に居る上忍と暗部の奴らは驚きに目を見開いていた。

「蝿テ憔部隊!?」

「そ…蒼翠と言ったら…木の葉で最も強いと言う…あの!?」

「…Sランク任務をたった一人で…成功率、100%の…」

順に口を開くと、此奴らは俺の前で片膝を付け頭を下げた。

「蒼翠様とは知らず、ご無礼をお許し下さい」

「「お許し下さい」」

「次はない。覚えておけ」

「「はっ!」」

其奴から鼬に視線を向けた。

「…そろそろ話したらどうだ?」

其の言葉に、鼬は頷いた。

「…佐助、今まで黙ってて悪かったな」

そう鼬が言うと佐助は不機嫌な表現から変わり、眉間に紫波を寄せて鼬を睨んだ。

「俺は団扇を滅ぼしてなどいない」

…本当に、鼬には悪い事任せたと思ってる。

「何言ってんだよ!!俺に言っただろ!自分の器知る為だって!!」

「少しは冷静になるんだ佐助。そう頭に血を上らせると、見えるもんも見えなくなるぞ」

目の前で、頭に血が上っただろう佐助は鼬に掴み掛かる。

「此奴の言う事を信じるって言うのか!?」

「嗚呼。団扇一族を葬ったのは鼬じゃない。大蛇丸の部下がやった」

其の場に居合わせた俺だから。そう言える。

「大蛇丸の部下…!?返り血はどう説明するんだ!」

「返り血は大蛇丸の部下を始末した時に着いたものだ。鼬は守ったんだよ団扇を…自分の父親と母親を」

「狽チ!?じゃ…そうなら、そうと…何で言ってくれ…な…った…」

悔しいのか…佐助は瞳に涙を溜めていた。

「緊急のSランク『任務』だから仕方なかったんだ」










あの日、鼬が飛ばした文に駆け付けると。

其処は血の海だった…。

「此れは?」

「さっき、見掛けない顔が10人くらい来て…俺が来た時にはもう…」

鼬の直ぐ傍には自分の母親と父親の姿。

「父さん達を連れて行こうとして…て…」

鼬の顔は曇り、刀を強く握っていた。

団扇一族を…自分の親を連れて行こうとされたら、誰もが頭に血が上るだろう。

「いい判断だよ鼬。爺には…」

「今、…」

こっちに向かって来る爺の気配。
此の状況を見て、どう思うか…。





「鼬…鳴門」

「火影、様…」

「何か手掛りは?」

「こちらです」

奥に進むと、其処には拘束された一人の男。

「何故殺した…」

大蛇丸に金で雇われた、と言った其奴は団扇一族を相手に引けを取らない程の力の持ち主だった。

「俺たちは、其処にいる夫婦を殺さずに連れて帰る事が与えられた任務だった…」

だが、夫婦や周りが牙を向いて、カっとなって殺してしまった…と供述した。
 

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