修行

 
聯が木の葉に来て初日目。
鳴門は三代目に呼ばれ、執務室に来ていた。

「そろそろ、鳴門もアカデミーへ入ったらどうじゃ?」

「一々アカデミーに入らずに、上忍の飛び級とか出来ねーのか?」

鳴門の実力があれば上忍試験等たやすい事だろう。
アカデミーは単なるお遊びでしかないと思っている鳴門はアカデミーに入りたくないと言った方が正しいのだ。

「其れが出来たらアカデミーへは行かせず試験を受けさすわい」

出来ぬからこうお主に言っておるのじゃ…、と溜息混じりに三代目は呟いた。

「だよな。ま、いずれ入る時が来るさ…今はまだ、其の気はねーから。あ、ところで聯の事だけど、大丈夫だよな?」

「大丈夫じゃ。で、其の聯はどうしておる?」

「嗚呼、聯なら今鹿と一緒に修行してる」

「拍C行じゃとぉ?!」



此処はとある海辺。
鹿丸は聯を連れ、広々とした此の海辺へとやって来ていた。

鳴門から頼まれた。

『聯を忍者にするから、修行を見てやってくれ』

其の鳴門は今、三代目の所に行っていて…、

『俺も終わり次第、そっちに行くから、な?』

鳴門の頼みを誰が断れるだろうか…。
鹿丸は其の申し出を受け、今聯を連れて来たのだった。

「忍術とかの経験は?」

「まぁ〜ったくありませ〜ん!」

はいはーい!と元気な子供のように手を上げる聯に鹿丸は

「威張るなって…」

溜息を付いた。

「チャクラは知ってるだろ?」

「ううん…何其れ?」

本気で分からない様だ。
キョトンとし聯は首を傾げている。
其れを聞いた鹿丸は、頭を抱えた。
此は大変そうだ、と。

「チャクラっつーのはだな解りやすく言うと、術のエネルギー源だ。
忍の体の精神・身体エネルギー、合わせてスタミナと呼ばれ、此れを体内で術発動源のチャクラに変換する」

「鹿く〜ん…難しくて分かんないよ〜!(泣)」

「あのなぁ…。スタミナって分かるか聯?」

「ん〜…何となく。絵書いて説明してくれたら多分、もっと解り易いかも…」

聯の反応を見た鹿丸は、仕方なく砂浜に人体を書き始めた。

「此れは俺だと思え」

「うんうん」

「術を出す時、精神・身体エネルギーの此の二つを混ぜる、つまりはチャクラを練るって事だ。
そして、其の練ったチャクラに印を結んで始めて術が発動する」

解りやすい様に詳しく説明する鹿丸を聯は熱心…?に聞いていた。

「印って、何?」

「印って言うのは、練り上げたチャクラを術に変換する為の重要な過程だ。
先ずはお前が自分の精神・身体エネルギー、チャクラを練る事からやって貰う。
其れが第一の試練だ」

「はぁ〜い!」

言い終わると、聯は自分成りにチャクラを練ってみる。

「ん゛〜…ん゛〜」



五分後…

「ん゛〜…」



10分後…。

「ん゛〜っ…」

「…」



15分後…。

「う゛〜鹿く〜ん…」

ウルウルと潤んだ瞳を鹿丸に向ける聯。
どうやら、中々チャクラと言う物を引き出せない為、助けを求めているようだ…。

「…ったく」

はぁ、と鹿丸は溜息を付いた。

「いいか聯。チャクラってのは元は精神エネルギーを使うんだ、気を張り過ぎたり、やっきに成ったら駄目なんだよ。
精神が乱れねー様に気楽にやれ」

ポン、と頭に手を乗せる鹿丸。

「気楽?」

「お、やってんな」

其処へ鳴門がやって来た。
鳴門の姿を確認した聯は次第にパァ〜ッと表情を明るくさせた。

「鳴君〜!」

鳴門が来た事に聯は嬉しさを隠しきれずに、キャッキャッvと近付いて来た鳴門に自ら抱き着いた。

「どうだ?修行は」

「うん。あのね、鹿君の説明はちょっと難しいけど頑張ってるよ!」

「そうか」

にっこりと笑う聯の頭を撫でていると、二人の傍へ鹿丸がやって来る。

「おぃ!」

「狽たッ!」

鳴門に抱き着いた聯の頭に鹿丸は軽く拳骨を食らわしたのだった。

「鳴君〜…鹿君が苛めたぁ〜っ!!(泣)」

うわぁ〜んと軽く泣き出し、鳴門に助けを求めた聯。
そんな聯を鳴門は苦笑混じりの笑いを漏らしながら、聯の頭を撫でた。

「よしよし」

「抱き着いてねーで早くやれ!」

「う゛〜…」

鳴門から離れ、第一の修行内容であるチャクラを練り始めた。

「何処まで進んだ?」

「まだチャクラ練り」

「狽ヘぁ?!まだそんな所かよ!」

「何も知らねー聯にずっと説明してたんだよ。此の俺が絵なんか書いちまったくらいだ…」

「ん〜、こりゃ大変かもな…」



其れから一時間後、漸(ようや)くチャクラは練れるようになった聯。

「一時間か…」

「意外に見込みはありそうだぞ?鹿」

「見込み、はな?」

一方、第一の試練をクリアした聯はと言うと…、

「此れが…チャクラなんだ!」

何だか楽しそうであった。

「次、先ず術を出してみようか聯」

そして、鳴門は変化の術の印を聯に教えた。

「鹿に化けてみろ」

「うん」

鳴門に教えて貰った印を結び…、

「変化!」

鹿丸へと変化した聯。
其の変化した聯を見、二人は…、

「…何だ此れは」

「前言撤回だ…」

頭を抱えた。

「どう?」

自分の姿が見れない聯は何故か楽しそう。

「もう一回やり直し」

「ええ〜…」

「其れ俺じゃねーって…」



其れから数時間に渡り、聯の修行は続けられた。

「も…動けないょ…」

ペタン、と尻餅を付き聯は地面へ座り込んだ。

「情けねーなぁ…」

「今日は此処までか」

鹿丸は聯をおぶり、鳴門の家へと連れ帰ったのだった。



家に着き 中へ入ると、動けない聯をソファ迄連れて行き、其処へ横にさせた。

―ギュルル〜…

「…鳴くん。お腹空いたぁ…」

「今から作るからちょっと待てって、鹿も一緒に食ってけよ?」

言いながら鳴門はキッチンへと立つ。

「あ。俺さ聯が正面になるまで鳴ん家に居候すっから宜しく」

「別にいいけど、親に言わなくて良いのか?」

「大丈夫だよ。
俺が帰って来ない時は鳴ん家だからって前に言ってあるし?」

鹿丸の言葉に、そうか…と返事をし鳴門は夕飯の支度を始めた。

「聯、鳴の手料理は絶品だぜ?」

「本当に?うわぁ〜楽しみv」



「出来上がり」

お皿に綺麗に盛られた料理をテーブルの上に並べてゆく。

「悪りぃ、材料が少なくてよ」

「美味しそうv」

「食べよう」

いただきます、と手を合わせると3人は箸で料理を突つき始めた。

「聯、明日は買い物に行くぞ」

「うん!行く!!」

「鹿も付いて来んだぞ?」

「分かってるよ」

食事を済ませ、食器等を片付け終わると…。
鳴門と鹿丸の晩酌が始まったのだった。

「此れは何?お水?」

「違う。酒だよ」

お猪口(ちょこ)に入れられた酒を聯に見せてやる。

「お酒って、大人になってからじゃ駄目なんだよ?」

「ケチ臭せぇ事言うなって。聯も飲んでみっか?」

そう言って鹿丸はお猪口に酒を入れ、其れを聯に渡した。

「僕飲んだ事ないよ…?」

「まぁ、此の年で飲んだ事ないってのが当たり前だろうケド…」

「大丈夫だって!美味いぜ?」

そう言われてしまうと、つい飲んでみたくなる。
聯は其れをぐいっと一気に飲み干した。

「ん〜…変な味…」

其の一杯で聯の頬はほんのりと染まっていた。
まだ早かったな…、と心の中で呟き鳴門は聯からお猪口を取り上げる。

「此れもまた明日だな。お前はもう寝ろ」

「うん…」

鹿丸と2人で聯を抱え、寝室まで運んでやる。

ベッドへと横にさせ、布団を被せた。

「鳴君…達は、寝ないの?」

「俺達今から任務に行って来る」

「1人で大丈夫か?」

そう言いながら鳴門は聯の頭を優しく撫でてやった。

「お仕事…?僕な…ら…大丈…」

言い終わる前に聯は寝息を立てていた。

「聯って、何か弟みたいで可愛いな」

「嗚呼」

くすり、と笑いを残し2人は音もなく姿を消した。



鳴門達が帰って来たのは朝方の4時だった。

まだ寝てるだろう、聯を起こさず押し入れから毛布を取り出した。

「今日は此処で、だな」

「仕方ねーな」

ソファに寄り添うように腰を下ろし、毛布を掛ける。

「おやすみ」

「…おやすみ」








「あ〜っ、よく寝た…」

ん〜…と背伸びをしている鳴門。時は朝の8時。

「聯、何時まで寝てんだ?早く起きろ!」

そう呼び掛けると、ガチャリ…とドアが開き寝室から聯が出て来た。

「お…お早ぅ…//」

「どうした?顔赤いぞ?熱か…?」

ほんのりと染まった頬…。
鹿丸は聯の額に手を添えてみる。

「熱はないようだな…」

「大丈夫だよ…//」

聯は1度、目が覚めてリビングで見た2人の光景に恥ずかしくて仕方がなかったのだ。

「そう、か?」

其れから朝食を食べ終えた頃にはもう9時を回っていた。

「さて、買い物に行こうか」

「わぁいvお買い物お買い物ぉ〜♪」

食器等の片付けも終わり、3人は其の侭街へと向かったのだった。

「先ずは、此処から」

3人が先に訪れたのは家具屋だった。
店内に入るや否や、店の品を見定める。

「これはこれは鳴門様。いらっしゃいませ」

店内に入って来た鳴門達を迎えたのは店の店長だった。

「何かお探しですか?」

「一人用一式が欲しいんだよ」

「一式ですか…?」

「此奴のな?」

そう言って鳴門は聯を指指した。

「よし。此れと此れと此れと此れ…後、此れと此れを頼む」

食器や椅子やベッド等を次々と指指してゆく鳴門。

「あ、其れから此のセミダブルのベッドも」

「有り難う御座います」

言われた品を紙に書き留めていく。

「おぃ、そんなに買って平気かよ…?」

「大丈夫だよ。全部爺に請求書回すし?」

「…は?」

「普通そうだろ?
つか、聯は木の葉の住民になったんだ、其れを許可したのは爺だし?此奴の家具全般、服とか爺が出して当たり前とは思うが?」

そう言われて、皆が否定出来ないだろう。
此処は取敢えず、頷いておかないと…。そう思った鹿丸はうん…と頷いた。

「何時の様に火影様に請求書を回しておけば宜しいですよね?」

「嗚呼」

「(何時もの様にって…此れだけは三代目が可哀想だ…)」

「荷物は俺ん家に配達しててくれ」

「畏まりました」

第一件目、家具屋での買い物は終了した。

「次行くぞ」

「はぁ〜いv」

「…大層な額になりそうだ」

次に向かった先は、洋服屋だった。

「聯、好きなの買っていいぞ?」

「本当?じゃね…」

10分後、レジに置かれた其れは山盛りになっていた。

「お支払いは火影様に請求しても宜しかったですよね?」

「嗚呼。此れは俺ん家に配達しててくれ」

「(剥沛でもかぁー!?)」

「分かりました」

さてさて、次に向かった先は?

「…此処は?」

忍者における色んな物が売ってある店だった。

「聯を忍者にする為の必要不可欠な店だろ?」

3人は店の中へと入る。

「あら、鳴門くんいらっしゃい!」

女の店員が迎えてくれた。

「全ての忍術書を…後、例のアレは手に入ったか?」
 

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