「だね。先生相手でも鳴門1人ならまぁ1分とかからないだろうけど、我愛羅くんも一緒だからね」

そ、そんなに凄いんだ…鳴門って…。
昔から強いだの天才だの言われてるのは知ってるけど、火影さま相手に1分かからないって…どれだけ強いのよぉ…(汗)

「スピード勝負ってところか」

「こっちに被害が及ばねぇように結構張ってる限り楽しむつもりだし、まぁこっちも楽しめびいいんじゃね?」

やっぱり凄いわね…鳴門の周りにいる奴は…。
今更だけど、実感したわ…。

「あ、動くみたいだよ!」



【鳴門Side】

「親父は一本の指だけで術使えると思っていい。
だから、動きを封じる時は手を狙え」

「分かった」

「じゃあ、頑張ろうぜ」

「嗚呼」

俺も我愛羅も戦闘体勢に入った。
我愛羅は瓢箪の中から砂を出して、ゆらゆらと空中に漂わせて…。

「始めようか…」

先ずは親父を此処に引きずり出さねぇとな。

「…見っけ。我愛羅、親父を捕まえる砂にたっぷりとチャクラ練り込んでおけよ?」

「嗚呼」

そう言って俺は手にチャクラを集めて、親父が隠れている木の幹に拳を叩き付けた。

―ズドォン

其の木は大破し、居場所がなくなった親父が次の場所に移動した所を狙って先回りし、親父の顔に向かって蹴りを入れた。

「心臓の音ぐらい消した方がいいぜ?親父」

手を抜いて繰り出した其れを両手で防いだ親父は苦笑した。

「やっぱり、鳴くん相手じゃ一筋縄ではいなかいんだね」

「俺を舐めてもらっちゃあ困るっつーの」

素早く距離を取った親父に向かって、今度は我愛羅の砂が迫ってきた。

たっぷりとチャクラを練り込んだ其の砂は、かなりのスピードで親父の方に向かい、そして、指示した通りに手を狙いもう少しで、と言う所で勘づかれてギリギリで避わされてしまう。

「狽チ?!」

「伊達に火影はやっちゃいねぇな…v」

クスリ、と笑みを漏らし、俺は我愛羅に話しかけた。

(我愛羅、今度は鈴だけ狙え。俺は親父の動き止めっから)

目を合わせると、小さく頷く我愛羅を見て俺は親父に向かって行った。

「なぁ親父、此れって何でもアリだよな?」

「そうだけど?」

じゃあ、久しぶりに彼奴の顔でも見てみるか。

クナイで少しだけ親指を切り、其処から流れ出る血を5本の指にさっと、付けて…印を結び、地面に手を付けた。

「口寄せの術…」

モクモクと煙の中から現れたのは、此の世界にただ俺だけが契約者の人型の妖弧。

九尾とはまた別物だけど。

「…」

真っ黒い長い髪に真っ白い肌、真っ赤なアイラインに唇も真っ赤で、雪女みたいな真っ白い着物を着崩して、胸元なんかばっくり開き、尻からは長い尻尾が顔を出してゆらゆらと揺れた、色気ムンムンの女妖弧。

「久しぶりだな、白蘭(びゃくらん)」

「少し大きくなったか?鳴門よ…」

口寄せをした白蘭を見て、其処にいた(佐助と佐為以外)全員が何故かこっちに駆け寄ってきた。

「ってお前ら…演習の最中だろ…」

「鳴くん!此の人って、もしかしなくても狐さん?」

「フフフ…そちは可愛ゆいのぉ」

「か…可愛い…?//」

白蘭が笑うと聨はほんのり頬を染めていた。

「唯一人型の妖弧で、人間の目につかない深い樹海の奥に住んでるって言う…妖弧だろ?」

「妾(わらわ)の名は白蘭、そちの言う通り、妾は其の妖弧じゃ」

鹿丸って、本当何でも知ってんだな。スゲー…。

「僕も人間の姿をした妖弧の事は話には聞いてたけど、実際に見るのは初めてだよ…」

「そち、鳴門によく似ておるな…」

「僕は鳴くんのパパだもん!似てて当たり前だよ」

「パパ、とな?」

「父親って事だよ白欄」

「ほう、父君か」

人気者だな白蘭。
凄い質問攻め食らってるし…。

「大人の女性って感じ…//」

「年を取れば、色気はついてくるものじゃ」

「そう、ですか…?//」

此の侭、演習は中止か…?
ま、我愛羅の砂を動かすスピードも夜中より断然上がったしいいんだけど。

「ふふっ」

偶には、俺以外の人間と話すのも白蘭にはいい経験かもな。

「鳴」

「どうした?」

「あの白蘭って妖弧、忍妖って言うのか此の場合…
でも元々は違うだろ?」

「そうだよ?初めて会った時は、ごく普通の妖怪?だったし」

「そうだよ?って、簡単に言うなよ…」

何、簡単に言っちゃマズかったかな…?
いや、だって普通の妖怪だったってのは本当の事だし…。

「忍犬や口寄せの生き物と違って、妖弧だぞ?妖怪だぞ?妖怪。
人間と慣れ親しむような生き物じゃねぇ妖弧と契約した事自体、普通は有り得ない事だから」

「でも、白蘭って意外とフレンドリーだったぜ?」

俺の時もあっちから姿現したし?話しかけられたし?

「ほら、見てみろよ。かなり皆とフレンドリーじゃねぇか」

「…(汗)」

呆れたように溜息を付いた鹿丸だった。

結果論。
白蘭と口寄せ契約した事は、凄かった…って、事?
よく分かんねぇかも…。

「此れ、何時まで続くんだろうか…」

「知らないって」

あ〜あ…。

折角、久しぶりに白蘭出したってのに。
親父をぶちのめすチャンスだったのに(悪い子)

結局、鹿丸と聨の演習もない侭、演習は終わりを告げた。

「鳴門以外の人間と話をするのも面白い。妾は今日、久しぶりに楽しめたぞ。
其れから、偶には妾を呼んで頼う。いつぞやみたいに、ソナタと一夜を供に過ごしたいのじゃ」

「分かった。じゃあな白欄」

白欄は俺の頬に口付けて、煙と一緒に消えていった。
そしたら、周りの奴らは、ポカンと口を開けて、何ともだらしない顔をしていた。

「ヤダ鳴門…!//」

何照れてんだよ桜…。

「何だよ…」

「鳴くんが…妖弧と、結婚…」

親父…何考えてんだテメェは!!(怒)鹿丸や聨の次には、白欄か!?

「馬鹿な事言うなよ!何で俺が白欄と結婚しなくちゃなんねぇんだよっ」

「そんなっ…鳴くん、其れじゃあ白さんが可哀想だよ!」

だからさっきから、此奴ら何を勘違いしてんだよ…!

「はぁ…?頭可笑しいんじゃねぇの聨…
何で彼奴が可哀想になるんだよ」

「鳴門には鹿丸くんがいるのに…浮気なんてよくないよ?鳴門…其りゃあ、女の子に魅力も感じるかもしれないけど、浮気はいけないよ…」

案山子っ…!
何でこう皆、違った答えに行き着くんだろうか…。

あ、鹿丸は大丈夫だよな?
彼奴なら、分かって…

「何だよ其の浮気っての!俺は身に覚えがねぇっ!!」

「じゃあ、鳴…今の、何?」

って、何で怒ってんの鹿丸っ?!

つーか、分かってくれてねぇーっ!!(汗)

「今のって?」

「一夜を供に過ごしたい…ってヤツ」

うわぁ…かなり怒ってるし…(汗)
つーか、そうゆう意味で言ってたんじゃないんだけどなぁ…。

もうっ!
馬鹿ばっかりだな!

「ったく!何考えてたんだ!鹿のエッチっ!」

―パチン!

平手打ちを食らわしてやった。鹿丸に。
もうまさに、八つ当たりだ。

「ってぇ…何で殴るんだよ!」

「白欄が言った意味はまた一緒に任務したいって事だよ!
テメェら変な方にとるなっ!//」

顔が赤くなった侭、奴ら(特別鹿丸)を怒鳴り散らす!

「もう、帰るぞっ!//」

と、振り返ってみたら

「鳴くん…」

「何だよ親父…」

「鹿丸くんと、付き合ってるの…?」

―チーン……

あぁ…今日は厄日か…?
自分の父親も馬鹿ってどうよ?
いや、前から知ってたけどさ…馬鹿は馬鹿でも、超が付くなんて…。

「あれ?パパ今更なの?
一緒に住んでるのに分からなかったの?
寝室も同じなのに、一緒に寝てるのに?
何時もイチャイチャしてるのに?」

って、聨。
トドメを刺すんじゃない。
おいコラ、分かってんのか?
親父がどんなにウザいっての…お前も知ってんだろ?

「キャー!同じ寝室ぅー?!//」

「何興奮してんだよ桜…」

予想外の発言に力が抜けるよ…。

「そんな…鳴くんが、ネコだったなんて…」

ほら始まった。
…って言うか、

「おいコラ、テメェ。
何でネコって決め付けてんだよ…タチの場合だってあるだろ!?」

「だって!鳴くん可愛いから…!」

「理由になってねぇよっ!!つーか俺なら攻めでも十分勤まるだろうがよ!」

鹿「其りゃ無理だな」
聨「無理だよ(笑)」
案「無理だって」
桜「無理よー!」
湊「鳴くんが?無理無理!(笑)」

一斉に否定すんじゃねぇ!
俺の細やかな希望を!

「テメェら…(怒)」

「ほら、鳴門は顔が可愛いから、皆そう思っているんだと思うぞ?」

………我愛羅まで…(涙)
フォローになってねぇよ…。



帰り道、ちょっとだけ考えてみた。
俺がもし、攻めだったら…どうなるんだろうか。

攻めとしては、やっぱり身長いるけど世の中には身長低くても顔が可愛くてもタチな奴がいるし。

―ポワワァ〜ン…

凛々しい顔して、1つ1つが格好よくて…
中々格好いいじゃねぇか。

で、次は…。
攻めらしく…強引に(鹿も少し強引な所あるし)向かせて、

『なぁ鹿、こっち向けよ』

マジ格好いいぞ俺!

『何だよ』

アレ…?
あんまり変んねぇな…。

ま、いいや。

『キスして?』

アレ…?
首なんて傾げちゃダメだろ俺!
俺は攻めなんだから、そう攻め!
胸ぐら掴んで、グイっと引き寄せて強引に…

『狽っ?』

攻めらしくなってきた!!
俺って格好いいっ!

『何だよ、何時になくヤる気じゃねぇか…v』

アレ…?
ちょっと、鹿丸さん。
違うよ!アナタ今ネコなんだよ?
そんな格好いい顔で、怪しげに笑わないでよ!

『いや、そうじゃなくて!鹿っ…ま、ちょ…待てって!』

って、何で何時もの俺なの?!
ちょっと!攻めなんだから!
頑張って鹿丸を押し倒してよ!俺!

『逃げようたってそうはいかねぇよ』

『ま、待てよ鹿っ!!此れには深い訳がっ!!』

組み敷かれてる…!

『たっぷり時間はあるんだ、焦んなって』

『焦ってなーいーっ!//』

ダメだ…。
妄想の中でも俺は決定的にネコになってるし…(汗)

「何、1人で百面相してんだよ…」

「え?あ、…何でもない…」

攻めな俺を妄想してたって、絶対言えねぇ…!



家に帰った時は予定より早い、3時ぐらいで。
夕飯までの約3時間、我愛羅の修行で時間を潰した。
時間があれば修行!みたいな?
其の為に我愛羅は今うちに来てるんだから、其の為に俺らも尽くさねぇとな。

ある程度、動かす砂のスピードは以前より遥かに上回った。
上忍程度じゃ、直ぐ捕まるだろ。

約3時間、其の我愛羅の修行が終わってうちに帰ってから、昨日の夕飯時に言ってた通り、今日の夕飯は我愛羅が作る事に。

食材を買いに我愛羅1人で行ってたけど…。

俺たち4人は手伝わなくていい、と我愛羅に言われてリビングで待機中。

「何が出てくるんだろうね!」

「楽しみだねパパv」

や、あのね?
其の、ウキウキワクワクみたいな感情はさ、悪いけど全然ねぇの。
俺と鹿丸はな。
親父と聨は楽しそうに待ってるけどさ…。

ほら、砂の里って砂漠の中だろ?
其の里を貶(けな)すとかじゃないが、嫌な予感が…。

「大丈夫かな…」

「…祈るしかねぇよ」

だよな。

そう、だよな…。
 

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