意中の人2 鹿丸side(キリリク)

 
手の届かない…そんな感じ。

高嶺の花…とでも例えれば簡単だな。

誰よりも綺麗で、そして何より強くて…。

俺の最も尊敬する、憧れる、大好きな人…。

ずっと好きで好きで堪らなかった人…。

渦巻鳴門。
木の葉の最強…暗部の頂点に立つお人。













初めて其の人を見た時…

『何て凄い人なんだ…』

瞬時に頭に浮かんだ。
と言うより、驚愕した俺が其の強さと妖艶さに惚れ込んだ(一目惚れした)瞬間だった…。

こんなスゲェ人の下で働ける俺って超スゲェー!って、胸弾ませてた。
其れからは修行に明け暮れる毎日。

早く、此のお方の様に強くなりたい!そう願い、頑張って頑張って頑張り抜いた…。

けど…やっぱり此のお方は凄過ぎる…。
どんなに頑張っても、追い付けない其の強さに私はお手上げです…。

此のお方と任務する時、其れは緊張を遥かに通り過ぎてなる。

蒼翠様と一緒にいる事自体俺には勿体ないシチュッ!!

はぁ…神様有り難う御座います!と思う程、私は蒼翠様と一緒にいるだけで幸せなんですから…。
でも、今日はそんな甘い物じゃない…。

「行こうか」

「御意」

今日は、俺の想いを此のお方に伝える日。

前から言おうとずっと思ってたが、中々勇気が出せず…沈没した日が何回あったか…?

「……ま?…蒼翠様?」

フラれてもいい。
気持ちだけはちゃんと…伝えておきたい。

「狽ヲ!?ぁ、なな何…?」

「任務が終わった後、大事なお話があるんですが…聞いて貰えますか?」

其の話が貴方に告白するなんて、思ってもいないでしょうね。

「大事な話…?あぁ、分かった」

蒼翠様は頭に疑問符を付けながらも、頷いてくれた。

何て言ったらいいか分からない…。
けど、絶対言うんだ!









「ラストが此処っつか警備薄っ、屋敷外…中合わせて30人程度か」

溜息を吐く蒼翠様。
あまりに少な過ぎる人数、遊びたかったのだろうと察しが付く。
此の方らしいと言えば此の方らしい…。

「お前は外の雑魚共を殺れ」

「御意」

頭を下げ、目的の屋敷へ向かう。
ゆっくりと歩きながら…。

其の屋敷の見張り役が姿を確認すると、持っていた槍を構えた。

「誰だ!?」

「翔赫、頼んだぞ」

そう言って蒼翠様は屋敷の中へ入ってゆく。

「御意」

「箔ヲがすっ…」

蒼翠様を追おうとした奴の後ろを取り首に刀を付ける。

「お前達の相手は俺だ…」

言って、俺は其奴の首を落とした。

「さて…早く片付けるか」

あの人は遊びたいと思っていても、こんな雑魚を相手に時間が掛かると機嫌が悪くなる。

「悪いが、そう簡単には行かねーぜ?坊主」

機嫌が悪くなる…イコール、話を聞いて貰えなくなる…。
困る!其れは絶対に避けて通りたい!!

「…偉く余裕かましてくれるな。そんなに自信あるってか?」

「あのお方は時間にルーズな殺り方は好きではない」

「あ゛?」

機嫌の悪い蒼翠様は、一番近い存在である俺でさえ未だに怖いと思うくらいだから…。

「話す時間は、もう終いにしよう…」

そう言って俺は此奴等を始末する事だけ集中した。
一斉に向かって来る其れを難なく避け、1人目は心臓を貫き、2人目はクナイを首に突き刺した。

「こんな…餓鬼っ…に…」

返り血なんて浴びるのもめんどくせぇ…。
其の2人の傍を離れ、他の奴らも沈めた。

「忍は見た目じゃねーんだよ」

そう言ってる内に、時間は刻々と流れて俺は此の屋敷の回りを急いで回った。









「終わったみてーだな?」

「はい」

蒼翠様が俺の所に戻って来た所には既に片付いていた。

「あ、そうだ。お前、話あるって言ってたよな?」

「ぁ…」

そうだった…。
自分から言っておいて…。

「どうした?」

「ぁ…後で、お話します…」

取り敢えずは、火影様に報告書を渡してから…。

「そう、か?分かった」













「ご苦労じゃったの?」

「いや、大した事ねーって」

「…」

どう、切り出そうか…。
此の後…取り敢えずは話を聞いて貰う事に…

「…どうした翔赫?何処か悪いのか?」

「いえ!な…何でもありません!!」

そう言えば、此処はまだ執務室だった事をすっかり忘れてた…。

「で…では、今日はもう帰っていいぞ?また、明日も頼む」

「あぁ」

「…」

火影様に会釈し、執務室を後にした。






突然、蒼翠様が立ち止まった。
其処は蒼翠様の家の近く。

「よし。話とやらを聞こうか?」

「ぁ…あのですね…」

心の準備をしてた筈なのに…。
いざとなると緊張し、て…

「タンマ!寒みぃから俺ん家行こうぜ?少しは暖かいと思うし」

蒼翠様の家に…?
いや、嬉しいのは山々なんですが…さて、緊張しまくりの俺は蒼翠様の家で言えるのだろうか…?

ちょっと、不安になって来たかも…。










「おー寒みぃ…。よしよし」

家には明かりが付いて居て、今日は分身を留守番させていたのか…など思いながら、蒼翠様に続けて俺も『お邪魔します』と言い中に入って行った。

「お帰りなさいってばよ!!」

明るい蒼翠様の分身が迎えてくれた。

「ただ今」

其の分身の明るさにくすっと笑っている蒼翠様…。
やっぱり、可愛い…。

「鹿丸じゃん?いらっしゃいv」

「ぁ、あぁ…」

「有り難う。もういいよ」

そう言うと分身は煙と共に消えてなくなった…。


…蒼翠様の家…。
部屋の中には、此の方と俺…2人きり…!?

「こ…此れでも飲んで暖め…」

そう言って蒼翠様は今入れた珈琲を俺に渡した。

「有り難う御座います」

どうしよ…。
マジ緊張して来た…。

「……」

「……」

言わなきゃ…いけねーってのに…。
そんな勇気すら出て来ない俺…。

「さっき言ってた話、って?」

此処は男らしく、やっぱ決めとかなきゃな…!

「あのですね…」

「な、に…?」

「俺…」

此処まで出掛かってるのに…。
恥ずかしい、もある…。
其れもあるが、俺が好きだと言ったら此の方は、やっぱり引くだろうか…?

「何だよ…勿体ぶらねーで早く言えって!!」

男の意地だ。
当たって砕けろだ!!

そして、俺は深く深呼吸をした。

「貴方の事が好き、なんです…」

「……………」

狽゛ー!言ってしまったぁ!!

さらば、俺の青春…!

「御免、もう一回言ってくれっか…?」

「だから、貴方の事が好きなんです!!」

あー…やっぱ引かれたか?と思っていると…ガシャン!と大きな音が部屋に響いた。

「…あちっ!?」

そちらに目をやると、持っていたカップを落としてしまった様子。

「…ヤベ」

直ぐに立ち上がり、割ってしまったカップを片付けようとした蒼翠様を見、俺も素早く立ち上がり蒼翠様に近付いた。

「御免、手伝だ…って…!?」

俺は、蒼翠様を抱き締めた。
もう、此れで俺の青春は終わるんだな…そう思ったらいても立ってもいられなかった…。

「鹿…丸…?」

「本気です俺…」

腕に力を入れ、キツい位に抱き締める俺。

「ずっと、ずっと前から好きでした…貴方の事」

「……っ」

顔は見れないけど、やっぱり、駄目だな…。
引かれてるよ。

「…し…鹿丸…」

「すいません。此れだけは言いたくて…」

すぅ…、と抱き締めていた腕を離した…。
此の方が困るだけなのに…何してんだ俺は…と苦笑した。

「……!!」

其の次の瞬間、今度は蒼翠様の方から抱き着いて来た…。
何が何だか、どうなってるかなんて分からない。

「……蒼翠様?」

どうして蒼翠様は俺に抱き着いてるんだ…?
訳が分からず俺がそう言うと…。

「…俺も、ずっとお前の事、好きだった…」

「狽チ!?」

…………え?
…………え?
…………えぇ!?

蒼翠様が、秤エを!?

けど、そうなると…。

「もしかして…両想い…?」

「もしかしなくても、両想いだって…//」

俺、普通に素で感動してる…。

此の、蒼翠様も俺の事好きと言ってくれて…

「…っしゃ!!」

蒼翠様が抱き着いた侭、俺は嬉しさのあまりにガッツポーズを取った。

「狽!?ちょっ!?」

本当に、嬉しかったから…。

「勇気出してよかった…」

安心の溜息を出しながら、胸を撫で下ろし優しく、俺も抱き返した。

「……」

よく分からないが、蒼翠様は俺の胸に顔を埋めた侭…。
顔見たいなぁ…なんて思いながら、俺はそっと囁く。

「蒼翠様、俺と付き合っても…」

恐る恐るそう言ってみると、蒼翠様はくすくすと笑った。

「今は鳴門だろ?」

「…御免。鳴門、俺と付き合ってくれる?」

「…」

鳴門は、恥ずかしそうにも俺の言葉に頷いてくれた…。




鹿丸視点、End...
 

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