擦鳴+九尾+鹿丸

 
「暇だなー」

今日は1人だった。
九尾は里の外にも甘味処があると知り、1日空けると言ってたから夕方までは帰ってこないだろうし。

偶にはと思い、町を歩いてみる俺。
其の後を付いてくる、誰か。

「…」

気付いてないと思ってんだろうなー。
つーか、バレバレなのにね。

「お、鳴門じゃねーか」

「お、鹿丸じゃん!」

「何してんだこんな所で」

町から少し離れた所まで歩いてきたら、旧家の奈良 鹿丸に出会ってしまった。

「散歩だってばよ!偶には川でも見ようと思ってさ!」

「ふーん…」

俺に付いて来てる誰か。
此の侭一緒にいると危ない事になりそうだから俺は鹿丸に別れを告げた。

「じゃーな鹿丸!今度将棋教えてくれってばよ!」

走り去る俺、そして…

「嗚呼、今度なー……………」

鹿丸は何時もの顔で俺を見ていた。

早く此処を離れないと。

「Σっ…」

そう思ってたのに。

「止まれ、渦巻 鳴門」

目の前に現れた暗部が5人。
其れも、1人鹿丸を捕まえていた。

「鹿丸を離せってば!」

「其れはお前次第だ」

どうして目当てが目の前にいるのに、わざわざ鹿丸を人質なんかにするかな?
え、此奴らの頭の中身どうなってんの?

次第にイライラしていた時だった。

『やはり離れぬ方がよかったかの』

「「Σっ…」」

現れた九尾によって、鹿丸は無事救出。

「鹿丸、大丈夫!?」

「あ、ぁ…何とか…」

「九離魔、遅いってば…」

『悪かった。そんなに怒るでない』

よし、此れで何とか誤魔化せる。

『鳴門、其の小僧と一緒に逃げておれ』

「分かった」

九尾が印を結ぶと、姿が見えなくなった。

「…消えた…」

「結界を張ったんだってば」

「…結界…」

「今のうちに早…」

「Σっ」

挟み撃ちですか。
目の前には、暗部がまた2人。

「渦巻 鳴門、何度もそう上手くいくと思うなよ」

「大人しく死んでもらう」

どうして気配に気づかなかったんだろ。
普通なら有り得ないのに…。何故だ。

じっくりと相手を観察してみた。
暗部装束は同じだ。
俺が気配を察知出来ない、何か…。

「あー、そうゆう事か…」

よく見れば此処、結界だらけだな。
中々高度な結界術使えるじゃねぇか。

くそ、油断したな…。

「隠(いん)円陣かよ…」

隠円陣とは別名隠れ円陣。
気配を完全にシャットアウト出来る優れもの。
俺が気付けないのも無理はないか。

俺相手に何故此奴らが隠れ円陣を使用したのか。
…九尾が出てくると警戒しての策だよな。
まぁまぁだな。

「…何故お前が其れを知っている」

鹿丸いるけどいいよな。
後で記憶消せば何も問題はない。

其れにしても九尾の奴遅いなぁ。
確実に遊んでるし彼奴…。

「其処らへんの子供と一緒にしないでくれる?」

「渦巻 鳴門ではないな…!」

「いいや、俺は渦巻 鳴門だってばよ?」

後ろの鹿丸を結界に閉じ込めた。
此れで一応は安全だろう。

「鹿丸、ごめんな」

鹿丸とはいい友達になれたかと思った。
鹿丸の親は俺を見ても何も言わなかった。
九尾だと知ってても、鹿丸と離す事はしなかった。

普通に友達になれると思ったのに…。

「…鳴門…」

「目、閉じててくれる?多分、嫌なもん見ると思うから」

同じ年で、ましてや普通の人間。
そんな人間が、俺が何時も見てる光景を見て、何も思わないなんて筈がない。

俺は普通じゃないから。

「さて、アンタら実験台になってもらうよ?」

俺の新しい新武器の、試す時が。

ゆっくりと体を纏うチャクラ。
其れは次第に5つの尾のようにユラユラと。

「やはり化けモノめ!」

「此処で息の根を止めてやる!」

今の俺には5本が限界だった。
決め手は九尾の尻尾。
フサフサの尻尾が其々意志を持つかのように揺れているのを見たから。

九尾と一緒に生きてくと決めた今、彼奴に対しての意思表示。
俺はお前を絶対死なせない。
俺はお前と離れる気なんて絶対ない。

「九尾みたいで格好いいでしょ?」

「血迷ったか…!」

「血迷う?何言ってんの。俺と九尾は運命共同体だよ」

「里の未来の為、お前がいては…っ、ぐ!」

5本のうちの1本が、素早いスピードで、1人を捕らえた。
首に巻きつくチャクラは形を留め、伸縮可能なだけ近距離から遠距離まで範囲は広い。

「逃げられると思うなよ」

残りの4本か、其奴の体を串刺しにした。
頭、胸、腹、足。
どれも急所を狙って。
心臓の音が聞こえなくなった其れを、ドサリ、と地面へ投げやった。

スピードはまずまず、威力もまぁまぁ。
使えるな、此れ。

もう1人視線を向けると、其奴はやけに心臓の音が煩かった。

「どうした?怖いのか?」

クスクス笑ってやれば

「此のガキっ…!」

瞬身で移動してきた其の男を、

「遅すぎる」

「くっ…!」

クナイを持った右手、左手を1本ずつ。

「九離魔を警戒しての今日の作戦は誉めてあげる。俺初めて不意を突かれてちょっとムカついたけど、少し嬉しかったかな。不意つかれるなんてね。面白い…
けどね?鹿丸を盾にしたのはちょっと失敗だったね」

残り3本のうちの1本を、男に腹に。

「ぐ、あ、あっ…!!!」

ゆっくりと体内へ進む其れ。

「木の葉の忍が木の葉の子供を人質にするような真似をするなんて邪道だよ。
来るなら正々堂々とやってきな、って言っても今から死ぬから言っても意味ないんだけど」

貫通したのを確認し、残り2本を躊躇なく、突き刺した。
 

[ 14/55 ]
[*prev] [next#]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -