擦鳴+桜
突然現れた他国の忍者から助けてくれた。
あの鳴門が…。
でも、目の前にいる鳴門はまるで別人だった。
圧倒的な強さ、に私は言葉を失った。
何て綺麗な戦い方をするんだろうって。
表情も、仕草も、鳴門の1つ1つに魅せられた。
「悪かったな。怖い思いさせて」
嗚呼、そうか。
鳴門はずっと守ってきてくれてたんだね、見えない所で私たちを。
其れが任務だとしても、私は
「…鳴門、ありがとう」
素直にそう思った。
「っ」
「助けてくれて、本当にありがとう」
鳴門を見つめて、ちゃんとお礼言わなきゃ。
助けてくれたんだもの。
「…別に」
ぶっきらぼうに、そう言った鳴門の顔は少し照れてたような気がした。
私も、強くなりたい。
鳴門の傍で、今度は私が守ってあげたい。
でも、今の私じゃまだまだ力不足。
「私、頑張るから!」
「………いい人材紹介してやろうか?」
「ううん、いいの。自分で何とかするから!」
「そうか。何かあった時は此れを使え」
渡されたのは札だった。
「期待してる」
そう言って鳴門は消えた。
「…追い付いてみせるから!」
三代目にお願いして、あの伝説の三忍である綱手姫の事を知った。
そして、其の人が医療忍者のスペシャリストだと言う事も。
「火影さま、では行って参ります」
「気を付けての。鳴門にはワシから伝えておくからの」
「はい」
私は旅に出る。
綱手姫を探して、医療を徹底的に叩き込む。
鳴門も鹿丸も雛多も螺子さんも、医療は使えるけどメインではなかった。
1人でも其れをメインにする忍者がいれば、大きな怪我があった時に役に立つ筈。
「此の人、見た事ありませんか?」
「…さぁ」
「此の人見た事ありませんか?」
「んー、此の人かどうかは分からないけど、似てる人なら…」
「此の人見た事ありませんか?」
「あー、此の女なら…」
「アナタが綱手さん…?」
「…何だい?」
「やっと見つけた…!!!」
綺麗な女の人、見た目は20代で賭事が好きだとか。
「私を弟子にしてください!!
どうしても医療忍者になりたいんです!
其の為にはアナタが一番いい先生だと、自分で決めました!」
「…」
「つ、綱手さまどうします?」
「どうして医療忍者になりたいんだ?」
「仲間を守りたい…いや、まだ仲間って呼んではくれないんですが、何れ其の人たちを守りたい…」
鳴門が私を守ってくれたように、私も。
「お前、いくつだ」
「9歳です…」
「其の年で、其の覚悟はあるのか?
普通の忍者とは違って医療忍者は死んだらいる意味がない」
「お願いします、私に…医療忍術を教えて下さい!綱手さま!」
「…はぁ」
こんな子供に、教えてくれるなんてないか…。
自力で、覚え…
「私は厳しいぞ?」
「…!!!」
「静音、予定変更だ。
此の街に止まるから宿を探しておくように」
「は、はい!綱手さま!」
鳴門に近付く為の第一歩。
どんなに厳しくても、絶対諦めないんだから!
[ 20/55 ]
[
*prev] [
next#]
[
しおりを挟む]