鼬擦鹿鳴 里抜け

 
中忍試験本選前の出来事だった。
カカシが自来也と密会してるのを偶々、発見した。

「カカシ…ナルトはワシが預かる」

「……」

自来也とカカシの会話を身を隠してこっそり聞いていた。
情報収集は大切だろ?

「大蛇丸が里を抜けてから奴をずっと監視してきた…
奴がいずれ此の里に戻って来るのは明白だからのぉ…
そんなこんなで初めは大蛇丸だけを警戒していたが…」

「何です?」

「奴がある組織に入った」

「組織?」

「………」

暁か。
S級犯罪者ばっかな少組織の事だろ?
其処にイタチもいるんだろ?

「ただ、最近肝心の大蛇丸は組織を抜けてのぉ…
丁度其のくらいの頃から組織の奴らが2人組てま各地へ動き出し…術やら何やら集めてる」

「……其の1つが"九尾"だと言う証拠は!?」

「…可能性と言う話だ」

イタチが九尾を狙ってる?
ないない。
有り得ないな。
彼奴は、俺の中の九尾になんて興味持ってねぇし。

つーか、毎年鼬が木の葉に帰ってきてたの知らねぇのな。
そうゆう所が平和ボケしてんだよ此の里は…。

「中忍試験本選までの間、ナルトはワシが育てる」

育てるって。
俺は此の五大国の最強と呼ばれてんのに…。
知らない奴って可哀相だな。

其れにしても、イタチが帰ってくるんだ。
会うの、久し振りだなぁ。

自来也とカカシの会話を聞きながら、1人ワクワクしていた。

だって、あのイタチが帰って来るんだもん!














其れから数日後の事。

「煤c…此れは…」

街を歩いてると、彼奴の気配を感じた。

帰って来たんだ!

もう嬉しくて嬉しくて、俺は気が付くと走っていたんだ。

彼奴の元に…。





毎年、彼奴は俺に会いに木の葉に帰ってきていた。
最初から決めてたんだよ。

爺が死んだら、…………。














中忍試験が終わっての出来事だった。
イタチが木の葉に帰って来た。

イタチが帰って来た理由は、俺だけが知ってる。
元々、俺が鼬に言い出した事なんだけどな…。

「探しもの…とはサスケの事か?」

「…いや…四代目の遺産ですよ」

「…狙いはナルトの中の九尾…か?」

「煤I」

其処はもうとっくに戦闘が始まっていた。
カカシ、アスマ、紅ら3人とイタチと其の連れ。

「あ〜ぁ、先生たち負けてるじゃん…」

「買iルトっ!?」

「ダメよ!逃げなさいっ!」

「早くしろナルトっ!」

慌てちゃってさ。
本当、可笑しいよね。

「何でだってば?俺だけ仲間外れは止めてよ先生」

ゆっくりと歩きながら、距離を縮めていった。

「久し振りだな、ナルト」

「あぁ、久し振り。もう1年経つんだな」

「そうだな…だから、迎えに来たんだよ」

「どうして…」

俺とイタチの会話を聞いて、紅は目を見開いていて、驚きを隠せなかったみたい。

そうだよね。
俺がイタチと知り合いだなんて思ってなかったもんね。

「先生たち知らなかったのか?イタチはな、カカシ先生の前に、俺の監視役してた奴なんだよ?」

「狽チ…」

俺が知らないとでも思ってたんだな。

「鼬イタチは仲良しさんな訳」

残念ながら、俺は普通の子供じゃねぇの。
九尾の事知ってるし、父親の事だって知ってるし。

九尾が何時暴走するか分からない、だから俺にはずっと監視役が付いていた。
表向きにな。

鼬イタチ俺の監視役になったのは、俺がまだ5つの時だった。
イタチは既に暗部で活躍してた。

俺も其の頃には暗部のトップに登り詰めてたけどな。

「カカシ先生、此れ知ってる?」

そう言って、俺はチャクラを手に集めた。
地面に段々と伸びる其れは先になる程細く、尖る、刀の形をしたチャクラ。

其れを見たカカシは目を見開いた。

「狽サ、其れ…は…!?」

「思い出した?」

此れは暗部としての俺が、頻繁に武器として使ってたヤツだから。
カカシとは暗部で何回か任務を一緒にやったし、覚えてて当然なんだけどな。

「いい機会だから教えてあげる。俺は暗憔部隊の蒼翠、暗部のトップやってんの。ねぇ、カカシ先生?」

「あ、暗部…だと?」

「そんな…本当なの?カカシ…」

「……本当だ…」

俺が言った事に驚き、信じてないアスマと紅だったけど、カカシがそう言うと顔を強張らせた。

「でもナルト…だからって、何故此処に来たのよ!」

「そうだぞナルト!此奴らはお前の九尾を狙って…」

「イタチが九尾を狙ってる?」

クスクス笑いながら鼬の傍まで近付いて、カカシたちを振り返る。

「ないない。イタチは俺の中の九尾なんか狙ってないよ」

「どうしてそんな事言いきれるの!?」

「自来也さまがそう…」

「自来也の勝手な思い込みだよ。本当にイタチは九尾なんか狙ってないよ」

「貴方がそう思ってるだけよ!」

「そうだ!早くこっちにこい!」

「ナルトっ!!」

此奴らの必死さに、何だかムカついた。

「心にも思ってねぇ事よく言えんな…
テメェらはただ、馬鹿デカいチャクラを持ってる九尾を余所に取られたくねぇだけだろ」

俺の事嫌いなのも、全部知ってる。

今まで人間扱いした事ねぇのに、こうゆう時にわざとらしく言われるとさ…

「本当にムカつくんだよ…木の葉の馬鹿な奴ら全員が」

「ナルト、お前…木の葉を裏切る気かっ…」

「裏切る?何言ってんだよ先生…最初に裏切ったのはそっちの方だろ?」

「どうしてそうゆう事をっ」

「だってそうだろ?親父が九尾を封印した所為で俺は生まれた時からずっと不幸なんだよ。
里の奴らが、俺を化け狐としか見てねぇからだ。
何時も俺を見る時、汚いモノを見るような目で見て、こうゆう時だけ…本当ムカつく」

表向きだけいい面しやがって…本当ムカつく。

「そ、そんな事はないさ!」

「そうよナルトっ」

「先生はよかれと!」

「其れだよ其れ。テメェらは自分の都合で物事決めて、俺の事知らんぷりでさ…
よかれと思って封印した俺を人間扱いしないクセに、本当此の里の奴らは自分勝手な奴ばっか」

小さい頃からずっと思ってた。
此の里はくだらないって。
俺の手でぶっ潰してやりたかった。

爺がいたから、出来なかったんだよ。
でも、今爺はいない。

「俺は此の木の葉にはもう未練がないんだ」

爺もいない。
俺を人間扱いしてくれる奴も、1人減った。

「いい機会じゃん。先生たちの嫌いな俺がいなくなるんだし、嬉しいでしょ?」

アスマもカカシも紅も、俺の事九尾としか思ってないクセに…。

「厄介者がいなくなるんだよ?もっと喜んでよ」

と言っていると、其処に新たに、俺が最も信頼している奴が現れた。

「ナルト」

「…シカマル。ずっと出てくるの待ってたんだぜ?」

「悪りぃ」

シカマルも俺たちの方へ近付いてきた。
カカシたちはシカマルが現れた事の状況が掴めていなかった。

「何で、シカマルが…?」

「カカシ先生、シカマルは俺の部下なんだよ」

「…」

「ねぇシカマル…一緒に行こう?」

片手をシカマルに伸ばすと、近付いてきたシカマルは俺の伸ばした手を掴んだ。

「もちろんだ。其の為に此処に来たからな」

お前ならそう言ってくれるって信じてた。
爺がいなくなって、お前だけが俺の支えだったから。

「有り難う、シカマル」

此れからは違う。
イタチも、暁の奴らもいる。

「さて、どうする?ナルト」

「…そうだったな」

黙った侭のカカシたち。
視線を動かして、3人に殺気を送った。

「先生たち」

「「狽チ(ビクッ)」」

「死にたくなかったら、此の侭街に戻る事だな。
其の逆で、死にたいなら相手するよ?楽に殺してあげるからさ」

「っ…」

強張った顔をして、カカシは視線を反らした。

カカシはいい判断をしたな。
俺の実力は十分に知ってるし、自分が行っても勝てない事をよく理解してる。

だが、残りの2人は違うみたいだ。

「此の侭見過ごす訳にはいかないな」

「そうね」

アスマと紅は。

「狽謔ケっ!お前たちが敵う相手じゃっ…」

カカシの言葉を無視して、俺に向かって走り出した。

其れを見てシカマルが俺の前に出ようとしたのを止めた。

「そんなに死にたいんだ?」

にこりと笑って、俺は瞬身でアスマたちの前に移動してチャクラ刀を振り下ろそうとした時…

「止めろっ!!」

カカシが2人の前に立ちはだかる。

「カカシっ…」

「どうして止めるんだよカカシ!」

「勝敗は目に見えてる…アスマたち2人がかりでも勝てっこないんだよナルトには…」

俺に背中を向けるカカシ。
そう言うカカシの声は微かに震えていた。

「………カカシ、お前は最初にいい判断をした。
だが、俺の性格は知ってんだろ?」

邪魔されるのが、一番嫌いだって事を。

さっきより5割増しで殺気を向けて3人を睨んだ。

すると、

「煤cっ」
「ぁ…」
「…っ!」

目を見開きながら、殺気に耐えられずに片膝を付く。

ほら見てみろ。
殺気だけでこんな有様。

「そんなんでよく上忍なんかやってんな…」

人に大口叩いて、上忍気取りで、俺は私は強いなんて思ってたんだよな?

「たかが上忍が此の俺に勝とうなんて思うんじゃねぇよ…」

そう吐き捨て、クルリと軸を変えイタチたちの元に戻る。

「行こうか?イタチ」

「嗚呼」






俺とシカマルが抜け、カカシやアスマたちが俺たちの事をどう言って伝えたのかは知らない。

あのカカシだ。
俺たちを追おうとする奴がいたら、必ず止める筈。
追っても、殺されるだけだからな。

「で、誰かと合流でもすんの?」

「其の侭直行だ」














爺が死んだら、木の葉に爺がいなくなったら、里を抜けるって決めてた。

爺本人にも言ってたし、爺も賛成してくれた。
此れは昔から決めてた事。

イタチとも、約束してたから…。

『じゃあ、俺が迎えに行ってもいいのか?』

『うん、頼むよ。爺がいない里なんてクソ食らえだから』


『分かったよ、約束する』

『有り難う、イタチ…』

だから、イタチが九尾を狙うなんて有り得ない事。

昔の約束を果たしに来ただけ。














抜忍となった身。
堂々と道を歩ける訳もなく、道を逸れ、森の中。

「君との約束が果たせてよかったよ」

「昔からの約束だったからな…」

此れからは、肩身の狭い生活とはおさらば出来ると思うと、嬉しさが込み上げてくる。

「面白くなりそうだな」

「嗚呼」





End...

頂けたら兄さま好きですね!
大好きです!!(*´▽`*)
ナルト←イタチならもっと好きv


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