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里に戻ってきたのは1年後の事だった。
春野 桜、10歳。
懐かしい景色と匂い。
其れと、思い出す記憶。
1年前のあの日から、忘れもしない。
鳴門の顔と、九離魔さんと鹿丸と雛多と螺子さん。
「みんな元気、かな…」
早く追い付きたくて。
早く其の輪に入りたくて。
「…よし!」
無事に医療忍術をマスターして帰ってきた私は、三代目火影さまの所にやってきた。
「ただ今帰りました」
「うむ」
火影さまが嬉しそうに笑うから、私もついつい釣られて笑ってしまった。
「綱手は元気だったか?」
「はい、パワフルでした」
「そうか。桜、修行は上手くいったか?」
「綱手さまの持てる全てを教わってきたつもりです」
蘇生、再生、毒抜き、止血、治癒、調合、配合。
医療に関しての技術と知識を全て叩き込んだ。
そして、私の願うのはただ1つ。
「火影さま、鳴門に会わせて下さい」
「…本当によいのか?あの子と同じ闇の世界に足を踏み入れる覚悟が…」
「其の為の1年だったんです。
あの日の鳴門に会って、自分で決めて強くなったつもりです。
鳴門からしてみたらまだ下の下なのでしょうが、私は鳴門の役に立ちたい」
決めたのは、私。
もう、後戻りはしない。
「私の気持ちは変わりません!!」
「だそうじゃぞ、鳴門」
「やれやれ」
「Σえ!?」
何時の間にか後ろにいた鳴門に、驚いて振り返った。
「お帰り、桜」
鳴門が笑っていた。
其れだけでも、私は嬉しかった。
「た、ただ今!」
こんな私でも、少しは鳴門に近付けたかな…?
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