擦鳴+相談役
執務室から飛び出した俺の行き先は既に決まっていた。
迷いなく目的地に到着すると
ーバンッ!!
少し強めに開けたドア。
中にいた人間が、驚きこちらを見る。
「何だ、鳴門か」
「驚かすでないぞ」
ズズズと茶を啜る姿に、イラッとした。←
俺はずんずん足を進めて老いぼれの前に立ち止まり仁王立ちした。
そして、少し睨み付けながら俺は口を開く。
「どうゆう事だ。俺を五代目に選んだ、だ?
ふざけんじゃねぇぞ誰が火影になるって言った?あ?
つい最近までまだ早いじゃ何じゃ言ってたクセによくもまぁコロッと変えたもんだな?
爺が前任せるって言ってた時お前ら2人揃いも揃って俺に何て言ったか覚えてんのか?
お前に火影は務まらん、お前はまだ子供だ、
お前にはまだ早すぎる、お前は甘く見てる、
お前はまだ信用性が足りない。
お前らはそう言ったよな?
俺を見くびるな。俺に務まらないモノなんて此の世にはありはしない。
子供?アホ抜かせ、其処らへんの大人よりしっかりしてると自信持って言える。
早すぎるって何を基準に言ってんだ。
此の俺に?あと何を求める?
甘いのはどっちだ。平和平和でダラダラしてる奴らとは違って俺はずっと裏で木の葉を守ってきてやったんだろ。
其れに信用だと?逆に言わせてもらうが、俺は信頼や信用なんて元々三代目の爺と暗憔部隊以外の連中には全くもってしていない。
実力もない頭もない口先だけの連中をどう信用しろと?
そんな奴らに何故此の俺が頭下げてでも一生懸命信用してもらう為に頑張らなきゃなんない訳?
つーか、信用なんていらないんだ。
俺の事を理解もしない連中に何言ったって無駄だろ。
化け狐の一言で終わっちまうよ。
今回の騒動だってそうじゃねぇか。
人が睡眠もせずにせっせと復興支援してやってんのに、彼奴らありがとうすらないんだぞ?
そんな奴らに俺は信用なんて此れっぽっちも求めちゃいねぇの」
「「…………」」
長々とした俺の愚痴とも言える言葉を並べに並べて相談役のジジババへ向けてやれば、2人して驚きの半面、言葉を失っていた。
「何か反論は?」
「「……いや、何も…」」
俺が暗部に入ったから里のイメージも治安も利益も全て上を向いてきた筈だ。
裏で汚れたもんを消してきたからな。
表には綺麗なもんしか残ってない。
里の汚物は人に見つかる事なく抹消してしまわないといけないだろ?
其れをしてるからこそ、木の葉で平和に暮らせてるんだろうが。
表のクリーンなイメージでしかも成功率が高いとなれば自ずと件数も増えるってもんだ。
「コロコロと考えを変えるな。
前に反対したなら今回も反対派に回れ。
どうせ人材選びに困って適当な当て馬なんだろうが、そうはいくか。
俺は既に自分の中で解決した事を掘り起こす事はしねぇ主義なんだよ」
暗部任務にしても、俺らがS〜SSSランクの任務をしてるからこそ利益に繋がるんだろ。
そんなランクの任務を他の里の奴らが1人で出来る筈がない。
だから木の葉で其れを捌けば、また其のランクの任務が依頼されてくる。
「「………」」
「例えば、今の状況で俺が火影になったとする。
里の奴らはどう思う?
今まで化け狐だの何だの言ってた連中が、火影になりましたので言う事聞いて下さいなんて言って聞くとでも?
俺は到底そうは思えないけど。
お前らだってそう思ってたからこそ爺に反発してあの台詞が出てきたんだろ?
俺でも理解はしてるし俺は今火影になる状況でもない。
俺はまだ暗部として生きてく、そう決めた」
俺には其れが今、一番向いてる。
戦いを好む火影なんてタブーだろ。
里の奴らが不安になっちまう。
「ま、待て!」
「もう決定した事には変わりないんじゃ!」
「俺に相談もなしで?」
「「っ…!」」
どうして其処まで俺に火影を押し付けたい訳なんだろうな、此のジジババは。
どうゆう風の吹き回しだ…。
あの時無理にでもなってたらこんな事にはならなかっただろうな。
其れでも里の奴らが俺に対して向けるのは、同じだった筈だけど。
何かのキッカケがあれば状況は違ってくるだろうが。
でも、もう遅い。
俺は暫くは火影にはならねぇってもう決めたんだ。
「普通、決まったなら決まったで一言言うのが筋ってもんだろ。
大丈夫だ、まだ五代目火影の話は里には広まってない。
俺じゃない他の奴に五代目継がせろよ」
「じゃが、鳴門…」
「俺が火影になったら誰が汚いモンを処理すると思ってんの?
彼奴ら俺がいないとすぐ喧嘩するの知ってんだろ?」
俺1人数日里を離れた、そんな時があった。
鹿丸に任せて安心していたんだけど、あの鹿丸でさえお手上げ状態になったらしい。
分身の俺への罵声や投げられる石なんかに彼奴らかキレたっぽくて、何とか鹿丸の影真似で犠牲者を出す事なく事は収まったらしいんだけどね。
普通の喧嘩なら止めやしないさ。
たかだか子供の喧嘩で済まないから言ってる訳だ。
彼奴らが喧嘩なんてした日にゃ、里が崩壊する。
「其れ、は…」
「だが!お主はなりたかったと言っておったろ?火影に」
「アホ抜かせ、あんなん真に受けんな。
アレは落ちこぼれ渦巻 鳴門の設定にしかすぎない。
今の俺は火影になりたいだなんて此れっぽっちも思っちゃいねぇよ」
「…どうしても、か?」
「しつこいぞ」
俺はまだ、戦いたい。
其れだけだ。
今から表舞台で好きに動けるなら、尚更戦いに集中出来る。
木の葉の忍者どもにコソコソせずに済むし、もう仮面も剥ぎ取ったんだ。
もう、隠れる必要もない。
「あ、其れから俺と暗憔メンバー全員中忍昇格決定しろよ。
じゃなかったら俺ら里抜けるからなー」←
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