下忍
授業や演習をし続けて、もうそろそろ卒業間近となった。
「もう少しの辛抱だな…」
「やっとだな…」
「下忍になれるんだよねv」
其の日を今か今かと鳴門たちは待ち望んでいた。
「上忍担任は誰だろうね?」
「其れに関して、嫌な予感しかしねぇ…」
「鳴が言う意味、分かる気がするよ(笑)」
卒業してからのスリーマンセルの事については火影にはもう伝えている。
少し脅しが入っていた、と言う事は置いておき…
此の馴染みの、鳴門、鹿丸、聨の3人でなければ嫌だと言う事を。
本人(火影)も鳴門の要望通りにしなければ、分かっている筈だ…後で痛い目にあうのは自分だと。
だから、其の通りにするしかない事を…。
「あと、4日…」
「長かったなぁ」
「でも楽しかったねv」
「「そうか…?」」
鳴門たちが要望した事と同じように、湊もまた、要望していた事は鳴門たちは知らない事。
「だから、お願いね爺っちゃんv」
「お主の昔からの夢とは言え、どやされるのがワシと知っておるのか…?(汗)」
「んもぉ爺っちゃんってば心配性だなぁv」
「(お主は知らぬのじゃよ!鳴門と言う悪魔の子を!)
取り敢えずは、そうしてやる…けどな火の粉は飛ばすんじゃないぞ…」
其れから、くだらない授業や演習を我慢しつつ、アカデミー卒業の日。
海豚からの詳しい説明を聞き、卒業試験に合格した忍者の卵たちは今から上司となる上忍を教室で待っていた。
「僕たちの先生って誰だろうね!」
ワクワクと嬉しそうに言う聨とは逆に、鳴門と鹿丸は其れが誰だか知っているかのように、元気がなかった。
「…お前も知ってる奴だよ」
「…絶対分かるって」
そんな2人に首を傾げ、聨は担任となる上忍を待った。
其れも、もう上機嫌に…。
一組、また一組と教室を去って行く同期を見送る中、鳴門たちの担任は未だ来なく何時の間にやら教室の中には鳴門と鹿丸と聨だけになっていた。
「早く来ないかなぁv」
机に両肘を付いて鼻歌を歌う聨に鳴門と鹿丸は2人して溜息。
「卵から抜け出せた事に対しては嬉しいんだがな…」
「まぁ……他よりは頼りになるからいいんじゃねぇ?」
「其れもそうだけど…さ」
鳴門の深い溜息に、鹿丸は苦笑。
こうなってしまっては仕方がない事だ。
諦めようと、思うのだが、此れが実際そうもいかない。
「…来た、な」
呟いた鳴門は急接近する気配を感じた。
そして、勢いよく開かれたドアから姿を現したのは、火影である湊だった。
「鳴くん遅れて御免ね!爺っちゃんが煩くてっ!」
湊の姿を確認した聨は、パァ、と表情を明るくした。
「パパ!…え、パパが僕たちの担任上忍…って言うか、担任火影?」
「そうだよv」
鳴門たちのチームの其の担任を務めるのは火影である湊。
猿飛元火影に湊自ら頼み、鳴門たちの上司となったのだ。
「だから言っただろ。聨も知ってる奴だって」
「あ、そうそう。此の後、直ぐ鳴くんたちには任務してもらうから!」
担任が決まり、其れが誰でありまぁよしとしよう。
其の人物が自分たちを気遣い任務を寄越してくれた事には感謝しようじゃないか。
しかし…
「ランクは?」
そう。下忍となった訳だが此れは流石に聞いておきたいのが、流れ。
鳴門としては、SやA等辺を期待していたのだが…
「もちろんDだよ?」
当たり前のように言う恍曜に肩を落とした…。
「もっとマシなの持ってこいよっ…!(泣)」
「鳴、我慢だ…(汗)」
恍曜さんはこうゆう人なんだから、と鹿丸は言った。
そんな事、鳴門自身も分かっているのだが…初っ端から此れを持ってくるとは思いもせず、予想以上にショックを受けていた。
「仕方ないか…」
「で、初めての任務は何?」
「探し物だよv」
受付の場所へ取り敢えず向かった。
其処で猿飛から依頼の、探してくれと言う物の写真を見せてもらった。
「…ゴム…?」
そう、髪を結う為のゴム。
其れをわざわざ、探せと?
鳴門の怒りは急激に上昇した。
「こんな物の為に俺らが労働作業しなきゃなんねぇ意味を説明してもらおうか…?」
受付に座る猿飛にかなりの殺気を送り言う鳴門に対し、猿飛はダラダラと汗を流しながら、口を開いた。
「わ、ワシが頼んだんじゃないぞ!みっ、湊の奴が此れを選らんだんじゃ!」
キャーやめてぇ!と叫ぶ猿飛から視線を父親へ送る鳴門…。
「…テメーか!(怒)」
「だって!鳴くんに怪我して欲しくないんだもん!」
「だもんじゃねーよ!兎に角っ!此の任務は絶対やらない」
してたまるか!と言う勢いだ。
其れを聞いた湊はズーンと沈んでいた。
「爺。此れ他に回しとけよ?」
「はいっ!(汗)」
其れから新しくやる任務は鳴門自身が決め、難易度の高いAランク任務に決定した。
「文句はない、よな?」
「ある訳ねぇよ。逆に遣り甲斐あるっての(笑)」
「楽しそうだったのに…」
鳴門が選らんだ任務。
其れは命を狙われている大名の護衛+其の団体の壊滅と言うモノ。
「物足りない気もするが初任務だからこんなもんでいいだろ」
「十分だぜ」
納得したのは鹿丸だけ。
聨はDランク任務と言うモノがしたかったらしく、ちょっとご機嫌ななめ。
湊に対しては、自分が選んだ任務を当たり前のように却下されてショックを受けていた。
「親父に聨…置いてくぜ」
「「まっ、待ってよぉ〜!(泣)」」
ゆったりと向かった所為か、問題の里に着いたのは夕方に近い時間だった。
街に入ってから取り敢えず此の街の、依頼主である大名の事を聞いてみた。
街の為に力を入れてくれて、とかなりの信頼があった。
いいお方だよ、とか。
息子の医療費を出してくれた、とか。
大抵、大名と言ったら悪人もちらほらと居るものなのだが、此の街の大名は善人らしい。
「其奴が善人でも悪人でも、取り敢えず此れは任務だからな。依頼内容以外は口を挟まない…メンドクセェし」
「嗚呼…」
其れから依頼主の家へと向かった。
「此処か」
目の前に構える豪邸。
其の前には門番が2人、鳴門たちを確認し槍を構えた。
「主ら、此処に何用か?」
「木の葉の忍者だ。依頼を受けてやってきた」
そう鳴門が言うと、槍をしまい中へ通してくれた。
「こちらへ」
家の中へ上がり案内された部屋で依頼主を待つ。
「おっきぃお家だね…」
「そうだな」
「僕たちもお家、買う?」
「任務中にそんな話すんなよな…」
聨、主に湊に対して鳴門は溜息を付いた。
そして、其の3分後に依頼主と付き人がやって来、依頼の内容の話となった。
「何故命を狙われてるんですか?」
「其れは、多分旦那様が此の街の大名だからです…」
「「…?」」
「此の街は言わば、私が納めてるようなモノ。其れを自分のモノにしようと企む奴らがいて…」
そんな有りきたりな話を何回耳にした事か。
此の依頼主に鳴門は直ぐに答えを出した。
「アジトとかは分かりますか?」
「此の街から少し外れた森の中にあります」
そう言ったのは付き人である人だった。
「…分かりました。今から其処へ向かい、片付けてきます」
「気を付けて下さい!奴らは忍者ですから!」
「大丈夫ですよ。大抵弱い者苛めする奴は弱いって相場が決まってますから」
にっこり笑って鳴門は其の付き人に言葉を発した。
「っ…其れは心強い」
そして、家の前。
「アジトにいる奴らは俺と鹿で消してくる。聨と親父は付き人をマークしてろ」
「どうして?」
「彼奴、忍者。チャクラ感じたし、付き人だって奴が普通アジトの場所なんか知らない筈だ。其れに最後の俺の言葉に微かに眉を動かした。多分、奴が親玉だろ」
「変なマネしないか見張っておくよ」
「直ぐ帰って来ますから」
「うん、気を付けてね!」
鳴門と鹿丸は教えてもらったアジトへと向かった。
アジトは然程街から遠くもなく、時間も3分とあまりかからなかった。
しかし、其れは鳴門と鹿丸にしか言えない事だが…。
「よくもまぁこんな堂々と…」
アジトと言っても、隠す事もなく洞窟のような場所。
「入って下さいって言ってるもんじゃん」
2人して溜息を付き、中へと入っていく。
中は意外にも広い空間で奥へと続いてる。
「何か呆れた」
「嗚呼…普通別れ道とかあるのにな」
歩いても歩いても真っ直ぐな一本道に、またも溜息。
暫くして鳴門たちの前に扉が表れた。
ノックをする訳でもなく、鳴門は其の扉を開いた。
すると、中では8人の男が寛いでいる姿が見られる。
「何だテメー…」
「何しに来た…」
鳴門たちを睨み付ける奴らは、寛いでいたのを止め手元に置いてあった武器を取る。
「テメーらを始末しに来たんだよ」
「お前らがか?」
「たたがガキ2人に何が…」
「グァッ…」
瞬身の術を使い鳴門はチャクラ刀を1人の男の心臓に突き刺していた。
「「狽チ?!」」
チャクラ刀を引き抜くと、其の男は血を流し、バタン、と倒れる。
「たかが何だって?」
「忍は見た目じゃねぇんだよ」
此れ程の事で驚きを見せている男たちに、鳴門と鹿丸は興味をなくした。
あんな弛い攻撃を避ける事すら出来ない男たちに、深い溜息を付く鳴門と鹿丸。
「何か、面白くねぇ」
「言える」
早く片付けよう、と2人は目を合わせ同時に頷くと、意図も簡単に其の場所に居た男たちの息を止めていった。
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