3
「皆さんお揃いで…此処に何の用かしら?」
「アンタを殺しに来たんだよ大蛇丸」
今度は眉間に紫波が入った。
「アタシを殺しに?クックック、面白い冗談ね」
「冗談か冗談じゃないかは、死んでから決めた方がいいぜ?」
「生意気なガキね…」
「人の息子に、其れはないんじゃない?」
「あ、そうね。鳴門くんは貴方の子供だったわね…
まぁ貴方たちも、場所を考えてみなさいよ…此処を何処だと思ってるのかしら…」
自分の住みかにノコノコやってきて、生きて帰れると思うのか?的な発言。
其れに対し鳴門は口の端を持ち上げた。
―やってもらおうか…
「俺は大蛇丸を殺る」
「俺たちは其処に隠れてる奴らを仕留めとくよ」
「嗚呼」
「体に傷付けちゃ駄目だからね?」
「分かってるって」
「頑張ってね鳴くんv」
「聨もな」
【鳴門Side】
鹿丸たちが扉の方へ行って俺は大蛇丸を見つめた。
青白くて気味悪りぃ顔しやがって…。
「本気できなさい」
アンタがどの程度なのか、伝説の三忍の中で天才と言われたアンタの実力が見物だな。
精々、俺を楽しませてくれよ…。
「いいのかよ?速攻でケリ付くぜ…?」
「酷い言い方ね。まるでアタシが弱いって言われてるみたいだわ」
「違うのか?」
「まぁいいわ。其の言葉、覆させてもらうから」
【鹿丸Side】
部屋の扉の所に5人。
身を潜めてるんだろうけど、バレバレだっつーの…。
「隠れてねぇで出てきたらどうだよ…ったく、めんどくせぇ」
「まぁまぁ鹿くん。其れ言ったら可哀想だよ?あの人たちはアレでも隠れてるつもりなんだから」
「聨くん、意外に辛口なんだね…」
恍曜さんの言う通りだな。
聨も言うようになったもんだ。
俺たちがそう言うと、隠れてた奴らが姿を現した。
女1人に男4人。
「俺白いのと蜘蛛な」
「僕は女の子とおっきい子の相手するよ」
「僕はあの人だねv」
「速攻でケリ付けやるぜよ」
乱闘が始まった。
ま、俺と聨はそこそこの実力があるとして、見物はやっぱり湊さんだろ。
「早く終わらせよ…」
朱羅時雨を出して、速攻でケリ付ける為に掌を其れで切って朱羅に飲ませる。
「朱羅、よく飲んで切れ味MAXにしろ…」
お主でも、ちと厄介な相手か…?
「いや、早く終わらせたいだけだ」
話している間も朱羅は良い飲みっぷりで俺の血を飲んでいる。
「まだか?」
もうよい…
「じゃあ、行きますか」
先ずは、あの白い奴だな。
其奴へ向かって、朱羅を振り下ろす。
―ザクッ
「…っ!」
やっぱり此の程度の切れ味じゃ、切り離せねぇか…。
仕方ない…。
「朱羅、此奴の血、全部飲んじゃえよ」
そう言って其奴の首めがけて朱羅を突き刺す。
「が…ぁ…っ……」
俺のスピードに付いてこれないと言う事は、其れまでの奴だって事。
突き刺した朱羅から、ゴクゴク、と血を飲む音が聞こえてくる。
「美味いか?」
不味いわ…
「お前が好きな血って、俺と鳴以外いるのかよ…」
分からぬな…
「早いトコお前の好きな血を持ってる奴見つけろよ。
でなきゃ、俺らが先に死んじまうぜ…」
次は蜘蛛みたいな奴。
血の抜かれた其奴から朱羅を抜くと静かに横たわり、もう一回朱羅を突き刺すと青い炎に包まれて、消えていった。
朱羅に俺の血を飲まし終わってから、此奴を倒すまで約7秒ぐらい。
多少、朱羅に血を飲ませたから切れ味は結構なもんで…
「腕ぐらい切り落とせねぇとな…」
小さく呟いて、蜘蛛みたいな奴に朱羅を向ける。
「次はアンタだぜ?」
先ずは切れ味確かめてみよう、と、蜘蛛みたいな奴の前に移動して朱羅を振り上げた。
「買O、っ…」
―ゴト…
地面に落ちた腕を見て、
「切れ味抜群じゃねぇか」
ニヤリ、と笑みを零した。
「ま、此の侭遊んでやってもいいが…早く終わらせてぇから、死んでくれよ」
そう言って心臓を一突き。
朱羅を突き刺した其の傷からは、一滴も血が垂れ落ちる事はなかった。
湊さんも、10年も忍生活引退してたって割りには、中々の腕前だった。
聨も骨を武器にする、変な野郎に圧勝していた。
【鳴門Side】
「三代目の爺とアンタって、どっちが強いんだろうな…」
「あんな老いぼれ、私の敵じゃないわ」
「じゃあ少しは楽しめる…アンタが爺より弱かったら、俺はアンタに対して興味が失せる所だったぜ」
嫌味も込めて大蛇丸にそう言うと、奴はクスクスと笑っていた。
「誰に似たのかしら…とんだ辛口だわ」
「さぁ誰に似たんだか…其れより、早くやろーぜ、殺し合い」
俺の言葉に、「そうね」と大蛇丸が返した瞬間、俺は抑えていた殺気を解放した。
「狽チ?!」
「遠慮なく、本気で行かせてもらうぜ」
右手にチャクラを集め、チャクラ刀を。
更に左手にも同じようにチャクラ刀を。
「変な武器ね…」
手に集めたチャクラを、より硬く、より鋭く、より薄く。
並の神経じゃ此のチャクラ刀を維持すんのは難しいからな。
「此れはまさに俺向きの武器なんだよ…
あんまり見くびってっと、手足持ってかれるぜ?」
左足を軸にして踏み込み大蛇丸の目の前に移動して両手を振り上げる。
「煤cくっ…?!」
一瞬、動くのが遅れた大蛇丸の左腕の二の腕から下が地面へと落ちた。
「だから言ったろ?見くびるなって…」
其の落ちた腕にチャクラ刀を刺すと、青い炎に包まれて跡形もなくなった。
そして、大蛇丸を見てみると、血が流れ出る腕を掴み、苦痛と怒りと屈辱に顔を歪ませながら、俺を睨んでる。
「甘く見てた私が悪かったわ…」
悪かったも何も、テメーは弱過ぎる…。
さっきの攻撃の時、少しだけ試す為にスピード弛めたのにコレ。
伝説の三忍の中でも天才と呼ばれた大蛇丸も、此の程度か…。
「なぁんか、面白くなくなってきた」
「何ですって…?」
「だって、さっきのを避けらんない奴は弱いって決めてるから」
そう言うと眉間の紫波が増えた。
「あんな弛めのスピードに付いてこれない奴は、俺の敵じゃねぇし」
興味なくなった…。
早く殺そ…。
そして、俺はスピードを弛める事なく、攻撃を仕掛けた。
右手、
右足、
左足、
を切り落とすと、立てなくなった大蛇丸は血まみれになって横たわっている。
「いいザマだな」
「狽チ…は、ぁ…」
其の横たわる大蛇丸を上から見下ろし、口の端を持ち上げた。
「じゃあな、大蛇丸。お前も此処でおさらばだ」
そう言ってチャクラ刀を心臓へ突き刺し、青い炎で焼き尽くした。
砂の里へと帰ってきた鳴門たちを迎えてくれたのは、我愛羅だった。
其の我愛羅に連れられ、またまた風影邸へ。
「わざわざ有り難うな」
「いや…別に…」
視線を下に落とす我愛羅を不思議に思った鳴門。
何やら思い詰めた表情の我愛羅の肩に手を置いた。
「どうした?」
「いや、何だ…其の…」
「ん?」
「其の…お前の言う、民を守れるだけの力は、俺にでも手に入るのだろうか…」
其の言葉を聞いた鳴門は笑みを零した。
「嗚呼、大丈夫」
「…鳴門…頼みがあるんだが」
「何?」
「俺を鍛えてくれないか…?」
我愛羅の問いに鳴門はゆっくりと頷いた。
同じ人柱力同士、同じ運命を背負って生きてきた。
「いいよ。でも、俺は厳しいぜ?」
此れからの運命を変えてやろう、と。
必ず、自分の存在を認めさせてやる、と。
そう心に誓った。
[ 46/55 ]
[
*prev] [
next#]
[
しおりを挟む]