【鳴門Side...】





中々楽しめたし、文句なし。

瞬身の術で爺の所迄戻ると拍手で迎えられた。

「良い戦いじゃった」

「お疲れ様です」

「…サンキュー」

チラリ、と大蛇丸を見てみると笠で顔の表情は良く見えないが 驚いて言葉も出ねーか?

「……」

黙った侭 ステージを見つめて居た…。

「次は砂同士の試合じゃな」

両者 手毬と我愛羅が下のステージへ降りたった。










『動く瞬間の合図が在る』

『私が扇を大きく振り翳(かざ)した時に、奴等は動き出す…』

何時手毬が振り翳すかが問題だ。

「準決勝 第二試合。

手毬 対 我愛羅

始めっ!!」

試合が始まった瞬間…

手毬が扇を大きく振り翳した…其の瞬間…

― フワァッ… ―

と会場全体に白い羽が舞い降りて来て…

「(幻術か…解っ)」

バタン バタンと次々と倒れて行く人…。

会場内に居た上忍達はどうやら幻術返しに成功したようだ。

「(案山子、雑魚は頼んだぞ)」

「(了解!)」

音隠れの忍が会場に充満し

風影扮した大蛇丸は爺の首に腕を巻き、クナイを喉に押し付けた。

「…」
そして、其の場所から爺と一緒に姿を消した。

「行くぞ鼬…」

「御意」

俺も大蛇丸の後を追う。










― スタッ ―


着いた場所は屋根の上。
大蛇丸の部下で在ろう四人衆が丁寧に結界迄張ってくれちゃってる…

「四紫炎陣(ししえんじん)か…」

「崩しましょうか?」

「まぁ待てよ」

ズラリと俺達の前に並んだ雑魚が約三十人位…音忍の奴等だ。

「此奴等はお前に任す」

「はっ」

スタスタと四紫炎陣の結界の角に歩み寄ると蜘蛛みたいな何本も手が生えてる奴が俺の存在に気付き、結界内でニヤリと笑った。

「此の結界は破られんぜよ」

エラく自信が在るみてーだな。

「火影様っ!」

木の葉の忍が結界へと近付き…

「無駄な事を…」

体当たりした瞬間、其奴の体は瞬く間に炎に包まれた。

「グァッ…!!」

「くっ…結界か…!」

「…ふ〜ん」

まぁ自信在るって言っても、俺の前じゃ全然無意味なんだけどね…。

「今から面白いの見せてやるよ」

そう言って俺は印を結び始めた。
印を組むのに十秒も時間を費やし、印を結び終わり…

「…無幻滅(むげんめつ)」

そう言ってそっと結界に触れる…。










ピキ…





「秤スっ!?」





ピキ…ピキピキピキピキピキ…










結界に罅(ひび)が入り、バリィン…と大きな音を立て崩れ落ちた…。

「…破られた…」

「無幻滅。結界術の全てを無にする術…俺の前じゃどんな結界張ろうが無意味だ」

蜘蛛の奴の所へ結界を張って居た残り三人が集まって来た。

そして、鼬も俺の所に。

「蒼翠様、片付け終わりました」

「…そうか」

其奴等を見てみると男三人に 女一人。

「…」

「結界破られるなんてな…」

「結界破られた位でビビってんじゃねーよタコ!」

「女が汚い言葉使いを使うなよ」

「うっせーよデブ!」

そして…

「…鳴門…」

鹿丸…。

「火影様助けに行けよ」

「此処は私と彼で片付けます」

「じゃあ任す」

鼬と鹿丸相手に、無謀な戦いとは思うがな。










爺の所に着くと、其処は戦闘が既に始まって居た。

「…やってんな」

爺の前に素早く瞬身の術で移動し…


キィインッ…


「薄ツ門!?」

大蛇丸が草薙の剣を爺に振り翳した其れをチャクラ刀で受け止めた。

「邪魔しないでくれるかしら 鳴門くん」

「そんな事言うなって。俺と遊ぼうぜ大蛇丸…爺も年なんだし、少しは労ってやれよ」

「…前にも言ってたわね。
私は貴方の遊び相手にしかならないとでも言うの…?」

剣を持つ手に力が入ってるのか、カタカタと震えてる。

「其れ以外の何が在るって言うんだよ。テメーには十分過ぎる役割だろ?」

「何ですって…?」

眉間に紫波を寄せ、大蛇丸は殺気を込めて俺を睨んできた。

「其の程度じゃ俺はビビらねーっつーの。
弱い奴の相手してやるんだから、有り難く思って欲しいね」

【鹿丸Side…】

鳴門が火影様の所へ行ってから、並ぶ4人を目の前に俺は朱羅時雨を握り締め、一緒に残った人に話し掛けた。

「何処の誰だか知らないが…」

「お前、『翔赫』と言う名だな?」

秤スでっ、其の名前…。

「其の妖刀を見れば直ぐ分かる」

流石だな…。
此の人って鳴門の傍に居た奴だろ…

「…其れ…」

鳴門に一番近い、人が…。

「あの方は既にお気付きだ」

「狽チ!?」
鳴門が………。

此の妖刀って、そうだよな…俺のトレードマークみたいなもんだし…。

「参ったな…」

鳴門には最初からバレてたんだ。
此の朱羅時雨出した時から、もう…。

そっか……。

「無駄な話をする前に此奴等を始末する事が優先だ」

そうだ。
其の後でも遅くはないし。

「悪いが女は任せた。俺は蜘蛛とデカを殺る」

「分かった」

そう言うと互いに敵へと向かって行った。





そして、

「つか何だよ…もう1人は見てるだけ?」

朱羅時雨を片手に、2人を前にするがデカい奴は腕組んで見てるだけだった。

「テメーなんか1人で十分ぜよ」

何、俺ってそんなに弱そうに見えるってのか?

エラく余裕だな。

「じゃあ、お前の後に彼奴を殺せば良いんだな」

そう言って俺は蜘蛛に斬り掛かる。
だが、何やら特殊な能力があるみたいで朱羅時雨でも傷1つ付けやしない。

…めんどくせぇな。

一旦、距離を取り

「仕方ねー…」

そう呟き、俺は朱羅時雨の刃の部分に自分の掌を宛て、ザクリ…と切る。

流れ出る血は刃を伝い、朱羅時雨は俺の血を吸い込んでいった。

「狽チ…刀が、血。吸い込んで…る!?」

「此れで準備完了っと…」

「っ、何度やっても同じぜよ!!」

「其れはどうかな」

くすり、と笑って俺はまた蜘蛛に斬り掛かる。












― ブシュッ ―












「…ぅ゛っ…!?」

2 3歩、後ろによろめく蜘蛛。

「お前の体がどんなに堅かろうか、朱羅の敵じゃねーよ」

まぁ、鳴門のあのチャクラの刀より斬れ味悪いとは思うけど。

「くっ…忍術か…!?」

「其れは違うな」

此奴はちょっと勘違いしてる。

「此奴はな、忍犬や口寄せする生き物と同じなんだよ。此奴との契約は全て、血だ。

血を与えれば、力を発揮してくれる。
与えなきゃ、只の錆びてく古い刀…。
此奴を生かすも殺すも持ち主次第って訳。

朱羅と出会った時、スッゲェ血に飢えてるうえに錆びかかってて、切れ味はまだ完全じゃねーんだよ。
だからさっき血を此奴に与えた事で斬れなかテメーを斬れたって事だ。

でもよ、此奴、まだ血に飢えてんだよ…だからさ、テメーの血を朱羅に与えてやってくれよ」

未だ血が流れ出るさっき斬った傷痕に朱羅時雨を宛てると、ゴクゴクと飲む朱羅に此奴は只、呆然としていた。

「…ほら。お前も聞こえるだろ、此奴の声…」

そう言って朱羅時雨を蜘蛛に向けた。

「……?」


…足りぬ……
…全然…足りぬっ…
血が…血が欲しい…
…もっと…
もっとワシに血を与えろォ…


「…喋った…」

幻術なんか掛けてない。
元から此奴は喋れるんだ。
俺も最初はビビったけど。

しかし、此奴もシケた演技するもんだ…。
普通に喋れば良いのに…。
まぁ、良いやノッテやるよ。

「血に飢えた朱羅可哀想だろ…だから、お前の血を此奴に与えてやってくれねー?」

ニヤリッと笑った俺は其奴の心臓を一突き。

「…ゃっ…や、めろっ…早…く…刀をぬ……け……っ…あ…あっ………ぁ…」

ゴクゴク…ゴクゴクとリアルに血を飲む音が聞こえる。

「そんなに美味いか此奴の血は」


不味いわ……


「其の割りに飲みっぷりが良いじゃねーか」

腹が減っては戦は出来ぬと言うだろ……
仕方なく飲んでいるだけだ…


「そうですか。つか、次行くぜ?」


次は美味い血だろうな…?


「俺が知るかよっ」


生意気な餓鬼だ……


「聞き飽きたって。つーかちゃんと血やってんだから文句言うなよな」


美味い血を与えろと、何時もい……

「分ぁったから次行くぜ!」


流しおったな……


蜘蛛から朱羅時雨を抜き、次はデカいデブ。

「鬼童丸はやられたか…」

其奴を目の前にして、俺は眉間に紫波を寄せた。

「アンタ、随分と余裕かましてんじゃん…」

「彼奴が弱いだけだ」

「そう…」

じゃあ、テメーも弱いって理解しても良いんだな。

瞬時に其奴の後ろに回り、朱羅を突き刺した。

「煤cっ!?」

「さっき迄の威勢は何処いったんだよ?」

突き刺した此の朱羅時雨、また勢い良く血を飲むんだよ…。

お前は一体いくら飲んだら気が済むんだよ、って思わず突っ込みたくなる。

「どう?朱羅」


不味い…


「また文句かよ…」


何処かに美味い血を持つ物はおらぬのか…?


「だから俺が知るかっての!」


主の血はまぁ、不味くはないぞ……


「誉めてんだか貶してんだか分かんねーよ」












鳴門に一番近い人の所に向かうと、其処はもう終わっていた。

「火影様の所に行くんだろ?」

俺はどっちって言うと、鳴門の戦いを見に行くだけだけど…。

「行かない。が、行っても手出しはするな」

「…………?」

「あの方は邪魔されるのを嫌う」

機嫌が悪くなるって事ね…。
まぁ最初から手ぇ出すなんて考えてもいねーし。

此の人は行かないんだ。

「あ〜、そう。でも、取り敢えず俺は行くぜ」

そう言って俺は鳴門の所へと向かった。











【案山子Side…】

会場にいる観客、忍以外は深い眠りに陥ってる。

目の前にズラリと並んだ敵さん達。

「かなりの数だな…」

「其れだけじゃない、もっと最悪な事態だ。
中央の物見やぐらの上を見ろ」

「!」

火影様と鳴門たちが居た棟の屋根に目を向けると

「あれは結界忍術…!」

どデカい結界を貼っていた。

「案山子、結界内を良く見てみろ!」

「!……大蛇丸!!」

なぁんちゃって。
まぁ前々から知ってたから、そう驚いたりはしないんだな此れが。

「!」

桜に近寄く音忍2人の頭をクナイを突き刺して、思いっきり振り払った。

そして、桜を見てみると傷はないみたい。
ふぅ…大丈夫だね。

「桜、佐助…其の侭伏せといてね。少し敵を減らすから」

「一体何々だ…此れは…」

そっか。
極一部しか知らなかったんだったよね此の木の葉潰しは…。

「考えててもしょうがないでしょ?目の前の敵をやっつける事が先だ」

言い乍も敵を蹴散らしていく俺とガイ。

「ちくしょう…火影様が気になるが…」

「上は暗部に任せろ。其れに…火影様はそうやすやすと殺られるような人じゃない…
なんたってあの人は、木の葉隠れの里の火影だからな…」

チラリ、と中央の棟を見ると金色の髪をなびかせている鳴門が見えた。

此れで安心して敵さんを殺れるって訳だ。

そう思っていると、其の中央の棟にも音忍が…。
鳴門の横には鼬の姿、そして…鹿丸くんも。
「ガイ、俺達も負けずに頑張ろうじゃないの」

鳴門も鼬も鹿丸くんもいる。
本当に安心。

此れで火影様は、大丈夫。

「ぉ、おう!」












其れから、中央の棟をチラチラと気にしつつ、観客がいる所の敵は蹴散らした。

ガイに桜と佐助を頼み、俺は下に居る我愛羅くんと手毬ちゃんの元にやって来たら、其処も戦闘中だった。

「砂漠柩…砂漠送葬」

グシャッ 

血で染まった砂と飛び散ったのは原形がない肉片。

うわぁ…容赦ないなぁ。
 

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