今日の最後の任務。
ちょっとした金持ちの大名の暗殺。

此奴は金を使って色々と悪どいやり方で商売してるとか、金貸ししてるらしい。
見るに見兼ねた奴か、其奴に苦しめられた奴からの暗殺依頼が来た、本当に馬鹿な奴だ。

普通にしてりゃ殺ろされずにすんだってのに…。

「や、やめろっ!」

あー、でもさっきからゴタゴタ煩い蠅だ。

「大人しくしてろよオッサン。直ぐ楽にしてやっからさ」

「待て!分かった!金が欲しいんだろ?いくらだ?」

そんなに死にたくねーのか…此の馬鹿は。

「生憎、金は腐る程持ってる」

「…っ」

金で解決出来ないと思ったら、此奴は俺に背を向けて走り出した。

「あのね…」

はぁ…と溜息を付き、瞬身で目の前に立ち塞がる。

「諦めろって。どうせアンタは今から死ぬんだから」

そう言って俺は刀を振り下ろした…。






「ほら報告書」

「ご苦労」

投げやった其れを爺は受け取り、内容を確認する為に目を通す。

「超が付く位のSランクない訳?」

そう言いながら俺は狐の面を外した。

「ある訳なかろう…」

ないんだったら作れよ。
俺専用に超Sランクをさ。
毎日暇だよ俺。
スッゲェ弱い奴相手したってつまんねーじゃんか…。

「今度、蛇野郎に戦い挑もうかな…」

「そんな戯れ事を言うでない!そんな事より、明日はアカデミーの卒業式じゃろ?早く帰って寝たらどうじゃ」

「嗚呼 そうする」



何時からだろ…。
本当の自分の力に気付いたのは…いや、目覚めたって言った方が正しいか。

大分前から九尾の器だって事も知ってたし。
大人達のあの邪魔な存在って思われてた事も、冷たい視線も全然気にしてなかったし。
俺を見る奴ら全てが下ならさ過ぎて溜息が出る程だった。

ちっちゃな餓鬼の癖してマセてんな、とか思うなよ?
此でも裏の顔で見た俺の気持ちだったんだからさ。

初めはちょっと不思議だった。
爺の家に住んでた頃、暇だった俺が興味を持ったのは一本の巻物。

『面白い』

開いて、其の術書通りにしてみると案外簡単で次々とパスして行ったんだ。

其れは段々エスカレートして行って、禁術書に手が出る程だった。

其の術を成功させる為に自分の死が付く様なモノや、里を一瞬にして消せる様な危険な術も、覚えてくのが凄く楽しかった。

『お兄さん達、俺と遊ばない?』

禁術書にまで手が出た俺は、自分の力がどの程度か知りたくて、監視に付いてた暗部や勝手に恨みを持ってた暗部、其奴らを相手に毎日夜になると遊んでた。

『死んでも知らないぜ?』

『ん〜、多分大丈夫だよ』

其の頃から俺が相手する奴等は弱かった。
呆気なく、直ぐ終わった遊びに小さ過ぎる俺は自分の実力がどれ程が全然分からぬ侭、暗部とやらに興味を持って…

『暗部って、どんな仕事するの?』

『…依頼一つで人を殺めたりする。危険な職じゃよ』

『…そうなんだ?でさ、俺も其の暗部に入ってみたいんだ』

『…何じゃと…?』

爺には物凄く反対されたけど、何とか押し切って、暗部に入隊したのが、3つの時。

今じゃ俺は暗部全体を仕切る総隊長。
こんな俺が…こんな俺がだぜ?

アカデミーに入ったのは3年前の事。俺が8つの時。

爺に頼まれて仕方なかったんだ。
断れねーじゃん…。

其れも 条件まで付いて。

1、仮面を付ける事
2、旧家の子供達と一緒に卒業する事

条件付きなんてムカついたから、俺も条件を出したんだ。

『其れなら俺は中忍試験から仮面は外す。爺が何と言おうと絶対外すから』

此れが爺との約束。
中忍試験まで、俺が仮面を付ける事になった切っ掛けだ。

其れからドベで間抜けで馬鹿、そんなベタなキャラを作り出した。
此れなら誰も怪しまない、そう思った…が、其れが疲れるの何のって…。

他の奴らの前で馬鹿やったり。
態(わざ)と下手糞な分身作ったり…。

今思うとかなり大変だった…。

まぁ、今から下忍な訳でまだ仮面は外せねーが、中忍試験までの我慢だ。

「えー。此れから君達は里から任務が与えられるのだが…」

自由になる為なら、我慢だってしてやるさ。

「今度は3人一組の班を作り、各班事に一人ずつ上忍の先生が付き、其の先生の指導の元任務をこなして行く事になる」

誰が一緒だろうと、関係ねーし。
俺は其の侭仮面付けてればいいんだから…。

「班は力のバランスが均等になるようこっちで決めた」

「「えー!!」」

次々に名前が呼ばれ、下忍チームが出来上がってく。

俺の名前はまだ、呼ばれねーのか…。
何だか眠くなってきたかも…欠伸を堪え、名前を呼ばれるのを待った…ら

「じゃ次、7班。
春野 桜…渦巻 鳴門。其れと…団扇 佐助」

どうよ此れ。新種の苛めか?
団扇の末裔と恋愛馬鹿女と一緒の班かよ…。

何か、眠気冷めたよ今ので…。

一番厄介な奴と組ませてそんなに楽しいか糞爺…!

「じゃ、皆午後から上忍の先生達を紹介するから其れまで解散!」



教室に残ったのは俺達7班の三人だけ…。

「何で俺達7班の先生だけこんなに来んのが遅せーんだってばよォ!」

顔見せだろが…早く来いよな…。

「他の班は皆新しい先生とどっか行っちまったし、海豚先生も帰っちまうし!」

ブスブスと不機嫌に呟きながら、俺は空いてる席に座った。

「煤c」

来た…か。
って言うか、此のチャクラの感じ…もしかして…

ドアから手が見えて、ガラガラと音をさせて其の問題の担任上忍とやらが入って来た…。

「…」

最悪だ…。
其奴を目にした時、俺はそう心の中で呟いた…。

そして、俺が仕掛けておいた黒板消しにまんまと引っ掛かった其奴に近付く。

「やーい引っ掛かった引っ掛かった!
(何でテメーが此の俺の担任上忍なんだよ…怒)」

桜と佐助には見えないように背中を向けて、俺は少量の殺気を此奴に向けた。

「ん〜…何て言うのかな。お前らの第一印象は……嫌いだ!
(そ そう言わないでよ鳴門〜!火影様に言われたんだから、仕方ないでしょ…?汗)」

爺に言われただぁああ!?
何考えてんだよあの糞爺は!

「先生、本当に上忍か?」

怪しまれないよう、俺は疑いの瞳を向けると…

「人を見た目で判断しちゃ駄目よ?」

(いや、お前は十分見た目通りだよ)

(酷いな鳴門は…汗)

其の後、色々と話をしたり…。面倒臭かったが付き合ってやり、解散と同時に俺は一目散に爺の所へ向かった。



気配を消し、俺は執務室に入ると殺気をモロに込め、爺を睨みながら口を開いた。

「オイ爺…」

「何じゃ…?」

殺気を込めた睨みに多少、ビク付きながら俺に視線を向けた。

「あの班は何だ?よりによって団扇の末裔と恋愛馬鹿女…其れと案山子!どうゆう組み合わせだ此れ…俺に対しての嫌がらせか?あ゛!?」

畑 案山子。
さっき登場した7班の担任上忍だ。

此奴とは、俺がもっと小さい頃からの暗部仲間。
何度か一緒に任務もしたし、話したりもする。
暗部での(一応)部下な奴が…
そんな奴が俺の担任上忍だぜ?

「不満か?」

大不満だ!!

「当たり前だろ…。何で俺が団扇の末裔と組まにゃいけねーんだよ!?あの女、佐助佐助ってウザいし…案山子と一緒にいたらより疲れるっての…」

そう言って俺はソファへ座った。

「桜と佐助は海豚達が決めたんじゃろ…。案山子の班にしたのは、万が一の時案山子と一緒のがやり易いと思ったからのぉ」

「あ〜もぉマジでめんどぉ…あの時爺が上忍試験受けさせてくんねーから、今こうやって苦労してんの分かる!?」

俺は本当、忍者ゴッコなアカデミーに入りたくなかった…。
なのに…爺が言うから仕方なく入ったってのに。

「まぁそう言うな。鳴門だけ贔屓する事は出来ぬし、上忍試験の飛び級なんてモノはこの世には存在せぬぞ」

「波の国の禁術書でが ま んしてやるよ」

「お主なぁ…はぁ。分かった…其れから中忍試験になったら約束通り…」

其の日がやっと来る…。
もう少しで…。

「分かってるって。何の為に俺が三年間『馬鹿』やって来たと思ってんだよ」
 

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