哀れな男 バレ?Rー15くらい(キリリク)

 
「集まってもらって悪いな」

執務室に集まっていたのは、渦巻 鳴門に奈良 鹿丸、団扇 佐助、犬塚 牙、畑 案山子の5人だった。

「何だってばよ、ばーちゃん」

「其れに、スリーマンセルじゃねぇのか?」

鳴門と鹿丸の問いに綱手は、

「まぁ待て。後で説明するから。
早速だが、此れを見てくれ」

本題に入る為の、一枚の紙を机の上に置いた。

「今日の任務は此奴だ」

「「…?」」

其の紙には男の顔写真が写っていた。
唇の左下に黒子のある黒髪の男。

世間一般で言う、『男前』や『イケメン』等の分類に入る整った顔をしていた。

「其の男を捕まえるだけでいい」

「そんな簡単な任務に5人も必要なんですか?」

「其れがな…」

「何?」

「此の男、かなりのやり手らしい。そう言われるぐらいだ、証拠に今の今まで逃げきれてる」

此の時、綱手の言った言葉の意味を鳴門たちは違う方に考えていたのだ。
後程、あんな事があろうとは鳴門も鹿丸も思いもよらなかった…。

「捕まえるだけでいいんだな!」

「最後に見掛けた場所はこちらです」












木の葉を後にして数十分程移動した所。

「皆、無線は付けた?」

「付けたってばよ!」

「此れからどうすんだ?」

「別行動か?」

「うん。ターゲット見つけたら、連絡する事!
此のボタン押したら皆に繋がるから」

其れじゃ散、と案山子が言うと、鳴門たちは四方に散った。






其れから直ぐの事。

「よっと」

「遅い」

「そう言うなって鳴…(汗)」

解散した場所から然程遠くない場所に、鹿丸と鳴門が合流した。

「何処にいるかな…」

1人1人に男の写真を持たされてる。

「最後に見掛けた場所がさっきの茶屋だろ…」

「手配書に載ってるし、多少は変装してるとは思うが」

茂みに身を潜め、道行く人たちの顔を確認する。

「見つける手段は口元の黒子だな」

写真を手に顔を確認していると、

「…いた」

「あの腰に刀さしてる奴?」

鹿丸に鳴門は小さく頷き、

「鹿は後からついて来て」

鳴門は男の後を追った。
そして、鹿丸は無線に付いてるボタンを押した…。

―ピ…

「こちら鹿丸。ターゲット発見…さっきいた茶屋を北に3km。
今、鳴門が後追ってる」

―こちら案山子、了解、直ぐ向かうよ。皆も直ちに来るように。
―こちら佐助、了解。

―こちら牙、了解。

無線で知らせが終わり、鹿丸は静かに男を追う鳴門の後を追った。












目の前の男を追う中、

「…(普通だったら、捕まえるのは簡単なんだけど…俺はドベだからな…ヘマでもやりますか…)」

心の中でそう考えていた鳴門は、追う前から気配を少しだけ消していた。
此れぐらいの気配ならば、上忍の忍は簡単に気付く筈。

「(案山子たちも近くまで来たし…)」

人気のない道へと入っていく男をわざとバレるように追う鳴門。

「(…段々森の方に行く所を見ると、此りゃバレてるな)」

―ピ

―こちら案山子。鳴門、慎重にね?

―こちら佐助。ヘマだけはすんなよドベ。

2人から無線が入る。
其の言葉に溜息を付いて、ボタンを押した。

「大丈夫だってばよ!
(とか言いながらヘマするけど…)」

辺りは緑一色になってきた。
獣道を歩く男。
其れを上から追う鳴門。

「(もうそろそろいいよな…)」

もう一度ボタンを押し、

「もう我慢出来ねぇってば!俺1人で捕まえる!」

―鳴門っ!早まっちゃ駄目だよ!!

―よせウスラトンカチ!

―俺らが来るまで待て!

そんな声が聞こえるが無視し、鳴門は男へ。

「捕まえた!!(分身だけど)」

後ろから拘束するように抱き着く鳴門。
しかし、

―ポフン

歩いていた其の男は煙と共に消え、

「何か用かな?」

逆に鳴門が捕まってしまった。

「うっ…何だってばよ此れっ?!」

透明な糸。
張り巡らされた其の糸に体の自由を奪われた鳴門は、フワリ、と体が宙に浮いた。

「ぇ…わっ!!」

「何でつけてたのかな?」

男が使う妙な技に、鳴門は戸惑うフリをする。

「薄ツ門!!」

「あの馬鹿…」

「俺たち待てなかったのかよっ…」

「だから言ったのに…」

其処に案山子たちが登場し、捕まった鳴門を見て溜息を付いた。

「おや、お仲間かい?」

「其の子を離してもらおうか…」

「え、嫌だよ。こんなに可愛いのに…直ぐ解放したら、面白くないでしょ?」

クスリ、と笑みを零し、男は鳴門の首筋を、ツー、と指で撫でた。

「あっ…//」

「良い反応だね…v」

其れをただ見てるしか術がない案山子たち。
だが、鹿丸の眉間には段々と濃く、紫波が刻まれていた…。

「や、だっ…!!//」

「可愛いねぇ…」

「くそっ!!」

「鳴門っ!」

「ったく、面倒臭せぇ(あの野郎…!!)」

案山子、牙、佐助、鹿丸の目の前で…

「此れ、ちょっと邪魔だね」

鳴門の上着のチャックを下ろし、中から黒色のシャツが目に入ってきた。

「君って凄く肌白いんだね」

鳴門のシャツの中に手を忍込ませる男…。

「やめろって…あっ!!//」

其の動き回る手が、鳴門の胸の突起を捕らえると、身を縮ませる。

鹿丸意外に触れられる自分の体…。其の鹿丸は目の前にいると言うのに…。

気持ちが悪くて、でも、体は正直に反応してしまう…。

「声も可愛いv」

目の前で自分の恋人が他の男に触れられているのだ。もちろんの事だろう。
其れを知った鳴門は、鹿丸に目線を向け、

「(し、か…ゴメっ…こんな事になるなんて、思ってもみなかった…っ)」

「(大丈夫、鳴は悪くねぇよ…悪いのは…)」

「(…鹿…?)」

鹿丸は鳴門を捕らえた男に目を向けて、静かに少しだけ殺気を送った。

「おい、其処のお前…」

「!!」

「俺に無断で何好き勝手してんだよ…」

「…」

「殺されてぇのか…あ゛?」

其の次の瞬間、鹿丸は男の首に刀を突き付けていた。

「ぇ…何で…?」

「一瞬で、あんな…」

「鹿丸…」

今起きた出来事に付いて行けてない案山子たち。

何故鹿丸が一瞬であの男の後ろを捕らえたのか
何故鹿丸があの男の首に刀を突き付けているのか

今の混乱した案山子たちの脳じゃ、今の状況を理解する事は無理だった。

「…其奴を離せ…じゃないと、テメェをぶっ殺す」

「ゎ、分かった…」

鳴門から手を離し、蜘蛛の巣のように張り巡らされた糸もなくなった。

―トサッ

自由になった鳴門は其の場に座り込む。

「此奴頼む」

「ぁ、うん…」

理解出来ない侭、男を手渡された案山子は取り敢えず男を拘束した。

そして…

「鳴門、ゴメン…大丈夫か…」

「ん…俺こそ、ゴメン…」












あの後、男を綱手に差し出してからの事。

案山子と牙と佐助は今日の事について、会議をしていた。

「ねぇ、鹿丸くんって、本当は強かった、んだ…」

「だ、よな…彼処で助けなきゃ、あの侭、鳴門は、間違いなくヤられてたろうし…」

漸く、彼らの脳みそは機能し始めたらしい。
今日起こった事がちゃんと理解出来るようになった。

「あ、でも…」

「「((続き…見たかった気もする…//))」」←案山子&佐助

ま、多少、よからぬ事を考える者が約2名いるが、其れは置いておくとして…

「ん〜、あの鹿丸がねぇ…」

「結構驚きだね…」

「嗚呼、其れに、鳴門と付き合っていたとは…」

実際には、俺のモノだからと言われて鳴門を抱き締めているのを、見せつけられたのだが。
「(あ〜あ、狙ってたんだけどなぁ…残念)」

変態教師

「(此の俺を好きじゃなかったのかよ…)」

勘違い野郎

此の2人の恋は虚しく終わった…。












其の頃、鹿丸と鳴門と言うと…

「…」

「…鹿?」

家に入るや否や、鹿丸は鳴門の手首を掴み無言の侭寝室へ向かった…。

そして、トサッ、とベッドへ優しく投げられた鳴門。
其れを見下ろす鹿丸。

「消毒するだろ?」

今回の件の事だ。
自分の恋人の体を、他の男が触った事を、鹿丸は頭に来ていたのだ。
鳴門にではなく、あの男に対して。

「ぇ、あっ、ちょ!
まだ、明るい内に其れは…//」

「駄目。早く消毒しねぇと俺の気が済まねぇ」

自分の体に覆い被さってくる鹿丸を止める術など、鳴門にはなく…

「〜〜っ…ゎ、分かったょ…//」

顔を真っ赤に染めながらも、ラブラブモードまっしぐら。












其の日の鹿丸は、何時になくしつこかったとか…(鳴門談)





End...

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