擦鳴桜佐+再白
「わしが国に帰って橋を完成させるまでの間、命をかけて超護衛してもらう!」
Cランク任務。
だけど、此の任務、一筋縄ではいかない気がした。
橋を完成させるまでの間、
命をかけて超護衛、
其れって言い換えると、狙われてるから命をかけて此の爺守ってくれって事だろ?
橋が完成したら困る誰かが、此の爺を殺したがってる。
面白そうだな。
木の葉を出発した俺たちは、通常運転していた。
俺が声上げて、佐助が呆れ、桜が俺を詰る。
「ま…安心しろ。Cランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ」
「じゃ外国の忍者と接触する心配はないんだぁ………」
「もちろんだよ、アハハハ!」
ワザとらしく桜が言った其の言葉に、案山子もノってくれた。
さて、どんな奴らが出てくるかな。
本日は晴天。
いい日差しを浴びながら、ピクニック感覚で歩いてると、1つの水溜まりを発見。
「…」
其れには案山子も気付いたらしく。
通り過ぎた瞬間、其奴らは現れた。
手に嵌めた武器から鎖を操り、案山子の体に巻き付けた。
「一匹目」
同時に力を加えた鎖は案山子の体をバラバラに引き千切った。
変わり身してるんだろうけど。
「二匹目」
俺に目を向けた其の2人。
「(佐助、やれ)」
「(嗚呼)」
鎖を手裏剣で近くにあった木に固定させる。
そしてクナイで更に固定。
佐助が2人の手の上に立ち、そして両手で其処を掴み、両足を其々の顔へぶち込んでやる。
ーグルン
手の鎖を外し、2人は俺と桜の方へ。
向かってくる其奴に、俺はビビりながら逃げた。
下忍じゃなかったら、一思いに殺せるのに。
「っ…」
男の爪に手の甲に傷を付けられる。
ヤバいな、毒塗ってあるぞ此れ。
「(抑えろ2人とも)」
「(でも、鳴門怪我!)」
「(毒も…!!)」
「(此の程度の毒なら大丈夫だ)」
此の今の状況が、なぁ…。
何も知らない案山子と普通の人間。
此の空間に、此の2人がいなかったら、せめて案山子だけでもいなかったら、少しは違っていたのに。
今の戦闘で、タズナが話をしだした。
ガトーとか言う男についてだった。
世界有数の大金持ちと言われる男は、裏ではギャングや忍を使い麻薬や禁製品の密売、企業や国の乗っ取りなど悪どち商売を業としているとか。
なる程。
其れで橋を作らせまいと、命を狙ってるんだな。
霧隠れの抜け忍、桃地 再不斬が現れた。
タズナ絡みだとすると、ガトーに雇われてんのは此奴で間違いないか。
今の俺たちには分が悪いな。
下忍なりたての俺たち、ではな。
しかし、案山子が何処までやれるかな…。
「(案山子の奴、あの写輪眼何処で手に入れたんだろうな)」
「(さぁな)」
本家の団扇じゃない人間が使う写輪眼なんてたかが知れてるだろ。
再不斬との戦いの中、案山子が再不斬に捕まった。
「(仕方ないな、桜、爺を頼んだ。佐助、案山子を助けるぞ)」
「「(了解)」」
「先生、今助けてやるからな!」
「よ、よせ!逃げろお前ら!
俺たちの任務はタズナさんを守る事だ!!」
「なぁに、元はと言えばワシが撒いた種。
此の期に及んで超命が惜しいなどとは言わんぞ」
よし、決まり。
「佐助、耳貸せ」
下忍ならではのやり方で、案山子を助けてやろうじゃねぇか。
「お前らくらいの歳の頃にゃ、もう此の手を血で紅く染めてんだよ」
口を開いた再不斬が語ったのは、自分の里の卒業試験だった。
生徒同士の殺し合い。
何て面白そうな響き…。
同じ釜の飯を食った仲間同士が2人一組みになりやり合う。
どちらかの命尽きるまで…。
面白そうだな、本当。
まぁいいんだけど。
他の国の事情なんて、俺には関係ないし。
早く案山子助けて、此の爺の橋完成させなきゃな。
影分身を作り出し、再不斬が見えなくなる程に覆い被さる。
「ウラァ!!」
首切包丁を大きく振り回し、分身を蹴散らす。
タイミングよく其の分身を消して、鞄の中にあった其れを佐助へ投げやった。
「風魔手裏剣、影風車!」
高く飛び上がった佐助は手裏剣を投げた。
其の手裏剣は再不斬の分身をすり抜け、本体へ向かっていく。
「なる程。今度は本体を狙ってきたって訳か…が、甘い!…!」
手裏剣を片手で受け止めた奴は漸く気付いたようだ。
手裏剣の影にもう一つ手裏剣があった事を。
だから言っただろ、影風車だって。
其れを飛んで避けた再不斬だが、俺が狙ってたのは此れだ。
手裏剣へ変化していた俺が、術を解き、持っていたクナイで再不斬の顔を目掛けて投げる。
案山子を捕らえていた術は解け、下忍ならではの作成成功。
よし、今からは案山子、お前にくれてやるからヘマだけはするなよ?
再び再不斬との戦闘が始まった。
写輪眼で全てコピーし、案山子のペースに持ち込んだ。
心理戦を上手く利用する其の戦術は、まぁ悪くない。
案山子の術を食らい、クナイが両腕足に刺さる再不斬にトドメを刺そうとした時だった。
何処からともなく千本が飛んで来て、再不斬の首に突き刺さる。
「フフ…本当だ、死んじゃった」
突然乱入してきた仮面の男。
背格好からして俺たちとあまり変わらない年齢ぐらいか。
「ありがとうございました」
仮面の男が、再不斬を抱えて立ち去ろうとした。
「待てってばよ」
「「??」」
「死体処理班って言うんだよな?追い忍ってのは」
「よく知ってるな鳴門…」
「此の前見た本に書いてあったんだってばよ!
で、其の死体処理班ってのはすぐ其の場で処理するって書いてた気がするってば?」
「…」
「殺した証拠に首だけ持ち帰ればいいんだろ?」
ちょっとした揺さぶりをかけてみた。
きっと此の忍は再不斬の仲間だ。
「気にしないで下さい。処理する所を見たくはないでしょう?何たって結構グロいんですよ。
僕はもう慣れたんですが、ちょっとやそっとのトラウマになりかねない映像です。
其れはもう夢にまで出てきそうなくらいにショッキングなんですよ。
ナイフで全身刺して10匹くらいの烏たちに食べさせるとか、グロい以外何モノでもありませんしね。
僕最初の頃は全然慣れなくて、夢にずっと魘されてて睡眠不足とかにもなっちゃって。
だからあまりオススメしませんよ?」
其れを口に出してる時点でお終いだと思うのは俺だけか?
「見た所、忍者になって間もない人たちみたいだし…
見たいって言うなら、見せますが…?」
此の程度の揺さぶりじゃダメか。
「…」
「み、見たくないってばよそんなの!」
結構な場慣れしてんな彼奴。
「そうですか。
では、僕は失礼しますね」
再不斬を抱え、其奴は去っていった。
「してやられたな…」
「案山子先生?」
「鳴門、お前の言う通り、死体処理班ってのは殺した目標を其の場で処理するもんなんだ。
あの追い忍の少年のあの武器…」
「…まさか」
「再不斬は生きてる!」
気付くの遅いっての。
千本見ただけで気付けよ。
タズナを家に送り、俺たちは其の侭タズナの家に厄介になる事になった。
さて、此れからは案山子の下、再不斬との再戦の為の修行となるだろ。
再戦して勝利し、ガトーを殺したとしても、其れよりか、手っ取り早いやり方が。
「アンタまでやられて帰ってくるとは、霧の国こ忍者は余程のヘボと見える!
部下の尻拭いも出来んで何が鬼人じゃ…笑わせるな」
刀を腰に挿した男2人を引き連れ、ガトーが現れた。
何を警戒してか、男2人はガトーの前に出、親指で刀を押し上げる。
「まぉ、待て。なぁ、黙っている事はないだろ…何とか…!」
「汚い手で再不斬さんに触るな…」
「ぐっ!お前…」
ガトーに危険が察知したと判断したのか、男2人が刀を抜こうとしたのを見た少年は男2人の間に移動し刀を奪い、其れを首に押し付けていた。
「止めたほうがいいよ…僕は怒っているんだ」
人間が、忍者に敵うとでも思ったか?
大口叩いて死なないだけ有り難いと思うんだな。
「次だっ…次、失敗を繰り返せば…此処にお前たちの居場所はないと思え!!」
バタンと逃げていった。
「其の歳で、よくあれだけ出来るな」
「「Σ!?」」
「よぉ、さっきぶり」
「小僧、どうして此処を…!」
「そう殺気立つなって。俺は殺しにきたんじゃない」
再不斬を庇うようにして、さっきの少年が俺に殺気を向けてくる。
「アンタ、さっきの男に雇われてんだろ?
どうして普通の人間なんかに、なんて野暮な事は聞かないが…
困ってんなら手を貸すぜ?」
「…」
「あらま、信用ならないって?」
其れもそうか。
「なぁ、あの男を殺したらアンタらどうなる?」
「「Σっ」」
「正式な舞台で俺が…」
「君は、どうして其処までしてガトーを…」
「面倒だからに決まってる。
俺たちは今ガトーの寄越したお前らと再戦する気満々で此れからやりたくもない修行に明け暮れる日々。
俺はそんな修行する暇あるなら早く溜まった任務を捌きだい訳。
橋が完成するまであの爺をお守りするなんて真っ平ごめんだからね」
「「…」」
「此の侭行けば、2人とも死ぬよ?」
「脅しですか…?」
「いや、未来を言ったまでだ」
あのガトーと言う男、きっと此の2人を裏切る。
ましてや、案山子と殺りあった再不斬だって無傷では済まない。
体力、チャクラ、手足1本ずつと考えても、死にぞこないになった時にあの男が何かしら仕掛けてくるのは目に見えてる。
「なぁ、俺と組まない?」
「…大した餓鬼だ」
「其処らへんの餓鬼と同じにして欲しくないんだけど…」
「君は凄いですね…。あの時の追い忍の事は、僕を試していたのか」
「ケロリと返されたけどな」
よく働く頭だよ。
「あの千本の使い方、動揺を見せない冷静さはかなり評価してる」
「生意気な餓鬼だ…」
「誉め言葉として受け取っておく」
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