【鳴門Side…】

あの日から鹿丸は全然俺に話し掛けてこなかった。

まぁ中忍試験までは厄介な事になりそうもねーし。

問題は…

「ちょっと鳴門ー!」

糞煩い恋愛馬鹿と

「ウスラトンカチが…」

自信過剰な団扇の末裔。

あー、本当の俺見たらどうすんのかな…。
考えただけでも笑えてくるよ。

「桜ちゃ〜ん…」

今日は中忍試験の報告が言い渡される日。
何時ものように案山子を待つ俺は苛々して…

「やぁ諸君v」

「「遅ーい!」」

やっと来た案山子に半分本気で睨んでやった。

「いやぁ…御免ね?(本当御免って鳴門!だから怒らないでー!)」

「もうっ。で、今日は何なんですか?」

「今日は中忍試験に付いて、話してみようと思ってね」

「「…中忍試験?」」

「今度開催される中忍試験に、出るか出ないか、一応推薦しといたから。
まぁ其れを決めるのはお前達だから俺は口出ししないけどね」

そう言い終わると、ある1枚の紙渡された…。

「此れが志願書。
受けたい者だけ其の志願書にサインして明日の午後4時までに学校の301に来る事…以上!」

やっと来た……。

此の日がついに!!
此れで重たかった仮面ともおさらば出来るって訳か…。

俺はもちろん即決め。
気持ちは全員、前とは変わってないし、此の日をどれだけ楽しみにして来た事か…。

しっかしなぁ、中忍試験って3人で受けなきゃ意味ねーんだよな。
何か、2人とも悩んでるし…。

「佐助はもちろん、中忍試験受けるよな?」

「…ぇ…あ…」

「桜ちゃんは…?」

「ちょっと、まだ分かんない…」

考え中か…。
出る出ないは関係ないし、1人のがやりやすいが…此ればっかりはな。

「そうゆう鳴門はどうすんのよ?」

「俺はもちろん受けるってば。強くなんだ…もっと、もっと」

明日の午後4時が待ち遠しい…。
どんな奴が来るのか楽しみなんだけど…v






次の日、昼の2時を回った頃…。

「「鳴門!」」

俺が学校の301に向かってみると、其処には先に桜と佐助がいた…。

「出る気になったみてーだな」

もう中忍試験の日。
仮面は外していいと爺の約束が今、此処で果たされる。

「鳴門…?」

「お前どうしたんだ…?」

何時もの俺と違うのが分かったのか、桜と佐助は一瞬、驚いた表情を見せた。

何だか可笑しくてくすくすと笑いが出てきた。

「あ〜、話し方?こっちのが本当。お前達が見てた俺は偽りの姿だから」

何気なく言ってやると、2人して首を傾げていた。

「お前達は同じチームでやってくから、一応話す。
取り敢えず志願書先に出しに行こうぜ?」

「あ…うん」

2人と一緒に志願書を提出しに行った。






「頑張ってね?」

「心で思ってねー事言うなよ」

「心配してはないよ?だって、鳴門強いしv」

「…」

ニコニコ笑ってる案山子を擦り抜け、俺は目の前にある扉に手を掛けた。

ギィイ……

扉を開け入って来る俺ら3人に会場にいた奴らが揃って視線を浴びせられる。

「結構な数だな…」

木の葉、砂、草、雨…。
へぇ…何か見た目的にスッゲェ弱そうだな…。

「何か緊張するわね…」

「…」

此の会場に来る前。
俺は此奴らに俺の事を話した。
取り敢えず、俺の事を簡単に説明して、爺との約束を…。

吃驚はしてた様だが、
『何で火影様は仮面を付けてって条件出したのかしら?』
桜は至って普通にそう質問して来たが、
『そんなの俺が知るかよ』
って言って其の話は終わった。

流したつもりは一切ない。
本当に其の意味は未だに分からねーまんまだし。

例え俺の正体がバレたとしても、俺は邪魔さえしてくれなかったら其れでいい。
大人しく俺の言う事聞いてくれさえすれば、殺しゃあしない。

「佐助くん遅〜い」

早速煩い奴見っけ。
鹿丸も蝶辞も一緒で、鹿丸は俺と目を合わそうともしなかった。

今日からだからまぁいいんだけど…鹿丸には中忍試験までって言ってなかったしな…。

まぁいいか…と俺は知らんぷりして当たりを見渡す。

「ひゃほ〜みーっけ!」

「こ…こんにちは……」

「…」

「此れは此れは皆さんお揃いでぇ」

またも煩い奴見っけ。
俺らと同じ日にアカデミーを卒業した油女 滋之、犬塚 牙、日向 雛多の3人。

何だよ…下忍ルーキー勢揃いかよ。

同期が集まれば自ずとやかましくなるのは自然。

此奴ら、此処が何処だか分かっててそんなにペチャクチャ喋ってんのか…?と思う程、緊張感が全くない。

「おい君達!もう少し静かにした方がいいな…」

「「!!」」

声を掛けて来たのは薬師 兜。
此奴…まだこんな事してんか…。

「此処は遠足じゃないんだよ」

テメーは遠足気分で来てんだろ…?
よく言うぜ…ったく。

兜から有り難くないご指導を、うんうんと大人しく聞いてる此奴らを見て…俺は溜息を付いた…。

こんなお子ちゃまみたいにしてっと、早くも目ぇ付けられっぞ…。
まぁ、俺は来る者拒まずな主義だからいいんだけど。

ほらほら、見てみろよ周りをさ。
早くも舐められてんぜ。

こっち見て薄気味悪りぃ笑いしてる奴いるし…ちょっとからかってやるか。

「へぇ…中忍試験ってのはこんなにレベル低いのか?」

ワザと大きな声で言ってやると瞬間、集まる視線。

「骨のある奴いなさそうだし…こりゃ楽勝だな」

くすくすと笑いながら言ってみると、会場にいた奴らの眉間に紫波が寄るのが分かった。

「フフ…舐められたもんだ」

「あの金髪ムカつくね…」

「彼奴…ちょっと遊んでやるか…」

「…そうだね。あの言葉覆(くつがえ)してあげようよ…」

早速来そうな奴ら発見…v
額宛からして音隠れか…。

「やりますか…」

俺が目を付けた奴らは3人同時に動き出した。
人ゴミを通り抜け、椅子を蹴り上げ飛び上がった一人はクナイを俺に向け投げて来た。

シュシュッ…

其れは意図も簡単に避けられ、次に来たのは針鼠みたいな奴。
俺の懐に入り込み、拳を俺に向ける…

ヒュン…

「避けても無駄だよ」

「何が?」

針鼠の前に居る俺はポフン、と煙と化した。
本当の俺はと言うと針鼠の後ろ。
くすり、と鼻で笑ってやれば其奴は驚いた様子で慌てて後ろを振り返った。

「煤c何時の間に!?」

「思った通り所詮は下忍だな。此の俺にそんなの子供騙しにしかなんねーぜ?」

「余所見してていいのかよっ!」

後ろから殴り掛かって来る奴を振り返る。さっきクナイを投げて来た奴だ。
其れをすんなりと避けると、其奴の頬に一発お見舞いしてやった。
すると、力を入れ過ぎたのか其奴は勢いよく壁へと飛んで行った…。

「…っと。ヤバいヤバい」

直ぐに瞬身の術で先回りし壁に激突する寸前、片手で其れを阻止。

「軽くしたつもりだったが…テメーらには強過ぎたみてーだな」

フン、と鼻で笑い此奴の襟首を持ち、仲間の奴等に投げやった。

「人を見た目で判断なんかすっからこうなんだよ。力量くらい、見分けねーとな…返り討ちにされるのがオチだ」

奴らを含め、此処にいる奴らを見渡すように言うと、会場の空気はガラリと変わった。
ピリピリとした空気は一気に冷え、シーンと静まり返った…。

牙たちも…静かになって俺を見てる。

「どうした?皆一気に黙ってるけど…俺、そんなに可笑しい事したか?」

「「煤I?」」

此奴らは揃って勢いよく首を横に振った。

「…」

其れを気にせず桜たちがいる所まで帰る途中…

「…鳴門君…君は…!?」

少し強張った表情の兜が、俺を見つめてる…。
予想打にしなかった事が起こってんだもんな、仕方ねーよ兜…。

「……………」

口の端を持ち上げ、目を細めた…。

お前のお得意なデータとやらに俺がどんな風に載ってんのなんか興味はねーが…本当に残念だったな兜。
ドベで間抜けで馬鹿な渦巻 鳴門、其れは昨日で終わったんだよ。









今の俺はお前らの知ってる










渦巻 鳴門じゃなくなる…










今日からは…










暗部の総隊長を勤める










渦巻鳴門様になるんだ。










俺の本当の姿を目の当たりにした兜は世界がひっくり返った様に、目を見開きながら冷や汗を掻いている。

「何て顔してんだよ兜。自分で集めたデータが違っててそんなに落ち込む事か…?」

くすくすと笑ってやると、兜の眉間に紫波が寄った。

此奴は分かったんだろう。
自分より俺が強いって事がね。

じゃなきゃ、こんなに汗掻いたりしないしさ。

「…落ち込む?僕はただ、君の強さに吃驚しただけだよ」

実際、どうだか。

「まぁ、そうゆう事にしといてやるよ。
其れから…テメーの思い通りにはさせねーから、って大蛇丸に伝えておきな。
ゆっくり楽しんだ後、直々に此の俺が遊んでやっからよ…」

兜と背中合わせにし、小さな声で兜にそう伝えると止めていた足を動かした。






其の後、森乃 響と試験官がド派手な登場をした。

「では、此れから中忍試験選抜第一の試験を始める…」

第一の試験、其れはペーパーテスト。
を装ったカンニング公認の試験みてーだった。

試験に見つからず、上手くカンニングしろってか…?

こんなハイレベルな問題が其処いらの下忍に分かる訳ねーだろ…。
其れを狙ってのカンニング公認なんだろうけど。

カンニングしろ、って言われてもな…。
どうするか…。

「…」

カンニングする必要もねーしな俺。
一応、答えといてやるか。

ん〜、何て親切なんだ。



「23番、失格」

「失格者は出て行け」

「俺が何したって言うんだ!」

「テメーは五回ミスった」

途中にミスした奴らが会場から出て行く姿がちらほら。

駄目な奴らなこった。
たかがカンニングで…と俺は溜息を付い

第一の試験で残ったのは78人。
森乃の最後の問題でかなりビビって逃げ出したのが殆どだった。

ビビるくらいなら、初めから受けに来るなよって言いたくなる。

同じチームの桜と佐助は、そんな奴らよりは度胸が在った事は認めるよ。



次は第二の試験。
試験官、みたらし餡子。

ド派手な登場の仕方で、度肝を抜かれたけど…

変わってねーな此奴も…。

「ついてらっしゃい!!」




着いた場所は俺も何度か来た事のある…

「此処が第二の試験会場。
第44演習場…別名…『死の森』よ!!」

やたらデカいフェンスに鍵付きの厳重な場所。

昔はよく走り回ってたよな。

「第二の試験を始める前にアンタたちに此れを配っておくね!…同意書よ、此れにサインして貰うわ」

餡子の言葉に周りはザワザワと騒がしくなった。

「…こっから先は死人も出るから。
其れについて同意を取っとかないとね!私の責任になっちゃうからさぁv」

そんな事を笑顔で言うからタチ悪りぃよな…。
 

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