好きなんだもん。(キリリク)

 
俺は多分、彼奴が羨ましいんだと思う。

自由気侭に、マイペースでのんびりしてるのに、頭はキレるし。

「格好良いよな…」

地味な彼奴だけど…俺には誰よりも、輝いて見えたんだ。





最初は、本当に興味を持っただけ。

其奴の仕草や言葉に、段々と興味だけでは納まらなくなってしまった。

「…好き、かも…」

意外と長い睫毛だったり

逞しい体付きだったり

意外と頭がキレてたり

怠け者と言われてる彼奴に、かなりギャップを感じた。

「ん、好きかも…」

良し!落とそ…!!












好きだって、思ってからずっと気になってる。
自然と向くのは鹿丸の方。

何時も寝てる、から気付いてないとは思うけど。

今日も任務の帰りに見掛けた鹿丸は芝生の上で寝ていた。

そっと近付いていく。

「…」

取り敢えず隣に座っみた。
起きる気配はない。

横目で鹿丸を見てみる。
やっぱり睫毛長いなぁ…。

「…」

どうしよう…起こそうか、起こすまいか…。


「…v」

良いや、起こしちゃえ!

ちょっとした意地悪で、鹿丸のほっぺをツネってみた。

其の瞬間、眉間に紫波を寄せた鹿丸は瞳を開けた。

「…何してんだよ…」

「起きてくれるかなぁ〜って」

手を離すと、上半身を起こした鹿丸は眠たそうな表情をしてたんだ。

起こして悪かったかな…?

「…お前、任務は?」

「終わったってばよ。其の帰りに鹿丸を見つけたから」

「だからって、他にも起こし方はあんだろ…」

頭をかき乍溜息を付く鹿丸は、本当に格好良いなぁ。

「鹿丸ってさ…」

ずっとずっと気になってる事があるんだよ。

「好きなタイプって、どんなの?」

「は?…いきなり何だよ…」

「ぇ…んー、なんとなく?」

「別に…」

別にって…。
オイ、其れ答えになってない!

「じゃあ、顔は可愛い方が良い?」

「其れにこしたことはないだろ?まぁ気にしないけど」

よし、第一関門突破!
俺って里の女より可愛い顔してるしね!

「身長は自分より低い方が良い?」

「あー、別に好きだったら気にねぇよ」

ま、第二関門突破にしとくか。

「じゃあ、ホモってどう思う?」

「ホモ?男同士ってヤツ?」

「ん、そう」

「偏見はしねぇよ。まぁ恋愛は人其々だし、好きになった奴が偶々男だったって事だろうからな」

第三関門突破だな此りゃ!!

そっか、偏見しないか。

「じゃあ単刀直入で言うけど、俺鹿丸の事が好き」

にっこり笑って鹿丸に言うと、溜息付かれちった…。

あれ…?
可笑しな事言った?

「直入過ぎるよ其れ…」

「だから単刀直入にって言ったじゃん」

「…否、そうゆう問題じゃないと思うけど」

何だよー。折角人が勇気出して(ない)告白したってのに!

「返事は?」

「否、俺そうゆうの初めてで良く分かんねぇけど…其の、気持ちは嬉しいんだけど…何っつーか…」

フラれてるー。
フラれちゃったよー。

あ、でも諦めないもんね!

「偏見しないって、言ったじゃん」

「気持ち的にはだよ…」

良し、此処は涙で…

俺は眉を下げて、ジィ…と鹿丸を見つめた。

「偏見、しないって…言ったの…に…」

じわじわと溢れる涙に、鹿丸は

「参ったな…」

と、言いながら頭を掻いた。

良し良し!
もう少しだ…。

「俺、本当にっ…鹿丸の事、好きなのに…」
目一杯に溜まった涙を、瞬きをして頬に伝わす。
其れを見た鹿丸は申し訳なさそうに流れた涙を指で拭ってくれた。

「泣くなよ…」

「だっ、だってぇ…」

「取り敢えず、考えさせて」

って事は、何?

フラれてないしーv
涙流しは成功だな!

「だから、もう泣くなよ、な?」

また新しい一面発見!

超ー優しいー!!!!

「…ん…」


















考えさせてと言われてから、擦れ違いで鹿丸に会えない日が続いた。

帰って来てないとか
任務で里を出てるとか
先に帰った、とか…

「忘れて、んのかな…」

でもね。
鹿丸が好きなのは本当。

こうやって会えない日が続くと、元気もなくなるし…。
元からあんまり食べないけど、食べ物だって喉通らなくなったし…。

「鳴門、どうしたの?顔色悪いわよ…?」

あー最近本当、飯も食ってないし寝てもないからかな…。

「大丈夫だってば」

「そんな事ないでしょ?」

桜、お前って案外良い嫁になるかもね。
世話好きと言うか、旦那が離れたくないタイプ。

「本当、大丈夫だってばよ」

任務が終わっていたから、桜ににっこり笑って其の場を後にした。



桜の姿が見えなくなってから、大急ぎで家に帰って暗部の任務に備えて支度する。

飯も食べたいと思わないし、暗部服に袖を通した俺は暗くなった道を音立てずに執務室へ。












「今日の任務は?」

「此れを頼む」

渡された巻物に目を通すと、1件しか書いてなかった…。

「何だよ、此れ…」

「最近はちと無理をさせておるからな。今日は其れだけ、の代わりにゆっくり休むが良い」

とか言ったって、眠れねぇっつーの。
まぁ、1件だったら倒れずには済むだろ。

「行って来る」












今日の任務は、ある男の暗殺。

何やら元忍者だとか。
小さくも大きくもない街の大名をやってるらしいが、裏ではやりたい放題してるって。

民たちは痩せ細ってるが、問題の大名はぶくぶくと太ってるとか。

「…殺されても可笑しくねぇな其奴なら」

眠たい目を無理矢理開けて、挑む任務は意外とキツい。

「早く済ませよう…」

どうせ帰って布団に入っても、眠くても寝れない訳だし…。
任務先で倒れるよりかマシ。

「そろそろ限界近いぜ…」


















大名の屋敷へ入って、邪魔してくる奴らの息の根を止め乍、大名がいる部屋へと差し掛かった。

部屋の襖を開けてみると其処には刀を手にした大名らしき人間がいた。

「お前が此の街の大名か?」

「貴様は誰だ!」

「名乗る程じゃねぇよ。悪いが死んでもらう」

手に集めたチャクラ刀で、其奴の心臓を一突き。

「あ…ぁ……」

「呆気ねぇ…」




大名の暗殺が終わって、木の葉に帰る途中。

早く帰って布団にくるまろうと考えていた矢先の事。

「此れは…」

辺りに漂うニオイに、足を止めた。

血のニオイ…だ――。

「こんな夜中に誰が…」

そう思ってニオイのする方へ気配を消して足を進めた。




ひっそりと息を潜める。

「…ぁ…」

バタン、と倒れた大人の男。
其の前に居たのは…

「弱ェ…」

俺の大好きな奈良 鹿丸だった…。

何で鹿丸が…?
え、何でこんな夜中に出歩いてんの…?

何で、人間を殺してんの…?

「…」

俺が止まった木の下に居る鹿丸は、普段見せてる顔付きとは別の人間のように綺麗で妖艶としてた…。

何時もは結ってる髪の毛も、今は下ろしてて色気が増してるし!

大人にも比毛を取らない強さだし!


何より、







超ー格好良いんですけどーっv




久しぶりに見る鹿丸だから、食い付くように見つめていた。

下忍なのに、上忍以上の実力を持ってた。
俺で冴え、気付かなかったのに…。

あー、そっか。
好きだからって見えてなかったんだ。

其れにしても、格好良いなぁv

「任務完了」

え…任務……?
ちょっと待て!!

任務って何?
暗部装束なんて着てねぇよ?

俺の存在に気付いてない鹿丸の後をつけた。

気配も、心臓の音も、匂いも全て消した侭…。
















鹿丸がやって来た場所は、執務室だった…。

俺が誰だか分からないように、170p位の青年に変化して俺も執務室の中へと入って行った。

「…?」

鹿丸も其処にいて、傍まで近付いて

「ほら、報告書だ」

爺に報告書を渡した。
内容の確認をした爺はやっと俺だとわかったらしい。


「蒼翠か」

「蒼翠…?」

俺を睨むように見つめてくる鹿丸。

「そう言えば鹿丸は会った事がなかったの。こやつは暗部総隊長の蒼翠と言う」

「泊国熬キ?!」

驚きに声を上げてる鹿丸に俺はクスクスと笑って手を差し出した。

「宜しくな、奈良 鹿丸」

「狽チ。俺の事知ってんスか…」

「知ってるさ。奈良家は旧家だからな

で、其の奈良家の子供が何故此処に居る…?」

上から見下ろす形で、(本当は不本意だけど)鹿丸を睨んでみた。

「そう睨んでやるな、ワシのお墨付きじゃ。此れでは駄目かの?」

「爺がそう言うなら…でも、暗部に入ってない子供を任務に出させるのは、俺は反対だ」

第一!
鹿丸が強いってのは分かったけど怪我したり死んだりしたらどうすんだよ!!(怒)

「じゃあ暗部に入ったら、良いんですか?」

「其れなら俺も文句は言わねぇよ。だけどな、暗部に所属してなくてSランク任務をするのは止めておけ…
実力があっても精々Aランクまでだ」

「何でSランクって分かるんスか…」

「1つ目、今日の其の任務をするお前を見てたから
2つ目、1人で10人以上の忍との戦闘はAランクにはない
3つ目、此の報告書にSランクって書いてある」

「狽ネっ…」

俺が居た事気付いてなかったんだ。

「鹿丸の事はお主に話そうと思ってた所なんじゃ。
どうじゃ?蒼翠の下で働かせてみては」

えっ?良いのー?!

もちろんOKだよ♪
鹿丸なら大歓迎〜v

「ま、良いだろ」







其れから鹿丸と、毎日暗部での任務で一緒に過ごす時間が増えてきた。
正体がバレないように、前に変化した青年の姿の侭、鹿丸と任務をこなす俺。

前よりかは断然良い。
1日3時間くらい寝れるようにもなったし、食事も少しずつ喉に通るようになった。

だけど、眠いに変わりはないがな…。

「…はぁ…」

ヤバいな。
もう、2ヶ月とあんま寝てないし…。
飯も喉に通ってきたとは言え、ろくに食ってなかったのが今頃になって、かなり辛くなってきた…。

「大丈夫ですか…顔色悪いっスよ?」

「あ、嗚呼…大丈夫だ。忙しくて寝てないだけ」

ちょっとだけ、目が霞む。
睡魔が俺を襲う…。

「本当大丈夫っスか?」

良かった…任務中に倒れなくて…。

「嗚呼、大丈夫だ。
早く戻ろう。爺が、心配するっ…」

急に頭を鈍器のような物で殴られた感じがして、俺は地面に膝を付いた。

「泊国熬キ!?」

ヤバいな…。
此りゃ、重症だ…。

何とか木の葉に帰るまで、もって欲しいものだが…。












「ご苦労であったな」

何とか無事木の葉に到着。

「大丈夫ですか?」

爺に報告書を渡して、家へ帰る俺を心配して家まで送ってくれると言う鹿丸にキュンキュンした!

もぉっ、優しいんだからっ!!(涙)

「俺は大丈夫だ。翔赫は先に帰れ、明日任務があるんだろ?」

不本意だけど、そう俺が言うと渋々頷いて帰って行った。

「…ふぅ…」

本当ヤバいな…。
倒れそう…。

「顔色が良くないが…大丈夫かの?」

「あ…嗚呼。ちょっと寝てねぇだけだから…」

「睡眠はちゃんと取らないとダメじゃぞ?」

「嗚呼…分かってる」

分かってるが、寝れねぇんだよ。
眠たいけど寝れねぇの。

「蒼翠も明日任務じゃろ?早く帰って体を休めろ」

「嗚呼…」












家の中に入ると、安心したのか足取りはフラフラしていた。

「ヤベー…マジヤベー…」

寝室へ直行してベッドに倒れ込むように、横になった。

そして、ゆっくりと瞼を閉じた……。
 

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