10
「アンタ…」
「確か、鳴門の所の…」
「上は片付いたから見に来たんだけど…2人は加勢しなくて良いの?」
見た所、我愛羅1人で片付けてるんだけど…。
「其れが…」
「今日は何時になく我愛羅やる気で…手を出すなって言われてな」
ははっ、手を出すなって鳴門以外で聞いたの初めてかも…(苦笑)
「此処は大丈夫そうだね…心残しは、鳴門かな…」
気になる中央の棟。
其処を見上げると、丁度結界が崩れていく所だった。
「…俺が気にしたって、相手は鳴門だもんね」
一瞬でも疑った自分が情けなくなってきた。
あんなに強い鳴門だもんね…。
「きっと、大丈夫…」
「当たり前じゃん」
「必ずやってくれるさ…鳴門だから」
一緒に見上げる手毬ちゃんの顔は、笑っていた。
【鳴門Side…】
「此のアタシが…遊び相手って聞き捨てならないわね!」
テメーが俺の事どう思ってるなんて、関係ない。
俺はテメーの事なんて、端っから眼中ねーんだ。
其れをわざわざ相手してやってんだ。
「少しは喜べっつってんだよ」
大蛇丸に殺気を向けた。
「狽チ…」
やっぱり…お前は弱い。
半分も出してない殺気に此の焦り方。
「…少しは期待してんだからな。早く死んでもらっちゃ楽しくねーだろ?」
「分かったわ…其処まで言われてアタシも我慢の限界よ。良いわ、其の遊び相手になってあげようじゃないの!!」
互いに距離を取り、刀を交える。
キィィイン
ギィイ…
「守ってばっかじゃ勝てねーぜ?」
口の端を持ち上げ、左手にチャクラを集めて其の侭、大蛇丸の右手を切り落とした。
ゴトン…
「…やってくれたわねっ」
口を開けて、其の中から下を出して俺の首を締める。
「どう…苦しいかしら?」
「…全然」
ふん、と鼻で笑って、左手のチャクラ刀をしまい、素早く片手で印を組む。
そして……
ブシュッ
「狽」っ…?!」
影分身を作り、大蛇丸の腹を切断しろ、と命令した。
なのに……
「だから、お前何時も甘いって言ってんだよ…」
「アレ?くっついてた?可っ笑しいなぁ…今度はイケたと思ったのに」
御免ってば、って笑い乍謝る此奴の攻撃で、気付いた大蛇丸が避けてしまい、切断には至らなかったが背中はザックリ。
切断されてない其処は、肉で繋がっていて大量の血が流れ出ていた。
「つーか、こんな攻撃も避せないなんて…やっぱ弱ぇじゃねぇか…」
斬られた事で膝を付いている此奴を上から見下ろす。
「…っ…」
「死んで良いよ。興味が失せた…」
そう言って頭から、真っ二つに切り落とす。
呼吸停止。
脳ミソは機能停止。
心臓も停止。
「おい、其処のお前」
此の戦いを観戦していた暗部の1人。
呼ばれた其奴は、俺に近付き膝を付いて頭を下げた。
「は、何用で御座いますか?」
「後の処理、観客が起きる前に此の会場の片付け」
「…は?」
「は?じゃねぇよ。やっておけって事だ」
「、はっ!」
そう言って俺は爺の所に向かう。
「悪かったな…」
大蛇丸を俺が殺してよ。
自分の手で殺りたかったんだろうからな…。
取り敢えず、爺には謝っておこう。
「言うでない。奴とは、鳴門が来る前にうんと…話したわい」
けど、爺が大蛇丸と戦っても…負ける。
其れを承知の上で…きっと、分かってただろうから。
だから、邪魔した俺に文句1つも言えないんだ。
俺は許さないぜ。
勝手に死んだら、絶対に許さない。
だから…俺は、此処にきた。
こんな老いぼれ爺は…
「そっか、なら良いけど…墓でも作ってやれよ。一応、教え子なんだろ?」
大蛇丸なんかの為に、命を張る位なら俺は何時だって邪魔してやる。
「うむ…」
だから、勝手に死ぬな。
死ぬなら、老弱で死ね…馬鹿野郎。
大蛇丸の木の葉潰しは無に終わった。
鳴門や鼬や鹿丸達の働きにより、最小限の被害に押さえる事が出来た。
多くの犠牲は出たものの、彼等の死は無駄でもなく、意味のある死、とそう称え、慰霊碑に其の名を刻んだ。
中忍試験は終りを迎え、
渦巻 鳴門、
奈良 鹿丸、
砂漠の我愛羅
此の三者は中忍へと昇格した。
我愛羅達の出発の時間。
木の葉の門前に並ぶ、我愛羅、手毬、勘九郎の3人。
「有り難な我愛羅」
「俺と鳴門の仲だろ?」
「まぁな」
「手毬も勘九郎も悪かったな?」
「水臭いと言った筈だよ?」
「そうじゃん」
「本当、有り難な…」
笑って送り出す。
又、会おうと約束して…。
そして、後日…。
団扇一族を皆殺しにしたとS級犯罪者と言う肩書きを持つ鼬は、三代目と鳴門のカミングアウトのお陰で、無罪だと言う事を証明した。
佐助とも仲良く、兄弟2人で暮らし始めたと。
平和が戻った木の葉の、見晴らしの良い火影宅の屋上。
其処で、ひなたぼっこをしている鳴門の元へ近付く1つの気配。
「…」
真後ろに降りたった其の気配…
「どうした?鹿丸…」
「此処に居るだろうって、鼬さんから聞いた」
鹿丸は鳴門の傍に移動し、隣へ腰を下ろして寝そべった。
「呼び出すんなら分かり易い場所にしろっての。…つーかもう、バレてんだろ?俺が何者かって事…」
「IQ250以上の暗号解析のスペシャリスト、名前は翔赫。
素早い対処と実力を兼ね備えろえた、一匹狼に相棒は朱羅時雨」
鳴門の口から放たれる其の言葉に鹿丸は大きな溜息を付いた。
「何だ…全部知ってっし。此れじゃ交換条件じゃねぇだろ…」
「俺を誰だと思ってんだ」
「はいはい。総隊長の蒼翠様ですよね?」
暗部の奴位知ってて当たり前、のように言う鳴門に鹿丸はまたも溜息を付く。
「其の総隊長様からの命令だ」
「何でしょうか…?」
「お前を暗憔部隊の一員に任命する」
目を見開いた。
「狽ヲっ……?」
驚きに上半身を起き上がらせ、鹿丸は鳴門を見つめた。
「俺は其処等辺の奴とは違って厳しいからな。覚悟しとけよ」
「………」
「返事位したらどうだ?嫌なのか?」
「狽氈Aいえっ。宜しくお願い致します…」
END...
[ 10/55 ]
[
*prev] [
next#]
[
しおりを挟む]