擦鹿擦鳴 バラし

 
暗殺戦術特殊部隊の各部隊長宛てに文が送られてきた。

文には時間や場所、其の時刻にとある場所に集まるようにと書かれていて、其の時刻に暗部装束を着た十数名が次々と指定された場所へと入って行くと…

「狽チ!!」
「其の面は…まさかっ…」
「そ、総隊長さま!?」
「副隊長さままでっ」

蝋燭の火が微かに明かりを照らす部屋の中に、呼び出した人物がいた。

各部隊長が入って行った部屋には、狐の面と酉の面をした2人の姿。
其の2人は、木の葉の忍に名を知らない者は赤ん坊くらいしかいないと言われている正体不明の暗部のトップだった。

暗憔部隊隊長兼暗部総取締役、狐面の蒼翠。
暗憔部隊副隊長兼暗部総副取締役、酉面の翔赫。

部屋の中央に置かれている椅子にただ座っているのだ。
だが、呼び出された部隊長たちはザワザワとざわめいていた。

其れは仕方のない事だった。
元々表立った行動をしない蒼翠や翔赫の姿形は誰も見た事がなく自分の中でのイメージしかない為、実際に此の目で見られる日がくるとは誰も想像もつかなかったのだ。

「色々と極秘で顔は明かせないが今日集まってもらったのには理由がある。
昨日の件はもう耳に入っているだろう?
渦巻 鳴門の件だ」

蒼翠の口から発せられた名前に集まる部隊長たちの顔が強張る。

「「狽チ…」」

何故かと言えば、渦巻 鳴門と言うフレーズは暗部の者に限らず禁句だからだ。
無闇に渦巻 鳴門の名前を出さないよう掟として…。

「昨晩、渦巻 鳴門が襲われた件についてだ。
翔赫」

「はっ
渦巻 鳴門が襲われたのは今回だけではない。
前々から度々襲われているのは確認済みであり、犯人は暗部の者だと言う事が分かっている」

「そんな、暗部の者だと言う証拠は…」

「周りをよく見てみろ。
1人、足りないと思わないか?」

木の葉の暗部の部隊は全部で暗憔から始まり、暗狼で終わる14隊。

「…ぇ」

「煤I」

其々が数を数えていくが、どう数えても13人しかいなかった…。

「11番部隊長である社(やしろ)は昨夜、渦巻 鳴門に危害を加えようとした為、死んでもらった。
数人捕り逃したがな」

「「泊国熬キさまっ!」」

「何をそんなに驚く必要がある?
三代目は渦巻 鳴門に危害を加える、九尾に関する情報を漏らす、其れら諸々を禁じたんだ。
俺たち暗部は火影直属の部下であり、上に従うのは当然の事だろう。
其れなのにあろう事か其の命令を無視し、挙げ句の果てには渦巻 鳴門を死に追いやろうとしたんだ。
立派な罪だ」

部隊長たちは蒼翠から送られる殺気に冷や汗を垂らす。
重く冷たい其の殺気に、身動き1つさえ許されない圧倒的な差を改めて実感させられた瞬間だった。

「三代目を裏切る行動は俺が許さない。
次、また此のような事が起きた場合は…分かっているよな?
部下どもにも伝えておけ」

其の言葉が重くのし掛かる。

「話は其れだけだ。
行くぞ翔赫」

「はっ」

横を通り過ぎる蒼翠たちからは血の臭いしかしなかった…。




















「彼奴らの顔見たか?」

「笑えましたね」

部屋を出た後、蒼翠たちは三代目のいる執務室にいた。

「蒼翠よ…あまり殺生はするなとあれ程言うておったのに…」

「馬鹿だな爺…アレは殺生じゃなく、天罰だ」

「そうですよ」

そう言ってゆっくりと仮面を取る2人。

「彼奴らも鳴門と知っておれば…」

蒼翠の正体が渦巻 鳴門だと翔赫の正体が奈良 鹿丸だと、知る者は三代目ただ1人。

だからこそ、そう言えるのだろうが…。
逆にバラしてないからこそ、根に持つ者が渦巻 鳴門を襲ってくるのだけれども。

「あんな奴らにバラしたりしたら面白くねぇよ」

「ま、鳩が豆鉄砲食らったような顔は拝めそうだがな」

「全く…で、取り逃した暗部の者はどうするつもりじゃ?」

「取り逃した?違う違う。
見逃してやったんだよ」

11番隊の部隊長を殺した時の映像が流れてくる。

「分身と入れ替わったのにも気付きやしねぇで、俺に刀を向けるなんざ100億年早ぇっつーの」

分身の鳴門と入れ替わり、前に立つと動揺した部隊長が気を狂わしたのか、総隊長である蒼翠に刀を向けたのだ。

「他の奴らなんか怯えて逃げてったっけ?」

「また次、現れたりしたら如何なされるおつもりですか?」

「其の時は其の時だ」





















【鳴門Side】


折角、見逃してやったってのに…。

「…渦巻 鳴門だな」

まぁた俺の前にノコノコ出てくるとは…。

「此の前の仲間か…?
いいのか?尻尾巻いて逃げなくて?」

「貴様っ…!」

俺を取り囲むたった5人の暗部。
刀を抜き、ジリジリ距離を縮めてくる馬鹿な奴ら。

折角忠告してやったってのに…

「何をブツブツと…」

「お前は此処で死んでもらう!」

「其れが平和に繋がるんだ!」

訳の分からない事をべらべらと喋りやがって…。

「忘れたのか?
上司からもう渦巻 鳴門には手出しすんなって、言われただろ?
なぁ、暗迷部隊長のイザミ」

「秤ス故其の名をっ…」

「言った筈だぜ?
三代目を裏切る行動は俺が許さないと…」

「そんな、まさか…そんな筈が…」

「社を殺した時、折角見逃してやったのになぁ…
自分から殺されに来るとは思ってもみなかったよ。
忠告を無視して来るなんて、本当、いい度胸してるよ」

そう言いながら、殺気を送る。

「次はないとも言ったよな?
もちろん、其の意味を知った上でまた懲りずに来たんだろ?え?」

「…そんな…総隊長さま…」

「イザミさまっ!」

「どうなされたんですか!?」

「しっかりして下さい!」

今更気付いたって遅ぇよバーカ。
俺に喧嘩を売る行為がどうゆう事になるか、其の身でたっぷりと分からせてやるよ。

「さぁ」

チャクラを右手に集めて、チャクラ刀に。

「死にたい奴から殺してあげる」

ニッコリと笑って、

「此のクソ餓鬼!!」

向かってくるバカをチャクラ刀で首を跳ねた。
まだ完全に死んでない。
だって、まだ瞬きしてるから。

「よくもっ…」

「何言ってんの。
テメェらは元々は俺をこんな風にしようとしてた訳だろ?」

「「煤I?」」

「なぁにが゛よくも゛だ」

俺が誰か知らないクセして、喧嘩売って。

「俺に喧嘩を売る、イコール、死だ」

「お止め下さい総隊長さまっ」

イザミが俺を蒼翠だと完全に理解したらしい。

「イザミさま…?」

「何を言ってるんですか…」

「渦巻 鳴門ですよ!?」

「総隊長なんかじゃ…」

片膝を付いたイザミの姿。
其れを見た部下どもが、固まっていた。

「総隊長さま…
今までのご無礼をどうぞお許し下…」

「許さないって言った筈だ」

チャクラ刀をイザミの額に突き刺した。

「ぇ…っ…」

そして、ゆっくりと引き抜けば其奴はバタン、と倒れた。

「狽ミっ…」

「そんな…イザミさまが…」

ギロリ、と睨んでやれば残りの3人は怖じ気付いたのか、俺に背中を向けて走り出していた。

そして…

―サッ…

逃げ出す3人の前に現れた翔赫が逃げ場を塞ぐ。

「其の酉面はっ…」

「副隊長さま…?」

「そんな…!」

ゆっくりと腰に挿してある刀を抜く。

「テメェら誰に背中を向けてるんだ」

゛斬られたいのか?゛
そう呟いた瞬間、

「…え…」

逃げ出そうとした暗部のうちの1人の体からチャクラ刀が貫通していた。

其れを引き抜けばドバドバっと垂れ落ちる血…。

「さっきも言った筈だ。
上司からの忠告を無視し、三代目を裏切る行動するなら許さない、と…」

残りの2人の命も僅か数秒で消え去った…。








「此れで少しは彼奴らも大人しくしてるだろ」

「後始末は私が」

「嗚呼、任せた」

翔赫が死体処理を行う横で、見上げた夜空には綺麗な三日月。

「だからか…」

鳴門の瞳が赤く光る。

「こんな日は血を拝みたくて仕方ないんだよな…」



願うなら

大量の血を…

頭から被ったみたいに

真っ赤に…



end...

はい残念な作品でした!(b^ー°)←
まぁ何時も通りと言うか、何と言うか…くっ!!(;_;)

上達したい…っ

今回は初の暗部の内でのお話?
とにかく、正体を知らない者が上司である鳴門に歯向かって殺されるのを書きたかっただけです。←

何か完成してみたら思ってたのと少し違うような…(汗)

此処まで読んでいただき有り難うございました!

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