集合場所に着くや否や、其の場所には違う下忍の子供たちの姿があった。

団扇 佐助に春野 桜、其れと見た事のない腹出しの男の3人が。

「今日はね、合同任務らしいからSランクの任務は出来ないから我慢してね」

今日初めて聞かされた事実に、鳴門の眉間に紫波が出来る。

「親父…何でそんな大事な事、今の今まで黙ってるのかなぁ…?(怒)」

「だって、前々から知ってたら面白くないし?
鳴くんの事だから嫌って言ってやらないでしょ?!」

「当たり前だろっ!何で俺らが合同任務をやらなきゃなんねぇんだよっ!」

怒りを露にした鳴門に近付いてきた桜。

「はぁい、鳴門!鹿丸!聨くんv」

「あぁ…」

「おう」

「お早う桜ちゃん!」

其々挨拶はするものの、鳴門と鹿丸はDランクが相当嫌なのか、元気がない。
其れに比べ、聨はDランクを初めてする為か嬉しそうに、にっこりと笑顔になっていた。

「鳴門、此の人は…?」

我愛羅を見つめる桜。
そんな桜に我愛羅は会釈をした。

「砂隠れの里の下忍で我愛羅って言うんだ。訳あって今、俺ん所に居候してんの」

「砂漠の我愛羅だ。宜しく頼む」

「私は春野 桜、宜しくね!」

挨拶が終わり、鳴門は不思議に思っていた事を口にした。

「つーか桜、彼奴誰?」

「佐為くんの事?」

「「佐為??」」

佐為と言う男、アカデミーでは見掛けた事のない人物。

「彼奴、何で桜のチームに入ってんだよ…」

「人数会わせか?」

「どうなのかしら…案山子先生が、急に連れて来たのよ」

彼奴、どっかで見た事あるような…。

「案山子が?」

其の案山子はまだ姿を現してはいなかった。
アカデミーにいなかった人物が何故、下忍チームに入ってきたのか…。

「実はね、佐助くんと佐為くん、反りが合わないらしくて…まぁ私もあまり、ね…」

溜息混じりに話す桜を横目に、佐為と佐為を見てみると…

「……」
「……」

目も合わす事もなく、喋る事もなく、佐助は黙った侭、佐為は読書をするばかり。

「チームワークが全っ然なり立たないのよね…毎日喧嘩」

「其の為の合同任務か…」

「え、何?」

ポツリと零れた言葉に桜は首を傾げた。

其の会話を一部始終聞いていた鹿丸も、鳴門に同意するように頷いた。

「多分、案山子が三代目に愚痴を雫したんだろ…
で、三代目が鳴の親父さんに頼み込んだんじゃねぇの?」

「だろうな…。
じゃなきゃ、たかが下忍チームと合同任務なんか俺が受ける筈もねぇし、其れを承知の上で親父も黙ってたんだろうな………ったく、めんどくさい」

「つーか顔が笑ってるっての…本当は楽しめると思ってるクセに

そんな鳴門に鹿丸は深い溜息を付いた。

「今日は昼までには終わりそうもねぇな…」

また深い溜息…。

其の10分後、案山子が到着したが…

「やぁ皆!遅くなってゴメンねぇ…ちょっと、お婆さんが、こm…」

「…(激怒)」←鳴
「…(怒)」 ←鹿
「…(黒笑)」←湊

鳴門、鹿丸、湊の機嫌の悪さに気付いたのか、案山子の表情は段々と引き吊ったものと化した。

「てめぇ、案山子…どれだけ待たせれば気が済むんだよ…ぁあ?」

「そんなに死にてぇのか…?」

「案山子ぃv僕を待たせるなんて、随分と偉くなったもんだねぇ〜♪」

3人の殺気を直に受ける案山子は、既に顔は青ざめ、魂が抜けかけていた…。

「ゴ、ゴメンなさ……」

「「次はないと思えよ(うんだよv)」」

「ハイ…(涙)」

そして、合同任務が始まった。

「で、何するんだ」

「演習だよ」

案山子の言葉を聞いて、全てが繋がった。

やはりと言うか何と言うか。

此の合同演習は佐助と佐為とのチームワークを築く為のもの。
其れを手助けする為に鳴門たちが呼ばれた。

「あんまり乗り気はしねぇがな…(妖笑)」

「だから顔が笑ってるっつーの…」

よく知りもしない他人の為に力を貸すだなんて、不本意だと思っているのは鹿丸だけ。

「そう?面白そうじゃんv」

「俺は何をすれば…」

「我愛羅くんも一緒に演習したらいいよ☆」

「先ずは佐助たちにやってもらうから」

案山子と恍曜の2人の相手から鈴を奪えばいい、簡単な演習内容。
もちろん、2つしかない鈴を奪うにはチームワークが必要になってくる。

反りが合わない佐助と佐為の為に作られた演習だ。

きっちりと此の2人に分からせないと、と鳴門は心の奥底に眠る邪悪な鬼を目覚めさせていた。

「腰に付いてる鈴を奪うだけでいいんだよ。簡単でしょ?」

「先生、でも鈴は2つしかないのに私たちは3人よ?」

「どうしたらいいかは桜たちが考える事。
まぁ俺を殺す気で来ないと取れないかもね…」

鈴取り合戦が始まった。
佐為、桜、佐助は其々違う方向に散り身を隠した。

「親父、こうならこうで早く言えっての」

「鳴くん…断れるかと思ったから…」

「湊さん分かってないよ…こうゆうの、鳴が一番好きだって事」

「そうなんだ…」

「もう鳴くんは止められないからね。大変だよ…」

案山子がばっちりと見える木の上に移動し、観察する。



【鳴門Side】

始めっからチームワークの欠片もねぇ。
桜はいいとして、何なんだあの2人は…。

「此れ程まで酷いとはな…」

「案山子が泣き着いてきたから余っ程とは思ってたけどね」

「…」

違う場所から案山子を伺ってて、仲良しこよしを好まないってのが見るからに分かる。

1人でどうにかしようとしてるし、何か呆れてくる…。

「あ〜ぁ、佐助くん1人で突っ走ってる…」

何の為の演習だと思ってんだよ…。
わざわざ俺たちが来てやったってのに、チームワークを築く為だって全然気付いてないし…。

皆自分勝手だな。
溜息を付きながら見ていると、佐為とか言うヤツが何やら巻物に筆を滑らせていた。

「やっぱり彼奴…」

墨で書いた絵を術で現実のモノにする…そう…

『超獣偽画』

暗部の根の奴が何で此処に…?

「鹿…」

「嗚呼、団蔵の下で働いてた奴だろ…」

そう。三代目爺に対する反対派の動きを見せてた老いぼれだ。

彼奴の部下が何で下忍に…。
もしかして、何か仕掛けてくるか…?

「ねぇねぇ鳴くん見てっ!」

あの佐為とか言う奴は、何体かの物体を作り出した。
一斉に案山子へと向かわせるが、果たして案山子に通用するかな…。

「…」

白い牙と呼ばれた男の息子である案山子は天才と呼ばれていたからな。

写輪眼持ってるし
鼻も利くし
頭もキレる
ま、天才ってのは其の当時の話だけどな。

佐為が作り出した数体の物体は案山子めがけ、迫って行った。
其れを安々とくらう程案山子も優しくない。

確実に一体ずつ消して行くと、佐為はいた場所から移動した。

「手当たり次第やったって時間の無駄だってのに…」

「暗部と言っても所詮はまだまだひよっ子だな」

今度は佐助。
佐為の攻撃が終わった瞬間、隙をついて手裏剣やクナイを投げ付けた。

其の手裏剣やクナイが命中した案山子の体は変わり身の術で大木と変わり、地面へ虚しく転がった。

「其の点、佐助くんは下忍なりたての割りには出来る方だね」

まぁ…な。
下忍にしては、な。

「流石は団扇の血、って所か…」

「でも、考え方は佐為って人と同じだね」

1人で向かって行っても、此の演習の意味ないだろ…。

「何か苛々してくる…」

「な、鳴…?」

「えっと…」

「…僕知らなぁい」

「…?」

演習を見ててかなり腹が立ってきた。
此奴ら、何の為に結成されたチームか分かってんのか…?

「喝入れてくる」

「行ってらっしゃいv」

「いい、のかな…?」

「任せましょうよ」

「何が何だか…」

其の場から案山子のいる所に瞬身の術で移動した。





「わっ、吃驚した…どうしたの?鳴門…」

いきなり目の前に現れた俺に目を丸くする案山子。

「桜、あと2人も出てこいよ」

そう言うと3人とも出てきた。
理解してなくて、何が起きたのか、と戸惑った顔をしていた。

「お前ら、やる気あんの?」

「「…?」」

桜は見ずに、佐為と佐助を見ながら無表情の侭言った。

「演習だって言ってんのに何勝手に単独行動してんだよ…」

桜いいんだよ。
問題なのは此の2人だ。

「2人共術の1つ2つ使えるなら何で力合わせてやろうとしねぇんだよ?
1人でやったって案山子に敵う訳ねぇだろ…其れぐらい分かれよ馬鹿じゃねぇんだからさ…」

「君に言われたくないな」

怒りを表す事もせず、佐為は俺にそう言った。

「僕は、此の2人を仲間なんて思ってないよ。力を貸すなんて嫌だね」

「お前がそう思うのは勝手だ。だったら何で此の班に入ったんだよ」

「そう決まったから仕方ないよ」

「だったら協力するのが筋ってもんだろ?
其れが嫌なら忍なんて辞めちまえ」

そうだろ?
仲間なんて思ってないし、此の班の2人は嫌い、仲良しこよししたくないって言うんだ。
こう言うしかないだろ?

「……」

「そんな奴がいても邪魔なだけだから。なんなら今から俺が爺に言ってやろうか?」

「…」

「其れと佐助もだ。
女1人にさせてテメェも仲間意識が薄過ぎる」

「…っ」

「桜を残して、其の間に敵に襲われたらどうする?」

「此れは演習だろっ!敵なんか…っ?!」

反抗する佐助に下忍でも分かる程度の殺気を送りながら睨む。

「馬鹿か。其の為の演習だろうが…其れも分かんねぇのかよ…」

呆れて溜息しか出ねぇ。

「鳴門の言う通りだよ。
此の演習の本当の目的はチームワーク。
任務は班で行う!
確かに忍者にとって卓越した個人技能は必要だ…が、其れ以上に重要視されるのはチームワークだ。
チームワークを乱す個人プレーは仲間を危機に落とし入れ、殺す事になる」

案山子が少し強めに言うと佐為も佐助も大人しくなった。

「佐為も、俺たちが嫌いなら嫌いな侭でいい。
でも此れは決められた事だから、其れに俺たちに与えられた任務はやり遂げる使命がある。
班の中だけでも協力する事、分かった?」

「分かりました」

「佐助もね?」

「嗚呼…」

「さて、次は鳴くんたちの番だよ?」

案山子と親父に1つずつ鈴を持たせて、俺と我愛羅、鹿丸と聨と2チームに分かれた。
先に俺と我愛羅のチームからする事と決まった。

「我愛羅、此れも修行に入ってるから。
親父はあぁ見えても火影だし、見くびると痛い目あうぜ」

「承知している」

気合い十分だな。

親父との距離は数メートル。
スタートと同時に親父は姿を隠すとして…

「じゃあ、始めよっか」

そう言って親父は俺の読み通り姿を隠した。



【桜Side】

「始まったみたいだね」

火影さまは直ぐ姿を隠したけど、鳴門たちは其の場所に立ち止まった侭だった。
鳴門は何かの術の印を結び始めたの…。

「何、あの速さ…」

鳴門が印を結ぶスピードは尋常じゃない速さだった…。

目で追い付けない…。

「結界張るのか」

「え、鹿丸っアンタあのスピードで見えてんの?!」

「見えるだろ?普通」

見えないわよっ!
見えてたらこんなに驚いたりしないわ!!

「鳴くんがどう出るか…」
 

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