下忍になってから、其れからは糞面倒臭い任務に明け暮れてた。
芋掘りやら草毟りやらペットの捜索なんか。

アカデミー卒業しても糞は糞だ。
何が下忍だ…何が任務だ。

俺に言わせたら此れもごっこにしかなんねーって…。

「案山子…」

「何鳴門v」

今もタダ広い庭の草を毟ってる俺ら。
桜は相変わらず佐助佐助で今も佐助の近くにいた。

だから俺は普通に声に出して話してても大丈夫な訳だが…。

「何時までこんなくだらねー任務に付き合ってやんなきゃいけねーの俺…」

「我慢してよ。俺だって不本意なんだから…鳴門がいたから毎日我慢出来るんだよ?」

「誰もテメーの事なんか聞いちゃいねーよ」

「酷いよ其れ…グスン」

まぁ俺も別にサボろうと思えば、分身に行かせたり出来るだろうけど…知ってる奴がいる、其の力は凄いと自分でも思う。

現に俺がこうして任務に出てるのって案山子がいるから。

「一週間後、中忍試験だね」

爺との約束の日。

此の日をどんなに待った事か…。

「嗚呼」

「ついに来たって感じ」

「ついにじゃねーよ。俺にとっては【やっと】だ…やっと此の日が来たんだ」

「海豚先生煩いだろうな…」

彼奴の情はかなりウザかった。
俺の腹にいる九尾に両親殺ろされたとか言ってたのに、馴々しく話し掛けてくるし。
其の点、案山子も馴々しく話し掛けてくるけど…。

「あ〜…そうだな。何か言われたら『今は俺の部下です』とでも言ってればいい」

「そうする」





次の日。
何時ものように集合場所に来てみると、何だか見覚えのある面子が揃っていた。

10班の秋道 蝶辞に奈良 鹿丸に山中 猪。

「何で鹿丸達がいるんだってばよ?」

「今日猪達の班と合同任務らしいわよ」

合同任務だ…?
彼奴、また大事な事言い忘れやがって!

其の 案山子もまだかよ…。

其れから5分後に案山子と亜須磨が2人揃ってやって来た。

「先生合同任務在あるなら昨日の内に知らせてくれなかったの!?」

「言ってなかったのか案山子?」

「忘れてたのよ」

笑いながら言う案山子に俺は本のちょっとだけ殺気を送った…。
すると、案山子は其れに気付き俺に視線を向けた。

(狽イ…御免って鳴門〜!汗)

(やる気がないなら担任降りろ)

(そ…そんな事言わないでよ〜!次からちゃんとするからさ!!汗)

(…)

そっぽ向くと、鹿丸と目が在ってしまった。

「どうしたってば鹿丸?」

「別に…」

何此奴…。
今の殺気に気付いたとか?
まさか…ほんのちょっとだけの殺気に下忍程度の奴が気付く訳がねー…。

じゃあ今のは偶然か?

「今日は何すんだ?」

「今日は………―」



気になる…

気になるよ…

気になるんだ…

気になるんだって…。

何がって、鹿丸からの熱〜い視線がさ…。
此れ…もしかすると…。

俺はそんな事を考えながら、案山子に目を合わせた。

「煤c(どうしたの?)」

(鹿丸がさっきからずっと俺の事見てんの…どうかなんない?)

(…本当。凄く見てるよ…って、どうかって?)

(だから、此の視線を他の所に向けて…つーか向けろ)

(薄ス令!?)

はぁ…と深い溜息を付き、下ろしていた腰を上げた案山子。
何かいい案が浮かんだんだろ、と思って俺は一安心。

後ろにいる鹿丸に近付いて行った案山子。
俺は聞き耳を立てる。

「奈良、くん…だっけ?」

「そうだけど…」

うわぁ…超ウザがってねー?
普通に嫌がってる感じがする…。

「亜須磨とは仲良くやってる?彼奴見た目は熊みたいだけど、本当はいい奴なんだv」

「アンタ、彼奴の事知ってんだ?」

「俺が暗部にいた頃一緒に戦ってた戦友だよ」

「へぇ…」

よく分かんねーが視線はなくなったからいいとして。

しかし 何で急に熱い視線を送って来たんだか…。

やっぱ気付いてた、とか?
疑いの目…だったり。

有り得る。
奈良 鹿丸か…気を付けよ…。





其の日の任務が終わった後。
解散してから俺は一人、家へと向かってたんだ。

なのに、気配を消して付いて来る鹿丸がいて…。

奴は消してる、と思ってるだろうが俺には通用する訳ねーよな。

だけど、下忍程度な此奴だが、気配の消し方は案山子並…いや、案山子以上…。
奈良 鹿丸…何者なんだ此奴…。

「やっぱり…気付いてやがったか…?」

何故こんなにも付き纏われるのか…少し考えたら直ぐピンと来る。

其れを小さく小さく呟いた。

どうすっかな…。
殺る、のは駄目として…分身…いや…。

「近くに案山子もいねーし…」

本当、どうすっかな…。

とか思いつつ、俺の家に着いた。

ガチャリ、とドアを閉めても鹿丸の気配は一向に消えない…。

ウゼぇな…。

「任務あんのに…」

案山子に文でも飛ばすか?
そしたら、奴なら絶対駆け付けるけど…。

どうやって鹿丸を撒くか…。
何がいい……?
考えとかねーといけねーよな…。

あ〜ぁ…面倒くさっ…



風呂に入って、飯を食った。
もう暗いってのに鹿丸の気配は全然消えねーんだけど…。

参ったな…。

「こんな事で任務行けなくなった…じゃ、なぁ…」

そう思った俺は重たかった腰を上げ

「仕方ねーか…」

そう呟いた…。















【鹿丸Side…】

かなり気になった。
昼間のあの鳴門の殺気…。
ほんの少しだったけど、鳴門があのタレ目に向けて放ってたのを偶然にも、俺は気付いてしまった…。

あのタレ目も気付いてたっぽいけど、ちょっと引っ掛かるんだ…。

鳴門の表情は、何時もよりかなり冷めてるように見えた。
其れにあのタレ目…殺気向けられてんのに苦笑い浮かべてたんだぜ…?
どう見ても可笑しいだろ…普通。










彼奴は一体何者なんだ…










其れからずっと鳴門を目で追ってしまう。
其れくらい、気になってる。









お前は何を隠してる…?
















そう思って堪らなかった。










任務が終わってから、俺は鳴門の後を付けた。
鳴門に気付かれないよう、慎重に慎重に後を付けたが鳴門は其の侭家に帰って行っただけ…。

なのに…何でか、動いちゃいけねー様な気がしてならないんだ…。

そんなこんなでもう暗くなってんのに鳴門の部屋を見つめた侭な俺。

「何してんだよ俺は…」

溜息混じりに放った言葉に…

「全くだ」

返された言葉…。

「煤I?」

ぜ…全然気が付かなかった…。
後ろから聞こえた其の言葉に俺は目を見開いて慌てて振り返ったんだ。

「煤c鳴門…」

振り返った俺の目には、金髪の蒼眼の、鳴門の姿が…。

待てよ…部屋の中いる鳴門は?

分身か…。

「本当はさぁ、見て見ぬフリしたかったんだけど…そうもいかねーんだよ。今日はな…」

何時ものような明るい声色じゃなくて、少し低く、喋り方も表情も何時もと全然違うのは俺の錯覚ではなさそうだ…。

「……鳴門…お前今日タレ目に殺気向けてたろ」

「やっぱり気付いてやがったか…」

やっぱりって何だよ…
俺が今日鳴門を見てたの此奴、気付いてたって言うのか…?

待てよ、気になって鳴門を見たは見てた、けど、目があったのって殺気向けてた後だぜ…?

あれだけで気付いたって言うのか!?

「…言っておくが、殺しはしないから安心しろ。だが…」

「…」

「此はまだ知られちゃ拙(まず)いんだよ、分かるだろ?今の俺は一応、馬鹿で間抜けでドジな渦巻 鳴門って言う仮面が付いてんだ。
其れがバレだから はいそうですかって外す訳にもいかねーんだよ…」

何だ此の…空気。
鳴門が喋ってる…。
喋ってるだけなのに…。

嫌な汗が頬を伝う…。

鳴門………。
お前はこんなスゲェもん隠してたのか?

「…っ…」

こんなにスゲェのに…
何でアカデミーなんかに入ったりしたんだ…。

「…」

仮面を付けてまで、アカデミーに入りたかったのか…?
其れとも、仮面を付けなきゃなんねー…何か理由があったのか…?

「黙ってんのもいいけど、頭ん中で色んな事考えんじゃねーよ。お前にとって、俺の存在は今まで通りの鳴門だ…」

何もかもお見通しって訳か…。

でも……………

「其れは、無理だ…」

「俺がこんなに言ってんのにまだ分かんねーって言うのかよ…」

「そうじゃねー…。ただ、もっとお前の事が知りたくなっただけだよ…」

本当。此れは俺の本当の気持ち。

興味が沸いてんだ。
お前を知りたい…。

汲(く)まなく、最後まで…。

「知りたくなっただと…?止めておけ。ちょっとした興味範囲で俺の事を理解出来る程たやすい事じゃねーんだよ」

「ちょっとした興味範囲じゃない。俺は本気で鳴門の事を知りたい!」

始めはちょっとした興味範囲だったのかもしんねー。
だけど、今の俺は違う…。

こんな凄い鳴門を前にして、面倒臭いから知りたくないと、思う訳がねー!

逆にもっと知りたいと思ったんだ…。

知りたい…。

渦巻 鳴門って言う人物を。


俺がそう言うと、鳴門は溜息を付いた。
…呆れた、って感じの。

「…好きにすれば?」

だけど、表情はあの侭。
ピクリとも動かず、俺を射ぬ様な…視線にゾクゾクと身震いしそうになる。

「じゃあ…」

「何質問しようとしてんだテメーは。
好きにしろとは言ったが誰も質問してもいいなんて言った覚えはないぜ」

「…」

「ある日まで、俺を見るな話し掛けんな後を付けんな…
其れが守れたならば、話してやるよ何もかも。其の代わり、お前の事も話して貰うぜ?」

妖艶な笑みを残して、鳴門は俺の前から姿を消した…。

「交換、条件…ってヤツか」

つーかある日って何時だよ…。
しかも、見るな話し掛けんな後付けんな…ってヒデェ。
こんなにお前の事が知りたいって言ってんのに…其りゃないぜ鳴門…。

其のある日ってのが何時かは分かんねーが、仕方ねー…其れまで我慢すっか…。





其の次の日から、鳴門が近くに居ても…見もせず話し掛けもしなかった。

だってよ?
約束は約束だし、其れ破ったら後が怖いっつーか…何っつーか…。

鳴門の事知りたい気持ちが強過ぎて、逆に見れねぇ…。

本当、ある日って何時だよ。
 

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