「あ〜楽しかったv」

アカデミーが終わり、鳴門の家へと帰って来た3人。

「全然…」

「全くだ…」

「そう?」

上機嫌な聯に対して2人はかなり不満そうな顔立ち。

「もっとこう難易度が高い術とか教えて欲しいもんだ」

例えば禁術とか?等と言う鳴門に鹿丸は苦笑を零した。

「いや、其れはアカデミーでは教えてはくれねーって…」

「分かってるよそんなもん。あったらいいよなぁ…って気持ちだ気持ち」

「冗談と本気の区別が出来やしねーよ…」

鹿丸が溜息を中、鳴門は聯に近付いた。

「なぁ聯?」

「何?」

「ずっと思ってたけど、やっぱ邪魔だろ?其の髪。よし俺に任せろ!」

「狽ネ!?ちょっ切るのはやぁだぁ!」

ジタバタと暴れる聯に鳴門は溜息を付いた。

「誰も切るなんて言ってねーだろ?結うんだよ髪を」

「ぇ…何だ吃驚した…」

てっきり、バッサリと切られるかと思って冷や冷やしたが、そうじゃないと分かると聯はほっと胸を撫で下ろした。
くすくすと笑いながら、鳴門は聯の髪を束ね始めた。

「鹿、悪いけど其処の引き出しに確か櫛(くし)と紐があったと思うから取ってくれ」

「…ほら」

「サンキュー」

櫛で梳きながら髪の毛を綺麗に一本に纏め、しっかりと紐で結う。

「出来上がり!」

渡された鏡…。
自分の髪の毛がどうなっているのか、気になる聯は恐る恐る鏡を覗き込んだ。

「…」

綺麗にポニーテールにされた赤い髪の毛。
今までよりも見映えもよくて…

「…うわぁ」

ほんのりと頬を染めていた。

「此れで少しは邪魔になんねーだろ?」

「有り難う鳴くん!」

さっきからずっと上機嫌な聯。

「〜♪」

ルンルン気分でしかも鼻歌付き。
鳴門に髪の毛を結ってもらった、からだろう。
其の事が余程嬉しかったのか、鳴門達の先頭を行く聯はスキップしている。

「どうしたんだ…彼奴?」

「…?さぁ」

其の原因が解らない鳴門と鹿丸は首を傾げるしかなかった。



今日はあれだ。
正式に聯を暗部へと入隊させる為に三代目の所へ向かっている途中。
もちろん、任務はある。

執務室に入るや否や、三代目は聯を見た瞬間、

「おお…狽ィ!?」

瞳を見開き、何とも間抜けな声を出していた。

「どどど…どうして聯が此処に!?」

「いや、聯を暗部に…つか俺の部下にさせようと思って」

さらりと言う鳴門は至って冷静だった。
此の為に聯を育てたようなもので…部下が1人じゃ心細い、鹿丸が弱いと言う問題ではなく、気持ちの問題だ。

「…駄目と言ってもお主は聞いてはくれぬだろうに…」

「分かってんじゃん」

鳴門の発言は絶対と言う程強い。
此れを否定してみろ、明日がないと想像したら早いものだ。

「急に言われても困るからの…聯の暗部用の名は後日言う。其れと、刺青はどうするのじゃ…?」

「もちろん入れさせる」

「大丈夫だよお爺ちゃん。もう決めたから」

其の言葉と聯の瞳は強い意思を感じしっかりと身に沁みた。

「分かった。では刺青も後日にな…」

暗部装束を渡された聯は素早く其れに着替えた。
そして、聯には猿の面が渡された。

「…ダサ」

ボソリ…と呟いた其の言葉に三代目はゴホンっと咳をする。

「そう言うでないぞ鳴門」

すると……

「…お猿さんかぁ…」

溜息混じりに吐かれた其の言葉には、不満が満ちていた。

「僕、象さんがよかったな…」

「狽「やっ、どうやって付けんだよ其れ!?」

と、突っ込んでしまった鹿丸。

「ダサいけど仕方ねーよ…其れで我慢しろ聯」

「うん…」

溜息混じりに吐いた聯は其の面を付けた。

「今日は此れを頼むぞ?」

「…4件。少なくねーか?」

渡された巻物に書かれる内容…は兎も角、何故4件なんだ?と今度は鳴門が不満に満ちた発言をした。

「今日は聯の初任務だからの」

「…仕方ねーか」

鳴門達は任務に向かった。




何とも呆気なく終わってしまった。
相手が弱い、と言うのもあるが今日は4件だから仕方がない。

「…弱ぇ」

「私達の敵ではありませんね…」

「…うん」

聯も聯で、暗部の任務を手伝う内に大分腕を上げて来た彼にとっても雑魚同然だった。
でなければこんな発言は出来ないだろう。

「さて、帰るか」

「はい」

「帰ろうv」






「早かったの?」

「たかが4件だぞ、当たり前だ」

「そうです」

「そうだよ…」

鳴門の発言に鹿丸も聯もうんうんと相槌をしてなる。

「次からは何時も通りで頼む」

「よいのか…?」

「いいんだよ。少ないと楽しくねーし?」

「分かった」

そうゆう風に決め、鳴門達は我家へ戻って行った。

時は夜中の二時半過ぎ…何とも中途半端な時間だ。

「明日も早いし、寝るか」

「そうだね。じゃあ おやすみ!」

「嗚呼 おやすみ」

「おやすみ聯」

言葉を交わすと、其れぞれの部屋へと入っていった。



小鳥の囀りが耳に響く頃。
カーテンの隙間から差し込む眩しくて暖かい光…。
其れに気付き、聯はゆっくりと瞼を開く。

「…んぅ…あ〜あ…」

欠伸をかき、のそのそとベッドから下り聯は眠気をなくす為にシャワーを浴びる事にした。

「…鹿、起きろよ」

言いながら鳴門は部屋を出る。
そして、鹿丸も鳴門に続き、部屋から出ると…

「…鳴v」

―ガチャリ…

「狽ネなな…っ」

目の前には鳴門と鹿丸。
だけど、鹿丸が鳴門に抱き着いていて…其れを目撃してしまった聯は真っ赤に染まりピキッ…と固まってしまった。

「!?//////」

目撃された鳴門は鳴門で恥ずかしさに顔を真っ赤に染め、固まってしまった。
一方、鹿丸は寝惚けているのか全然気にもせず鳴門に抱き着いた侭。

「お早うv」

そう言って聯が見てる中、鹿丸はトドめのお早うのキス…。

「買Mャあ!!////」

あまりの驚きに鳴門は変な声が出てしまい…

「煤I?////」

其れを見てしまった聯はボンッと、更に真っ赤になってしまう。

「分かったから離れろっ!!////」

無理矢理鹿丸を引き剥がした鳴門はキッチンへ。

「冷てー…」

「…//////」

どうしたらいいか分からない聯は立ち竦んでいた。

其れから事は納まり(!?)、食事を済ませた三人はアカデミーへと向かったのだった。



「「お早う!」」

教室に入るや否や、猪と桜からの挨拶。

「嗚呼」

「お早う」

「お早うv」

返事を返し、三人は席へ。
上へ登る迄の間、同じクラスの奴等に挨拶され面倒臭いと思ってしまうが一応返事は返してやった。

「今日は何があるんだろう?」

「また、つまんねー授業だって」

「だろうな…」

そんな会話をしていると、担任である海豚が教室へとやって来た。

卒業に一番近いと言っても所詮は卵でしかない。
後何ヶ月、同じ事の繰り返し…そう考えると頭が痛い。

「つまんない話聞いてんのも眠くなるよな…」

「嗚呼…」

しかし、隣りでは…

「…v」

真面目にしかも面白そうに授業を聞いていた。

「此奴の神経が分からん…」

「全くだ…」

授業がやっと終わり、鳴門達は家へと戻る途中…。

―ピィー…

頭上を飛ぶ一匹の鳥…。

「…鳴くん、アレって」

「爺だ」

「仕方ねー…行こう」

軸を変え、三人は三代目の待つ執務室へ向かった。




バンッ…
ノックもせず、ドアが開いた。

「鳴門達か…」

もう、見らずとも分かる。
鳴門達以外でノックをせずに入って来る人はいないのだから…。

「来たよお爺ちゃんv」

「どうした爺?」

「任務か?」

と一斉に放たれた言葉に、三代目は眉を寄せた。

「お主等、一人ずつ話してはくれぬか…」

「御免なさいv」

「「悪りぃな」」

言いながら、三人はソファに腰を掛けた。

「で、何?」

そう鳴門が言うと、三代目は椅子から腰を上げた。

「聯よ、お主の暗部名が決まったぞ」

「僕の?何々v」

キラキラと瞳を輝かせ、聯は三代目を見つめた。
そして、三代目は一枚の紙を聯に渡した。

其処には、『婪孑』と書かれていた。

「…何て読むの?」

書いてある二文字の漢字は聯には難しかったらしいく、読む事が出来なかった。

「『婪孑(らんげつ)』と読む」

「婪孑?ん〜…まぁまぁかな?」

「鳴門の性格に似て来たの…聯ょ…」

はぁ…と溜息を付いた。

「で…刺青も今日の内に済ませておこうと思ってな…」

よいか?そう聯に問うと、聯はゆっくりと頷いた。

「では、行こうか聯」

「はい」

聯を連れ執務室を出て行った三代目。
残った鳴門と鹿丸…

「大丈夫か…聯の奴…」

「大丈夫だって」



聯が戻って来たのは其れから一時間後の事。
服で見えないが、腕には包帯が巻かれている。

「今後からお主は婪孑と言う名で任務をこなしてもらう、よいな?」

「はいv」

こうして、聯の暗部名が正式に決まり名簿に婪孑と言う名が加わった…。
 

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