中忍試験

 
中忍選抜試験、当日。

試験会場へと足を踏み入れた鳴門たちは、猪と桜に出会った。

「「鳴門、鹿丸、聯くん!」」

「よぉ猪、桜」

「お早う猪ちゃん桜ちゃんv」

「お早うv」

「お前らも受験すんのか?」

鳴門たち以外の下忍ルーキーが勢揃いしていた。

「亜須磨先生が勝手に推薦してさ…お前らなら出来る!とか言っちゃってー…」

「案山子先生もよ!鳴門たちが出るなら止めておけばよかったわ…」

溜息混じりにそう話す猪と桜を見てクスクスと笑った。

「安心しろ、俺ら女には手加減すっから」

「そうそう」

「女の子には優しくしなきゃ、だもん!」

そして、

「バカな真似する奴以外はな」

「お前ら下がってろ」

「鹿くんだけ?」

「そう言うなって、さっき湊さんに約束しちまったからな。鳴は俺が守るって」

「「キャーv萌えー!」」

こちらに向かってくる3人組。

1人が鳴門に向けてクナイを投げ付ける。
微動だとして動こうとしない鳴門の前に鹿丸が立ち、クナイを弾き落とす。

其の騒動に此の会場にいる全ての下忍たちが鳴門たちに注目していた。

「俺を守ってくれるんだろ?鹿…v」

「嗚呼、精一杯頑張りますよ」

クス、と笑い鹿丸は前に出た。

「お前ら、何うちの姫に手ぇ出そうとしてんだよ」

「(姫言うな!)」←鳴門

「…姫?其奴、男じゃないのか?」

「男なのに姫?オカマ?」

「うわぁ、そっちの趣味なの?」

「(ピクッ)…………」

其の会話を聞いていた鳴門のカンに触ったのか、鳴門の機嫌は悪くなっていた。
其れに気付いた鹿丸は、溜息を付いた。

「あ〜ぁ、そんな事言うと知らねぇぞ?
うちの姫怒らせたら、お前ら死ぬよ?」

―ゾクゥッ!!

3人に向けて殺気を送ると、耐えられなかったのか、尻餅を付いていた。

そして、ゆっくりと鳴門が近付き、其の3人を見下ろした。

「(ギロッ)…あんまナメた真似してっと、マジでぶっ殺すぞテメェら…」

シーン、と静まり返った空間の中、鳴門の言葉が響いた。

「言葉はちゃんと選ばないとね。其の首、すぐ飛んじゃうよ?
てゆうか僕が斬ってあげようか?」

にっこり笑いながら腰に挿していた刀を抜いて、1人の首に突き付けると、3人は目を見開き冷や汗を流しながら震えていた。

「何か、別世界ね鳴門たちって」

「凄いわー…」

そんな会話が繰り広げられているなどとは、鳴門たちは知らない事。

其れからすぐ試験官たちが会場にやってきて試験は始まった。



【イキビSide】

「忍なら……立派な忍らしくする事だ」

今回の中忍選抜試験、あの奇跡的に生きてた四代目率いる、渦巻 鳴門を始めとする天才忍者が受験すると聞いていた。

真ん中に座ってる金髪の子供、其れと3列後の黒髪の子供、そして、其の列の右端にいる赤髪の子供だ。

第一の試験は、ペーパーテスト。
下忍には到底解けない難問を出題し、カンニングに走らせ其れを見極める。

さっきも言った通り、忍なら忍らしく。

そう、忍なら忍らしくカンニングをしろって事だ。

さて、四代目のチームがどんな手を使ってくるか、楽しみだな。

そうゆう風に心の中で思っていると、

「…?」

ブレて見えた気がした…。
気になって金髪の子供を見ていると、其の子供が俺と視線を合わしてきたんだ。
目が合った瞬間、其の子供はニヤリ、と笑った。

久々に面白い子が出てきたな。
流石は四代目の息子って所か…。

時間が経つにつれ、失格者は増えて行った。
5人、10人、15人と。

其の中、あの四代目チームは完璧と言える程、術の完成度が高いのか何の隙も見せない侭、最終問題となった。

何時ものように口術でプレッシャーを与える。
そうでもしなきゃ、此の10問目は意味がない。

「では始めよう。此の第10問目……受けない者は手を挙げろ」

そう言うと、不安になった奴らがチラホラと手を挙げ出した。

そんな中、四代目の息子は手を挙げる仕草もない。

凄いな、此の子は…。
全く動じず、早く此の第一の試験が終わってくれるのを待っているかのようだった。

そして、手が上がらなくなったのを確認し、

「では、此処に残った全員に…第一の試験、合格を申し渡す!」



【カメラSide】


「「!!!!」」

イビキがそう言った瞬間、会場は次第にざわめき始めた。

「ちょ…ちょっとどうゆう事ですか!
いきなり合格なんて!10問目の問題は?!」

「そんなものは初めからないよ。
…言ってみればさっきの2択が10問目だな」

桜の反論にそう答え、次から次に質問が飛び交う。
イビキは其れに対してちゃんと正確に下忍にも分かりやすく説明していた。

「君たちの健闘を祈る!」

そうイビキが言った瞬間、外から窓ガラスを割って入ってきた奴がいた。

「アンタたち喜んでる場合じゃないわよ!私は第2試験官!
御手洗 餡子!次、行くわよ次ィ!
ついてらっしゃい!!」

突然の事で会場にいる鳴門たち以外は皆、餡子を見ながらポケーっとしている。

「空気読め…」

「煩いわね!
でイビキ、何よ此の有様…26チームも残したの?
今回の第1の試験…甘かったのね!」

「今回は…優秀そうなのが多くてな」



其の後、餡子の後を付いて行ったら…

「何か、不気味な所ね…」

「フフ…此処が"死の森"と呼ばれる所以。
すぐ、実感する事になるわ…」

そんな言葉を聞いても鳴門たちは顔色1つ変えずにいた。
其れもそう、此処は曾て昔鳴門が拠点にしていた場所だから。

「あー、そう言えば鳴、家の周りに張ってある結界は?」

「もうそろそろやり変えねぇといけねぇ…あれから全然来てねぇし…」

「家?」

「聯はまだ知らなかったな。
此の死の森ん中にあるんだよ、俺が昔住んでた家が」

其れを聞いた聯は目を輝かせていた。

「じゃあ始まったら見に行きたい!」

「そうだな。結界も張り変えねぇといけねぇし」

「やったーv」

第2の試験。
何でもありありのサバイバル。
各チームに2種類ある巻物の1つが渡される。

"地の書"と"天の書"。
其の2つの巻物を手にし、死の森の入口から10Km離れた塔へ5日までに辿り着く事が、試験の内容だった。

同意書を提出し、鳴門たちは"地"の書を受け取った。

「死人、かぁ…じゃあ殺していいの?」

「いいんだよ。其の為の同意書だろ?」

「ま、ゆっくりのんびり楽しもうぜ?」

「そうだな」
「うんv」

第2試験が始まった。
入口のゲートが開き、中へ入っていく。

「さて、最初は家見に行くか」

鳴門たちは森の中へ入ると、走り出した。



3分とかからないうちに、目的地に到着した。

「さぁて、張り直すかな」

今まで張っていた結界をなくし、鳴門は印を結び家の周りにまた結界を作る。

「凄ーい!本当にお家だッ!鳴くんが建てたの?」

「嗚呼、木遁でな」

そして、中へ入ってく。

此の家は鳴門が寝る為だけに建てたモノだから、水も出ない電気もないガスもない。
ただ、部屋があるだけのモノ。

2部屋あるだけの家。

「懐かしいなぁ」

窓を開けながらクスリ、と笑った。

「昔はよく此処に来ては、寝てたっけ?」

「分身は家に置いてな」

「僕と出会う前?」

「聯と一緒に住むようになってからはこっちには全然来てなかったし、あっちが拠点になってたな…」

パタン、と窓を閉めると次に鳴門は部屋を見渡し始めた。
所々にある巻物を手にしては、懐かしむように微笑んだ。

「本当、懐かしいなぁ」

「終わったらまた来るか?」

「だな」

「僕も!」

そして、鳴門たちは隠れ家を後にした。

「さて、"天の書"奪いに行くか…」

「誰が持ってるのかな?」

「此処から1番近くて、5時の方向だな。
よし、行くか」



ターゲットを見つけた。
何の迷いもなく、目の前に降り立った。

「お出迎えか?」

「ラッキー」

「巻物探す手間が省ける」

鳴門たちは無言の侭、目の前にいる3人を見ていた。

「………誰が行く?」

「じゃあ、聯お前行け」

「分かったv」

腰に挿してある刀を抜き前に出る。

「お兄さんたち、其れじゃあ遊ぼうかv」

にっこり笑ってからゆっくりと歩み寄る。
 

[ 53/55 ]
[*prev] [next#]
[しおりを挟む]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -