僕の住んでた里は、黒い髪の毛に黒い瞳の人達…其れが当たり前だったの。
僕のお母さんもお父さんも黒い髪の毛に黒い瞳だったんだ。

お母さんとお父さんの間に、僕が生まれた…。

赤ちゃんの時、髪の毛は全然生えてなくて…皆は当然子供が出来た事を祝ってくれたんだ。

『おめでとう』って。

だけど、僕が成長する度に僕の髪の毛は伸びて来て、其の髪の毛の色は血みたいな真っ赤な赤い色だった。

「ほら、飯だ」

其れを見た里の皆は、悪魔の子供だとか呪られた子供だとか言って…僕はもちろんお母さんもお父さんも、牢屋の中に閉じ込められてしまったの。

目が開くと、瞳の色は血よりももっと濃い赤茶色だった…。

物心付いた時にはもう、僕のお母さんとお父さんは悪魔を生み出した化け物と言われて、里の民達に殺された。
其れは僕が四歳の時だった。
お母さんとお父さんが生きてた頃は、ずっと日を数えてたから…分かったけど、二人が死んでからは日なんて数えてない…。
悲しい方が大きかったから…。

「やっと…此の里も平和になる」

次は僕の番。
明日、僕は処刑されるんだ…。

別にいいよ。
生きてたって楽しくないし、殺された方が、天国で待ってるお母さんとお父さんと…幸せに暮せるから。

「お母さん…お父さん…」

もう、思い残す事はない。
だって、明日からはお母さんとお父さんと一緒になるんだから…。

















ザァアアー…

僕が目覚めたら雨が降ってた。

雨が降ってる日に、僕は死ぬのか…。
そう言えば、お母さん雨の日が大好きだったな。

「…もう少しでそっちに行けるよ」

嬉しかった。
人間として見てくれなかった人達から、今日でお別れなんだ…、そう思うと嬉しかった…。
嬉しくて、仕方なかった…。



可笑しいな…?
迎えに来る筈なのに…全然迎えにこない…よ?

「早く来てよ…」

早く、僕を殺してよ…。
膝を抱えて僕は俯いた。

「お…母さん…っ!」

「まだ生き残りがいたとはな…」

「メンド臭せぇ場所に…お前、何かしたのかよ?」

声がする。
顔を上げると、金色の髪の毛に蒼い瞳の人と黒色の髪の毛に黒い瞳の人。
大きいお兄ちゃん達だった。

「お…兄ちゃん達、誰?何しに来たの…?」

違う里の人だよね…。
此の里に、金色の髪の毛の人はいないから。

「任務だ」

金色の髪の毛のお兄ちゃんは無表情に僕を見つめて居た。

「そう、なんだ…」

「お前は何故 此処に入ってる?」

黒い髪の毛のお兄ちゃんは僕にそう言って来た。

「僕は、今から殺されるの。化け物だから…」

そう、僕は化け物だからね嫌われてるから…。

「ほら僕、髪の毛と目の色赤いでしょ?此の里の人達はね、悪魔の子供とか呪いだとか言って…お母さんとお父さんと僕を此の牢屋に閉じ込めたの」

僕はどうなるんだろう。

「里の民なら、なない。全員、俺達が殺った」

殺しちゃったのか…。
どうしよう…僕を殺してくれる人がいなくなっちゃった…。

あ、そうだ。
此のお兄ちゃん達に頼めばいい…うん、そうしよう。

「お兄ちゃん達、僕を殺して?僕にはもう、生きてる意味がないし、僕が死んでも…悲しんでくれる人もいないから…」

そう、僕なんか死んでも…誰も悲しいなんて思わないしね…。

「お願い…」

そう僕が言うと、金色の髪の毛のお兄ちゃんは牢屋の柵を刀で切り落とした。

「出ろ…」

言われた通りに僕は牢屋から出て、お兄ちゃん達の前で止まった。
そしたら、牢屋から出た僕のボサボサした汚い腰まで在る髪の毛を見つめて、金色の髪の毛のお兄ちゃんは僕の頭を撫でたんだ…。

「俺は、此の色好きだぜ?」

「…ぇ…?」

「血みたいで、綺麗じゃねーか?其の目も…」

「嗚呼、俺も嫌いじゃねー」

お兄ちゃん達…。

「……ぅ…っ」

「おい?!」

「…泣かした」

「俺かよっ!?」

嬉しかった…。
此の髪の毛の色を好きだって言われたの、初めてだから…。

「有り…難っ…ぉ兄…ちゃ…」

金色の髪のお兄ちゃんの袖を掴んで、僕は泣いた…。











何年振りだろう…外に出たのは。

「眩しい…」

ずっと牢屋で過ごしてたから…、雨が降って空が曇ってても…眩しいよ。

「お前、母親と父親は?」

「いない…。もう大分前に殺された…」

「そうか…」

僕、此れからどうすればいいの…?
お母さんもお父さんもいない…。

「お兄ちゃん達、帰っちゃうの…?」

「嗚呼」

また、一人ぼっちになっちゃうの…?
悲しくなって来て、僕は俯いた。

「一緒に…来るか?」

「え…?」

僕は吃驚して俯いていた顔を上げた。
そしたら二人のお兄ちゃん達は笑ってた。

「行く所ないんだろ?」

「俺達の里の民達は此の里とは違う」

「いいの…?」

「行くか行かないかは、お前が決めるんだ」

本当に嬉しかった。
何年振りにこんな笑顔を人に見せるんだろうね…僕。

「行く!!付いて行く!!」

走った。
走って二人の所に行った。

「里に帰ったら先ずは風呂だな」

黒い髪の毛のお兄ちゃんが、僕の前に片膝を付いた。

「乗れよ」

「…うん」

そう僕が返事をして、黒い髪の毛のお兄ちゃんに、おんぶしてもらう。

「しっかり掴まってろよ?」

「少し飛ばすから」

そう言ってお兄ちゃん達は走り出した。


























お兄ちゃん達が走ってる時、あんまり早いから僕の目には、景色がスローモーションの様に見えたんだ。
綺麗だった…。
景色の中に降ってた雨がストライプ模様に見えて…。

僕は、黒い髪の毛のお兄ちゃんの服をギュウって、強く握り締めた。

「怖いか?」

「ううん…」

「そうか」









お兄ちゃん達は、有名な木の葉の里の忍者だった。

偉そうなお爺ちゃんのいる『執務室』に僕は連れて来られた僕。

「任務終わったぞ」

「おぉ、ご苦労様…?!」

お爺ちゃんは僕を見るなり、近付いて来た。

「どうしたんじゃ?!汚れておるではないか!!風呂に入れてやれねば!!」

そう言って其のお爺ちゃんは僕を抱き上げて、お風呂場に行こうとすると…

「おい爺…」

「其奴を離せ…」

ガシッて其のお爺ちゃんは二人のお兄ちゃん達に肩を掴まれた。

「な…何じゃ?」

「其奴は女だぞ?」

え…?お…女?

「風呂に入れてやるなら、桜と猪にさせる」

ちょっ、ちょっと!!

「待ってお兄ちゃん!!僕男の子だよ?」

「「…狽ヲ!?」」











あの後、金色の髪の毛のお兄ちゃんの家でお風呂に入れて貰った。

「さっぱりしたか?」

「うん!!有難う…えっと…」

名前が分からないと分かったのか、お兄ちゃんはくすって笑った。

「俺は鳴門、渦巻 鳴門だ。
さっきいた黒髪の奴は奈良 鹿丸」

お前は?って、聞かれた。
どうしよう…。

「僕…名前、分からない…」

「分からない?自分の名前だぞ?」

「忘れちゃったの…」

顔を曇らせた僕に鳴門お兄ちゃんは、考え始めたの。

「ん〜……………」

「お兄ちゃん…?」

「よし、今日からお前の名前は聯(れん)だ」

「れ…ん…?//」

「嗚呼。そして、今日からみっちり俺と鹿がお前に忍術を教えてやる」

「…うんv」










僕は不思議な気持ちで一杯だった…。

鳴門お兄ちゃんは何でそんなにも僕に優しくしてくれるの?

付いて来てもいいって言ってくれたし…

お風呂にも入れて貰ったし…

僕の名前まで考えて、付けてくれて…。

「聯、お前いくつだ?」

え…いくつだっけ…?

「何歳だろ…?えっとね、お母さんが死んだ年に僕は4歳だったんだけど、其の時里の人達が四代目が亡くなってもう4年か…とか言ってたよ?」

「…じゃ、俺と同い年だな?」

一瞬、鳴門お兄ちゃんの顔が曇ったような気がした…。
気の所為だったのかな…?

「…鳴門お兄ちゃんは何歳?」

「俺は7つ」

じゃあ僕も7つって事か…。

「狽ヲ?!お兄ちゃん7歳なの?!」

「あ。変化した侭だったな…」

変化を解いた金色の髪の毛のお兄ちゃんは、僕より少し背の高い7歳の体になった。

「だから其のお兄ちゃんは止めろ」

「何て言ったらいいの?」

「好きに呼べばいい」

そんな事言われても…。
鳴門君…違う。

「じゃあ、鳴君v」










「其の髪、切らないのか?」

う〜、やっぱり長いかな…?
でも…。

「切らない!!」

いいんだ此の髪の毛、僕好きだから。










まだ雨は降り止まない。

お母さん、僕此の鳴君ともう一人の人に付いて行くよ!

僕の髪の毛と目の色を、初めて好きって言ってくれた人だから…。

其れで、お母さんとお父さんの分も生きて行く。

そっちに行けなくて御免ね…?

だって、『生きよう』って思ったから。

今日から始まりなの。

僕の新しい、『始まり』。

お母さんの好きだった…、
『雨』の日から。













 

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