アカデミー

 
月の光に照らされる人影…。
面を付けた人物の回りには、塊と化した肉片がゴロゴロと転がっていた。
其の人物とは、鳴門と鹿丸と聯の三人。

「今日は何人だ?」

「今日は54人だよ!」

「腕上げたな」

鳴門と鹿丸に修行を見てもらって早くも3年の月日が過ぎ去った。
鹿丸と鳴門の指導により聯は鹿丸とまではいかないが、其れなりに強くなった。
何時からか、こうしてもっと腕を上げる為に暗部の任務も手伝うようになっていた。

三代目には内緒で…と言うか水晶で見てるか見てないかは否かだが…。
言って来ないと言う事は知らない…と理解していいのだろうと鳴門達は解釈している。

「此れもニ人のお陰だよ…有り難うv」

「何て事ないさ、な?」

「はい」

「其れでよ、此奴も強くなった事だし…そろそろかな」

「『アレ』ですか」

「『アレ』って…?」






翌日…此処は執務室。
鳴門、鹿丸、聯の3人は三代目を目の前にしていた。

「やっとアカデミーに入ってくれるか…」

そう、鳴門は漸くアカデミー入学を決意したのだ。

「じゃなきゃ駄目なんだろ?仕方ねーから入ってやるよ」

「僕も入るぅ〜v」

「そうだな。聯も強くなった事だし」

「では、来週の4月から入学となるがよいかの?」

「嗚呼」

其の日、鳴門達3人のアカデミーへの入学が決まった。



そして、入学当日…。
鳴門は三代目に有無を言わせず、飛び級ではないがアカデミーの最も卒業に近いクラスへ転校、と言う形で入る事を希望した。
もちろん、其れを断る事の出来ない三代目は仕方なしに承知したのだ。

入学手続きは無事終わり、其の後直ぐに鳴門達は自分達のクラスへと向かった。

教室の中にはぞろぞろと生徒達がわんさか集まって話をしていた。

「おい聞いたか?あの天才忍者の渦巻鳴門と奈良鹿丸が入って来るってよ!しかも此のクラスに!」

「買}ジで!?」

「俺見た事ないんだよな…」

「俺も!!」

「何かさ、緊張するよな?」

「するする!」

「どんな奴なんだろ?」

と、教室の中ではもう鳴門達の噂話で持ち切りだった。
其処へ…。

ガラガラ…と扉を開けて入って来た鳴門と鹿丸と聯。

今まで騒いでいた教室が、一気に静まり返った…。

「此処だよね?」

「間違いないとは思う」

「担任は、来てねーみたいだな…」

「やっほー鹿丸!」

「久しぶりね鳴門!」

取り敢えず担任が来るまで、何処かの席に着いておこうと決めると…、目の前に現れたのは春野 桜と山中 猪だった。

「よぉ」

「久しぶり」

2人とは昔からの付き合いで仲はいい。
よって、今現在で木の葉の民や忍者の中では聯と同じに近い存在なのだ。

「しっかしアンタ達もセッコい事するわねー!」

「何が」

「火影様脅して飛び級したでしょ?」

「よく分かったな?」

「分かるわよ…アンタ達がやりそうな事ぐらい…」

「今からアカデミーに入ってたら時間掛かるだろ?基本的なもん習っても俺達には関係ねーからな」

「何かムカツクわ…其の言い方!」

久しぶりに会った4人が話に夢中になっている中、聯はと言うとキョロキョロと教室の中を見渡していた。

「あら。可愛い子ね?」

「木の葉にいたかしら?」

「此奴は聯。4年前から木の葉の住人になったんだ」

「宜しくv」

猪と桜を振り返り、聯はにっこりと笑って挨拶をした。

「「萌えぇーっ!」」

キャーキャーと騒き出してしまう始末…。

「萌えって何だ…?」

「…さぁ」

そんな2人に苦笑を漏らしていると担任教師らしい人物が入って来た。

「はい、自分の席に座るんだ」

パンパンと手を叩きながら教卓へと歩み寄る人物…。
名は海野 海豚。

「さて、皆に紹介するからこっちに来てくれ」

生徒達には優しいと評判の人だ。

「えー、今日から此のクラスで一緒に勉強する鳴門くんと鹿丸くんと聯くんだ。自己紹介しようか?」

「渦巻鳴門だ…宜しく」

「奈良鹿丸…宜しく」

「聯でーすv宜しくお願いします♪」

3人が挨拶すると、

「皆仲よくするんだぞ?」

「「はい…」」

教室の中の生徒達は頬を染めていた。

「えー、取り敢えず席に着いてくれ。丁度一番後ろの席が3つ空いてるから其処に座って」

其れから前から順に生徒達は自己紹介してゆく。

伝統伝わる旧家の子供達も揃っていた。
そんな旧家の子供達を目で追う鳴門達…。

「全然強そうなのいねーのな…大した事なさそうな奴ばっか…」

「注目術くは彼奴だ…団扇 佐助。抜け忍となった団扇 鼬の弟だ…」

「へぇ…鼬のねぇ…」

鹿丸の言った言葉に鳴門は笑みを零す。
まるで、獲物を見つけたような目付きで…

「少しは期待してもよさそうだな」

「僕より強いの?」

「いや、弱い。つか、比べるまでもねーよ」

「此処は忍者になる為の学校だからな」

生徒達の自己紹介は終わった。

「一時間目は演習場に来るんだ。手裏剣とクナイ投げをする」

そう言って海豚は教室を後にする。

「手裏剣投げ…」

聯は鳴門に修行を見てもらった時の事を思い出していた。

「酷かったな…」

「ん?何か言ったか?」

「狽ネ、何でもないよ鳴くん!」

「演習場の場所分からないでしょー?」

「私達が連れてってあげるわ!」

其の後、猪と桜に連れられ三人は演習場へ向かった。



演習場へ着いた一行。
聯の目に映るは2〜3m位であろう先に有る的。

「…僕がやった時は10m位離れてたのに…何か狡いよ…」

プゥっと頬を膨らませている聯に鳴門も鹿丸もくすくすと笑っていた。

「文句言うなって。此処はアカデミーだぞ?」

「そうそう。此処と俺達がやるもんを比べんなって」

「そりゃアンタ達は実力あるからそう言えるのよ!」

「そうよ!私なんか当てるのでいっぱいいっぱいなんだから!」

簡単に言わないで!と二人同時に発した言葉…其れを聞いた鳴門は怪しい笑みを零す。

「俺が見てやろうか?」

「「…いいの?」」

「あー…始まった…」

「止めておいた方が身の為だよ?」

経験者語る…。
聯は自分がどれだけ酷い事をされたか…分かっているからこそ言える其の言葉。

「てめ…聯!何邪魔してんだよ!!」

「駄目だよ鳴くん!女の子には優しくしなきゃ!」

「…っち」

「俺知〜らね…」

其の後、海豚が校庭に登場し一時間目の手裏剣投げの授業が始まった。

「よし!今日はテストするからな!今から30分は手裏剣投げの練習をするように。其の後の30分はテストだ!」

皆が皆手裏剣を手にし、投げ始めた。
的に届かない生徒、外れる生徒、様々なのがいる中、三人はクナイ10本と手裏剣10個を持った。

「鳴くん何するの?」

「記録更新するんだよ」

「前、聯が命中させた距離は13m28p」

演習場の端から的の長さは約15mそこら。
キョロキョロと鳴門は回りを見渡してみる。

「聯、此れ持ってあそこに行け」

持たされたのは10の手裏剣。
そして、鳴門が指指している先を見てみる。

「端っこ…?」

「あそこ一杯に下がってど真ん中に決めろ。其れが今日の30分の間の課題だ」

「鳴くん何時も言うばっかり…たまには手本を見せて?」

と、にっこり笑う聯。

「ったく…よく見とけよ」

そう言い残し、鳴門は瞬時に演習場の端へ移動した。

そして、狙いを定め クナイを投げた。

―シュッ…

其れを見ていた鹿丸と聯の前を物凄いスピードで通り過ぎ、的にガツっ!と大きな音をさせたクナイはど真ん中に命中していた。

「凄〜いv」

と、関心していると…

「おい…見たかアレ」

「スゲェ…」

「あんな遠い場所から…」

「しかもど真ん中だぜ…」

一部始終を見ていた回りがザワザワと騒がしくなった。

鳴門は其の場からまたも音もなく消え、鹿丸と聯の所へ戻って来た。

「関心してる暇はねーだろ?早く行ってやるんだ」

「はぁい…」

今度は聯の番。
渡された手裏剣を持ち、端へ。

「当たるかな…」

一度深く深呼吸をし、聯は狙いを定める。

―シュッ…

「………………?」

決して目が悪い訳ではない。
流石に15mも離れている場所にある物を見れたら其れは其れで凄い事であろう。

「当たった…かな?」

そんな事を思っていると、

「外れ…」

いきなり現れた鹿丸は其れを言うと直ぐ消えた。

「言いに来ただけ…?」

考えても仕方ない…と思い、聯は次を投げた。




「10本中、5本外れのど真ん中一本…」

「一本当たったんだ?!やったーv」

「何喜んでんだ馬鹿!」

「…え?」

「後、25分残ってんだろ。10本全部真ん中に当てるまで続くんだ早く行け!」

「狽わわ!!」

其の後、25分の間聯は15m離れた場所から手裏剣を投げ続けたのだった。

其の後のテスト、

『五本の手裏剣を投げて…』要するに的に当てろ と言うもの。
もちろん、鳴門と鹿丸と聯の3人はパーフェクトど真ん中を決めて合格した。
 

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