戦闘から下がらせられた忍は目の前で繰り広げられる戦いに釘付け状態だった。

「何て凄い戦いなんだ…」

「あの子達が、見えないっ…」

「どんどん…倒れて、く…」

「…」

三人の姿は、最早速過ぎて目では追付けないが敵側の忍達はバタバタと血を流し倒れてゆくのはよく分かる。

「此れなら早く終わりそうだね?」

「そうだな」

「モタモタすんなよお前ら」

「「了解!」」

残りの数を一気に叩く。
クナイを一斉に敵側へと投げ付け、腕や足へ命中させ、其の歪んだ顔を楽しみながら鳴門はトドめを刺して行く…。
久しぶりにこんな大勢の標的を相手にし、鳴門は少なからず楽しんでいる様子だった。



風の国の忍達がいる場所。
標的を全て戦闘不能にすると鳴門達は此処へと戻って来た。

手傷を負った者の応急処置は何とか終わったようで、鳴門達が持たらした勝利に喜びに感謝を称えていた。

「蒼翠様、ご苦労様でした!」

「お怪我は!?」

「有り難う!」

「君達のお陰だよ!」

と感謝の言葉が飛んで来る。

「別に大した事はないですよ」

「では、後はそちらにお任せします」

「手傷を追った者は完治して木の葉に帰って来い」

其の言葉を残し、三人は姿を消した。





木の葉へ戻り、執務室へ急いだ。
時刻は夜の11時だった。

「ご苦労様」

「嗚呼、親父は?」

此の執務室で待っているかと思ったが四代目の姿はなく…。

「家で待ってる、と言っておったぞ?」

そうか、と返事をした鳴門。

「報告書です」

「うむ。今日の任務は此れで終わりじゃ…また明日も頼むぞ」

「…嗚呼」

「では」

「おやすみお爺ちゃん!」






家へ帰る道程…鳴門は移動しながら、溜息を付いた。

「…」

帰ったら、どうなるのか…とちょっと心配だ。
あの四代目が次は 何をやらかすのか、心配で心配で…。

此れじゃあ、ちょっとどころではないか…。

「心配すんなよ。大丈夫だって」

「…はぁ…だといいけど」

何故か鹿丸には鳴門が考えていた事が筒抜けだったらしく、くすりと笑う鹿丸が羨ましかった…。

家に着くと、聯は其の侭部屋へと入って行った。

「…どうしたんだ聯の奴…」

「着替えるんだろ…俺達も着替えようぜ」

「そうだな」

「聯ー?寝たのかぁ?」

部屋の外から鹿丸の叫び声が聞こえて来ると、パタンとノートを閉じ

「起きてるよー!」

そう言って聯は部屋をドアを開けると其処には三人が勢揃いしていた。

「飲むぞ聯」

「うん!」

傍に近付き、四代目の横に座る。

「ほら」

「有り難う」

差し出された杯を取り、皆で乾杯をした。

「其れにしてもさ、皆未成年なのにお酒なんて…」

「ケチ臭せぇ事言うなよ親父」

「俺は鳴に無理矢理に飲まされて強くさせられましたが…」

「僕も同じ」

家族団欒(だんらん)、とはこうゆう事と意味するのだろうと、聯は知った。
他愛ない話で騒いで、笑って、そんな事が本当に楽しく思えた。

其れから少し経ってから、行きなり聯の頭にポンと手を置いた四代目。

「鳴くんから聞いたよ。聯くん、パパとママいないんだってね…」

其の手を、ゆっくりと動かし四代目は頭を優しく撫で始めた。

「…うん」

「じゃあ、今度からは僕が聯くんのパパになってあげる。うんとう〜んと、愛情を注いであげるから聯くんも遠慮しないで甘えていいんだよ?」

にっこりと笑って聯に其れを伝えると、

「…え…いい、の?」

躊躇がちにそう答えた。

そう願っていた筈の聯だったが、こうも急に言われてしまうと戸惑ってしまう。
もちろん其れ以上に嬉しいとは、思う。思うが…

「いいんだよ。今日から聯くんは僕の子供!だから僕の事はパパって呼んでねv
鳴くんってば照れ屋だから呼んでくれないしぃ〜…」

「誰が呼ぶかよ…」

「…鳴くんって冷たいよね…」

「何だと…?」



こんな優しい人達に囲まれて、本当 僕って幸せ者だね…。
お父さん お母さん、世の中にはこんなに優しい人が一杯いるんだよ…。

もっと早く会えてたら…

きっと、二人も……。






数時間後、其れぞれの部屋へと戻り床に着いた。
此処でも四代目は鳴門と一緒に寝たいだの一人は寂しいだのと駄々を捏(こ)ねたが、鳴門が其処は丸く押さえた(強制?脅迫?)。

セミダブルのベッドに潜り込んだ二人。

「よかったな」

「ん?」

「聯だよ聯」

「あ、嗚呼。彼奴、相当喜んだだろうな」

そう言って鳴門は鹿丸に擦り寄った。

「でもよ…湊さんが隣りの部屋に寝てるってのはちょっとヤバいな…」

はぁ…と溜息を付く鹿丸に鳴門は首を傾げた。

「…何がだよ?」

「ったく。分かってる癖に…v」

ニヤリ…と怪しい笑みを零すと鹿丸は鳴門に覆い被さるように組み敷くと額にキスを落とす。

「つーか此れしかないだろ?湊さん横で寝てっし、あんま出来なくなるからヤバいなって意味さ」

そう鹿丸が言っていると鳴門はカァア〜っと顔を赤くした。

「ちょっ、おま…//」

「しぃー…。聞こえるぜ?もしかしたら、聞き耳立ててっかもしんねーしな?」

恍曜さんなら有り得る…とくすくすと笑っている鹿丸はそっと口付けを交わし、定位置に戻った。

「大丈夫。何もしねーって」

「…お前って奴は//」

「でも、………」

誰も居ねー日は
、知らねーぞ。覚悟しとけよ?


そっと 耳に囁いた。

「狽チ!?//」

其れを聞いた鳴門は耳まで真っ赤にさせた。

「どう?覚悟は?」

「……しとくよ。…しとけばいいんだろ…//」

「…♪」

「もう寝る…おやすみ//」

「嗚呼、おやすみ」
 

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