早くも唾を付けにくるとは思ってもみなかったよ。

さて、どうしようかな。
此の侭佐助に唾付けさせるのも俺が面白くない。
かと言って佐助の実力を此処で見せつけるのも芸がない。

「(下忍らしくしてろよ、2人とも)」

「「(了解)」」

此処はやはり俺が出るしかないよな。

「此の状況で、唾、付けられるか?」

「面白い…!」

大蛇丸は口寄せをして、大蛇を呼び出した。

俺はゆっくりと2人の前に出る。

「佐助も桜も、其処、動くなよ?」

「…あ、ぁ」

「うん…」

地上から十数m上空の木の枝の上。
蛇の上から余裕綽々と見下ろす奴。

其の顔が、無性に俺を苛立たせた。

「頭が高いんだよお前、誰が俺を見下ろしていいと言った?」

「っ…生意気なのよ!」

大蛇が俺に牙を向けて、迫ってくる。

「Σなっ!?」

「一介のペットが…」

俺を食おうなんざ、100億年早い。

口を開けた蛇の先端まで移動し其の侭、クルリと一回転したのち踵落とし。

ーグシャッ

顔は変形し、十数m下の地面へと真っ逆様。

元の位置にフワリと着地した俺。

ちょっと先に避難した大蛇丸。

「アナタ、何者なの…」

「俺?」

彼奴のチャクラを少し借りた。
ゆっくりと赤いチャクラが俺の体を纏い出すと、大蛇丸は漸く理解したようだ。

「(此のチャクラ…間違いないわ…)」

「まだ、続ける?」

「覚えておくわ、アナタの名前…」

大蛇丸は逃げるように俺たちの前から姿を消した。

「気を取り直して進むか」

「そうだな」
「そうね」





無事塔に辿り付いた俺たち。
巻物を開けると、其処には術式が。

念の為とボロボロな感じに変化していた俺たちの前に、現れたのは海野 海豚だった。
下忍としての顔で、アカデミー卒業生として海豚と接するのは俺にとって苦でしかなかった。
何故海豚が来たのか、察しはつく。

本来なら担任上忍が出迎える筈だ。
其れをわざわざ爺に頼んで代わってもらったんだろ。くだらない…。

海豚との会話を楽しむフリをして、やってきたのはとある開けた会場。

「ゴホッ…えー、皆さん第2試験突破おめでとうございます…」

今にも倒れそうな程顔色の悪い特別上忍、疾風のお出まし。

「突然ですが、今から第3試験の予選を行いたいと思います…ゴホッゴホッ…」

そんな言葉に下忍たちが吠えていた。

集まるメンバーに目を向けた。
下忍ルーキー勢揃い、螺子チーム、砂チーム、兜チーム。

本戦に向けて、残りすぎたのだろう。

「(鳴門くん、悪く思わないで下さいね…)」

「(お前が気にするな、仕方ないんだろ?)」

誰と当たろうが、上に行くけど。

ランダムに表示されるプレートに、俺の名前が出る。
相手は牙だった。

面倒なのに当たったなぁ。

「始め!!」

「ラッキー、こりゃ楽勝だ、ぜ…」

「クンクン、クンクン…」

あーヤバい。

「お前、何で匂いがないんだ」

やっぱり。
染み付いた血を消してる俺は基本無臭だが、今回のサバイバルで匂いがないのは可笑しいよな…。

「知らないのか?牙!」

「な、何だよ…」

「お前対策だってばよ!!」

「なっ!?」

こんなハったり通用するとは思え…

「マジかよ!クソっ鳴門と思って余裕ぶっこいてたのによ!」

普通に通用したな…。

「俺ってば超強くなったからな!吃驚すんじゃねぇぞ!」

少し重めの拳と変化を駆使し、下忍っぽい勝ち方で勝利した俺。

悪く思うな、牙。

俺の他に佐助、螺子、鹿丸、砂3人、滋乃が本戦へ進んだ。

本戦は約1ヵ月後。
大きな晴れ舞台で行われる。
 

[ 26/55 ]
[*prev] [next#]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -